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【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)『統計学が最強の学問である』(主催側_9月8日開催)要約あり

 私のところで展開している【オリコン顧客満足度調査】のテクニカルアドバイザーでもある西内さんのベストセラー『統計学が最強の学問である』を題材に、数字やデータへのリテラシーが求められる現代に対応すべく…という建前のもと自身の振り返りも含めてアクティブ・ブック・ダイアローグ®を実施しました。

 本書が出版されたのが、ビッグデータとかデータサイエンティストという言葉が躍っていたころ。まさにトレンドになるタイミングでビジネス層に刺さった本書は、統計学の重要性を訴える入門書という立て付けですが、とはいっても途中からは統計用語が出てきます。なので単発の読み切りは難しそうなという印象があったので、ABDのやり方にも少し工夫が必要かなと思い、今回の方法はやや凝りました。

今回のスタイル

参加人数:8人
合計時間:180分(時間内に完了)
ページ割:20~30ページ程度
オープニング:45分(概要説明+コサマライズ+プレゼン)
講義:10分
コサマライズ:50分(コサマライズ2回目)
休憩:5分
プレゼン:一人3分くらい×8回
ギャラリーウォーク:2分×4回(ペア)
ダイアログ:20分(個人→小グループ)
クロージング:5分(個人でのまとめ)※時間的に実施せず

この構成の工夫としては、以下の3つ。
①導入部分にあたる2章までを分担
②少しだけ統計の知識をインプットさせるため講義を入れる
③最後にわからないところを書いてもらいリビジットに活用

●設計書

 今回、本の内容から解釈や受け取り方はあまり変わらないだろうと思ったので、対話を入れる時間を少なくしました。かなりインプット系の本なので、ファシリテーションも問いを与えて、インプットさせて、という感じで行いました。

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事前準備

 統計学の基礎知識をインプットしてもらって、後半の難しいところに備えてもらえればと画策したため、結構準備にはてこずりました。でも世の中はいい人や情報を発信している企業がたくさんいて、わかりやすい説明が多かったため大変助かりました(^^;

オープニング

 「本の紹介」「著者紹介」「問い」「コサマライズ」で構成。
 興味関心を強めてもらうために、データで本書がどのくらい売れたかを簡単に紹介。約33万部ですが、シリーズとしていくつか出版されているので合計するともっと多いですね。比較として認識しやすいようなベストセラー本も引き合いに。
 ちなみに問いは「なぜ、いまビジネスにおいて、統計学が最強(重要)なのか」。その後は1章から2章のABDでウォーミングアップ。

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●ミニ講義

 実際のABDの前に、小難しいことはすこしぶっ飛ばしましたが、考え方とか「統計的検定」「統計の理論」「ランダム化比較実験」とか。難しいものは、事例があるとわかりやすいですね。

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●コサマライズ・リレープレゼン

 今回も章タイトルだけ事前に貼りだしておいたのと、目次を印刷して、そこにページ数を記載して全体が見えるようにしました。ABDのルール的にはなるべく「黒ペン」と「文字主体」ですが、そこは制限してません。

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ギャラリーウォーク

 今回の目的は統計学の考え方と使い方を知って、自分のビジネスなどに応用できるようにしようというのがあるので、まずはインプットし、咀嚼し、わからないところや知りたいところをあぶりだしたほうがいいかなと考え、ペアのギャラリーウォークを選択。

●ダイアログ・エンディング

 最近はやはり、自分でまずは振り返る時間をもったほうが、何が印象に残ったか、何が明確になっていないのかがわかるので、内省の時間を設けてます。今回は「重要だと思ったところ」「わからなかったところ」の2つの問い。わからなかったとことがその後の対話で解決できるものと、できないもものがあるので、この勉強会の時間が終わってから、リビジットついでにメッセンジャーで補足していきました。

 時間の都合上、最後のチェックアウトは割愛しました。

●リフレクション

 いつも通り、PDF化して参加者に共有。
 当日の夜にPDF展開。人数的に実施できなかった6章後半から終章のうち、6章後半の部分だけ後追いでまとめたものも含めました。

 その後は、参加者に書いてもらった「わからなかったところ」を中心に、不定期でフォローアップ。終了後にこの部分を補足してメッセンジャーで流していくのは、リビジットの方法としていいかもしれないなと思いました。なので、無理のない範囲で取り入れていこうと思います。

ABDサマリ

【第1章 なぜ統計学が最強の学問なのか?】
 統計学の知識のないものはカモられる。統計学は、データを集めて改善し、最速で最善の答えを導き出す。あみだくじで勝つ確率を上げられる。
 疫学の父、ジョン・スノウの調査で、コレラの感染者が水道会社の違いが感染者数に大きな違いを生んでいることを発見。テムズ川の下流から採水している会社の利用を止めることでコレラ発生を抑制できた。
 勘と経験に頼らない科学的根拠「エビデンス」が重要。

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【第2章 サンプリングが情報コストを激減させる】
 大量のデータがあればいいということではない。適切なサンプリングさえあれば、コストを抑えつつ必要な情報が得られる。データが増えれば精度は高まるが、ある程度のデータ量があれば誤差の範囲に収まる。お金をかけてすべてのデータを集める必要はない。
 最初から全データではなく、最小十分で仮説探索していくことができる。

【第3章 誤差と因果関係が統計学のキモである】
 データをビジネスで使うためには、「利益の上がる要因は何か」「アクションが可能か」「かけるコストに対し利益は見合うか」を考えておく。
 ナイチンゲールは、兵士の死因を戦いによる直接の傷ではなく、その傷からの感染によることが死因と考え、病院の衛生状況を改善することを推奨したが、本当に戦死者が減るのか、コストはどのくらいかかるのかには答えられない。単純集計では難しい。

 十分なデータと適切な比較ができてこそ意味がある。
 次の食べ物は禁止すべきか?
 「心筋梗塞で死亡した日本人の95%が生前食べていた」「江戸時代に起こった暴動はこの食べ物が原因」。この食べ物とは、「ごはん」である。

 例えば売上が増加する要因を特定誤差を明らかにできたとしてもこ、「誤差」を考慮する必要がある。意味のある偏りなのかそうかは「カイ二乗検定」と「p値」で見てみる。

 ビジネスのゴールは「利益をあげること」。
 どう利益につなげられるのか、何が一番利益につばがりそうかを求めるには、①適切な比較を行うこと ②誤差とp値を明らかにすることが重要。

【第4章 「ランダム化」という最強の武器】
 ミルクティ婦人のことをフィッシャーが検証。
 方法は、ランダムに飲ませて10回中何回成功すれば科学的に正しいといえるか。5杯すべてで3%、10杯すべてで0.1%という確率。
 ランダム化によって、因果関係を確率的に表現。諸条件をランダム化すれば、複雑で誤差だらけの人間も科学の対象にできるようになった。
 正解がないならとりあえず、ランダムにしてA/Bテストしていけば低リスクで低コストでできる。統計学的裏付けがないのに間違いだと決めつける前に、試してみることが、攻めのための統計学。

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【第5章 ランダム化ができなかったらどうするか?】
 リスク要因以外を揃えて、比較対照するケースコントロール研究というのがなされている。揃えきれてない条件がないのかという反論があったても、実は結果に差はないので、低予算でスピーディにできる。

 回帰分析とは、平均値に回帰するもの(どんなものにもバラツキがあるから)。データ間の関係性を記述、あるいは、一方のデータから他方のデータを予測する数式を推定するものである。
 ただし、わずかなデータの変化で関係性も変化するので、データが拡散している場合にはあまり有効ではない。
 現実のデータから得られた統計量はあくまで真値に対する妥当な推定値。どの程度の誤差があるのかを考えることで判断ミスのリスクを下げる。

【第6章 統計家たちの仁義なき戦い】

 統計学には6つの分野がある。
 6つとは「社会調査法」「疫学・生物統計学」「心理統計学」「データマイニング」「テキストマイニング」「計量経済学」。

 【社会調査法】は正確さを追求。コストと時間がかかる。
 【疫学・生物統計学】は、ランダム化によって妥当な判断を求める。
 【心理統計学】は、抽象的なものを測定する。例えばIQとか見えないもの。異なる指標がある程度相関して合成変数が作り出せる。
 【データマイニング】は、大量のデータから「知識」を見出すための技術でマーケティングの現場から生まれた。「おむつとビール」が有名。amazonのレコメンドのような高度なアルゴリズムも。
 【テキストマイニング】は、自然言語で書かれた文章を統計学的に分析。
 【計量経済学】は、統計学の一般的な考え方と比較して、曲線で演繹。統計学は帰納的に法則を導こうとするが、計量経済学は、演繹的に事実や仮定に基づいて論理的に結論を導き、あらゆる手段をつくしてモデルを作る。

 統計学には、頻度論派とベイズ派がいる。どちらが正しいかの正否はなく、使い分けが重要。ベイズ派効率が限られた情報と仮定で活躍(迷惑メールの振り分けなど)するし、頻度は十分なデータがあるときに間違いを極力減らしたいというときに使う。

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 今回の本はインプット強めだったので、今後のビジネス書のやりかたのヒントになった気がしています。ABDも少、「本の内容」と「場の目的」で4象限に分けていくとやり方の型ができそうな気がします。

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さては、今日いいことありましたね?
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satoru shoji

オリコングループの(株)oricon ME 顧客満足度調査事業本部長。 アクティブ・ブック・ダイアローグ協会認定ファシリテーター。MBA修士。

【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)のやり方

みんなで、楽しく、短時間で、記憶に残る読書法「アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)」を実践した記録です。ファシリテートする方向けに参考になればとアップしています。全体的なやり方や進め方(コンテンツ構成、時間配分、フォローアップ)の参考になると嬉しいです!
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