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【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)で読む『サピエンス全史(上下)』

 振り返りのためにまとめていることもあって、実際には3月に実施したのですが…自社の会議室を休日に開放させてもらい、『サピエンス全史』の上下巻の読破を試みました。時間を180分としたのですが、果たして完遂できるのかやや心配はありました。参加者も多いし!
 結果は思った通り、時間はオーバーし、ダイアログ抜きに)。今回のABDのやり方はちょっと反省ありです。コ・サマライズに集中してしまうと、ダイアログの時間が短くなってしまうので、このあたり改善の方法を探したいと思います(^^;

●今回のスタイル

参加人数:19人(ファシリ1名も参加)
ページ割:章ごと、30ページ
オープニング:15分
コサマライズ:60分→90分くらい。
プレゼン:一人3分→合計で65分くらい。
ギャラリーウォーク:10分
ダイアログ:15分(小グループ→全体)
エンディング:5分

 今回参加のメンバーのほとんどがABDを初めて体験する方たちでした。最初にABDのやり方を説明するスライドを挟みつつ、ABDの「みんなで楽しく」「かんたんに」「短時間で」という魅力をプレゼンテーションで伝え、気持ちをちょっと盛り上げます。
 私の場合、初めての人が多いときには、場をABDという空気感を味わってもらうために本の「裁断」をその場でやります。これをやるだけでちょっと不思議な世界観に入り込む感じが気がしてます。

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●事前準備

  今回、大ボリュームのしかも上下巻ということもあり、開催に向けては結構準備が大変でした。

①集客
 基本facebookです。人数次第では上下巻で日にちをずらそうと思ったものの、周囲では「初めて」「興味ある」という人が多く、意外と人数が集まりました。
 さらに参加者から新しい人を紹介してもらったりで、どんどん増加。これは1回で上下巻が済ませらるかと欲が出て20人での開催を目指す。

②参加人数の調整
 あまり人数が多すぎても困るので25人を上限としました。facebookイベントで「参加」ステータスになっていても、10%~20%は歩留まりがあることは前提にしておいたほうがいいですね。
 あと、当日の人数把握をなるべくしておきたいのと、参加者のモチベーション維持のため、開催日までに定期的に何か投稿をします。「準備中!」とか。日にちが近くなったらメッセンジャーグループを作ると見逃しが減るのと本番感が高まるので効果的です。

③参加者がほぼABD初参加
 今回はABDをやるのが初めてという人が多く、FB上での情報提供とオープニングに力を入れました。
 やり方について記載するスライドはもちろん、過去のサマライズのサンプルを提示してイメージをもってもらえるようにしました。

④ドタキャン対応
 当日、やむを得ず参加できないことは必ずあると考えたほうがいいです。今回最終的に人数が21人でした。20人いれば大丈夫なので、OKかなと思いましたが、念のため1章は本番前にファシリ側で例として提示できるよう準備しておくことにしました。(ドンピシャで19名参加になったのでちょうど良かった!)

●読んだ本

 『サピエンス全史(上)』300ページ
 『サピエンス全史(下)』296ページ

●著者

 ・ユヴァル・ノア・ハラリ

●上巻サマリ

「虚構」による認知革命によりサピエンスが他のホモ属を絶滅させた
 架空の物事について語れる「虚構」により、無数の見知らぬ人をつなげることに成功し、協力を可能にした。この認知革命から、農業革命・科学革命

②想像上の秩序(神話)により社会が拡大した
 農耕民族になったサピエンスは未来を想像するようになった。将来の不安を取り払うための「想像上の秩序」がつくられ、それ紡いでいくために文字が生まれた。

③世界は統一に向かっている
 サピエンスは、「貨幣」「帝国」「宗教」という3つの普遍的秩序によって、「全世界」と「全人類」を想像できるようになった。数千年単位で世界の流れを見てみれば、世界は統一に向かっている。

●下巻サマリ

①人類を統一するのは宗教である。
 いつでもだれにとっても正しく、この信念は全ての人に伝わり、信念や行動の基本になるからである。これは超人間的。

②無知の革命が人間の能力を高めた
 無知の発見により、物事を観察し、数学的に新しい説が唱えられるようになった。やがて科学技術は産業革命と資本主義によって、「戦争」を経て拡大した。

③サピエンスは限界を超える
 「生物工学」「遺伝子工学」「サイボーグ工学」によって、知的能力も情緒的能力も改変できる可能性を持っている。

●章ごとの要約(あくまでABDベース)

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第1章 唯一生き延びた人類種

 サピエンスの歴史の道筋として3つの革命が存在する。
 ①認知革命(7万年前)
 ②農業革命(1.2万年前)
 ③科学革命(500年前)

 私たちは、ヒト科ホモ属サピエンスである。
 かつてはホモ属(人類)は、ネアンデルターレン、エレクトスなど6つの種が同時に存在していた。
 人類と他の動物との決定的な違いは「脳」である。脳により思考力を入手をしたが、代わりに多大なエネルギーを必要としたため、食料が増え筋力は減った。ということは人類はずっと弱い存在だった。
 しかし、人類は「火」を操るようになったことで、調理ができるようになった。調理によって、主要な食料が変化し、消化が楽になり、病原菌を殺せるようになった。「火」は筋力などの身体的制約がなく使える。

 では、他の人類はどこへ行ったのか。2つの説がある。
 ①交雑説→交配して一体化
 ②交代説→駆逐して消滅した
 現代の研究で、現代人のDNAに他の人類のDNAがあることが判明。とはいえ、一体化とも言えず、完全な交代とも言えない。
 しかし、事実として1.3万年前に、サピエンスは最後の人類となっている。この生存成功の秘密は、「比類なき言語」のおかげではないか。

第2章 虚構が協力を可能にした

 7万年前に、サピエンスが他の人類を絶滅に追いやったのはサピエンスに「認知革命」が起こったからだと研究者たちは言う。
 それは「知恵の木の突然変異」とも呼んでもいい言語の発達をもたらした。サピエンスの生存と繁殖には社会的な協力がカギで、それは噂話(だれだれが信頼できる、誰が誰を憎んでいる)といった情報が重要だった。今日、歴史学の研究者でさえランチに噂話をしている。

 この言語の発達によって、サピエンスは架空の事物について語る「虚構」という能力を手に入れた。虚構は、伝説・神話・神々・宗教といったもの(例えば「ライオンは我が種族の守護霊だ」)を紡ぎだせるようになった。
 物語はあらゆる人を納得させ誰からも信じてもらえ、無数の見知らぬ人同士が力を合わせ、共通目的に向かわせることができる。

 認知革命によって、以下のことをもたらした。
①大量の情報を処理できるようになった
 複雑な行動計画をたて実行する
②社会へ伝えることができるようになった
 最大150人のまとまりある集団に。
③実際に存在しない者を信じるようになった
 多人数、見知らぬ集団が遺伝や変化またずに迅速な行動ができるように。

第3章 狩猟採集民の豊かな暮らし

 サピエンスはもともと狩猟民である。原初は豊かな暮らしをしてきた。

①健康に良く多様な食物
 狩猟民は、ベリー、きのこ、カタツムリ、カメ、ウサギ、タマネギ…など何十種類もの豊かな食料があった。一方で農耕民は、米、小麦、イモなど。これではビタミンもミネラルも不足する。

②比較的短い労働時間
 狩猟民は週に35~45時間しか働かなくてもよかった。一方で農耕民は、週に60時間も働く。

③感染症が少ない
 狩猟民は犬しか飼っていないし、色々な土地に移動できる。農耕民は様々な家畜を飼い、家畜を通じて天然痘、麻疹、結核などになる。また気軽に移動することができない。

第4章 史上最も危険な種

 85万年前、世界中に固有の豊かな種があった。4.5万年前にはサピエンスがオーストラリア大陸に進出し、さらに日本や台湾にもわたり、北米から南米に侵略。9千年前には人類と家畜がほとんどを占める世界になった。

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 種が減っている理由は、気候変動だけが理由ではない。気候変動は陸上生物だけでなく海洋生物にも影響するが、海洋生物であるディプロドンは気候変動で10回生き残っている。また、人類が外界に出るたびに大絶滅が起こっていることからサピエンスを犯人とする理由にはなる。

 ではなぜ、絶滅したのか。
 ①ほとんどが恐竜級の大型哺乳類なので妊娠期間が長く1体狩猟すると影響力が大きい。
 ②焼き畑農業。日に強いユーカリの木に生息するコアラは残ったが、他の種は絶滅していった。
 ③これに追い打ちをかけるように気候変動があった。

 認知革命により、多種多様の生物を絶滅させ、農業革命によって家畜ばかりになり、産業革命では海洋汚染によって海洋生物を危機にさらしている。

第5章 農耕がもたらした悲劇

 250万年前、人類は植物を採集し、動物を狩っていた。このころの動物は人類の介在なしに暮らして繁殖していた。
 しかし、1万年前の農業革命により、人類は日の出から日の入りまで種まきをし、水をやり、雑草を抜き、羊などを飼育し始めた。現代もカロリーの90%以上を当時の作物で補っている。

 農耕民は狩猟民よりも満足度は低い生活を送っている。
 狩猟民は刺激的で多様な時間を過ごし、飢えや病気のリスクも低い。一方で農耕民は人口は増加したものの、苦労した見返りは低い。飽食とエリート層が生まれ、必ずしもいい生活には結びつかない。
 この犯人は、小麦・稲・ジャガイモといった一握りの植物である。

 農耕のデメリットはまだある。
 サピエンスは農耕向けの身体ではないため、ヘルニア・関節炎などの疾患を発症させ、天候やイナゴによって飢餓を生み、また定住の必要があるので危険から非難ができない。
 人口増加の罠も罠もある。女性は多くの子供を生むようになったが、子どもは多くの穀類を消耗し、奪い合いが発生し、子供の死亡率も上がり、20歳にされない子どもは3分の1。でもこの生活から抜け出すことができない。
 これらは贅沢の罠である。
 現代もがむしゃらに働いて35歳で引退したいと思っても、現実は多額のローン、高価なバカンス、車などの贅沢から抜け出せず、常にイライラ。

 農耕は家畜にとっても大惨事をもたらした。
 肉汁たっぷりのステーキを人間が得るために、小さな箱で、太らされ、短い生涯を終える。サピエンスの増加は固体の多大な苦しみと密接している。

第6章 神話による社会の拡大

 狩猟民から農耕民になることで、人類は繁栄の道に進んだ。
 農耕民は想像のなかで何年も先に想いを馳せる一方、狩猟民はほとんどがその日暮らしなので未来のことを考慮に入れなかった。
 農耕民は、農耕の不確実性(不作、悪疫、洪水など)があり、心配の種が多かったが、それゆえに不安な未来を想像して何かしら手を打った。

 農業革命によって都市や帝国が開かれると、それらを維持する協力ネットワークすなわち「想像上の秩序」が社会規範となる。それは神話であり法典、原理、民主主義、資本主義と生まれてきた。
 想像上の秩序は、暴力と真の信奉者(特にエリート層)によって維持される。

第7章 書記体系の発明

 アリやミツバチは、生涯に必要な行動がDNAに組み込まれている。
 人間は、同一の教え(ルール)を学んで全員で共有している。

 サピエンスの社会秩序は全て想像上のものである。それは法律であり習慣であり、手順であり、作法であり…。親から子へ、子から孫へと伝えられる。

 しかし、人間の脳の限界として
 ①容量が限られている
 ②人は死ぬ
 ③特定の種類の情報だけを保存する
 が、農業革命によって大量のデータ(所得、財産、負債)が必要になったため、体制が崩壊する。

 書記の発明により、口伝から記号や文字によって伝わり、税の記録簿や複雑な官僚制をまとめることができるようになった。
 また、脳のプログラムが修正され、自由連想や網羅的思考から、情報を保存検索する分類と官僚制になった。

第8章 想像上のヒエラルキーと差別

 農業革命後の人類の発明として、書記体系と想像上の秩序かある。
 想像上の秩序の副産物として、ヒエラルキーが生まれた。

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第9章 統一へ向かう世界

 神話と虚構によって、文化が形成されるようになった。

 数百年単位で鳥瞰的な流れを見るのではなく、数千年単位という宇宙的な流れで見れば、モンゴル帝国崩壊のただのバンプでしかない。
 アフロユーラシア大陸がメソアメリカ、アンデス、オーストラリア、オセアニアを飲み込むのは不可逆な流れで、タスマニア人も1.2万年前まで、自分たち以外を知らなかったが、飲み込まれていった。

 サピエンスは人々を「私たち(身の回りの人)」と「彼ら(それ以外)」に分類していたが、認知革命により変化していった。
 サピエンスは、「貨幣」「帝国」「宗教」という3つの普遍的秩序によって、「全世界」と「全人類」を想像できるようになった。 
 世界は統一に向かっている。

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第10章 最強の征服者、貨幣

 「貨幣」は普遍的な相互信頼制度として機能した。みんなが信頼しているから使える。大麦は食べることができてしまうし、銀のシュケルは重さを図る必要がある。「貨幣」は重さが統一で記号を刻印することで本物であることが保証される。

 言葉や文化、宗教が異なってもその人の持つ貨幣は信頼する。
 見ず知らずで信頼し合っていない人同士も効果的に協力する。隣の人を信頼しているわけではなく、信頼しているのはその人の持つ貨幣である。

第11章 グローバル化を進める帝国のビジョン

 帝国とは、異なる文化を持つ民族を支配し、変更可能な境界と無尽の欲。人類の多様性が激減していった。
 しかし、悪で語られる帝国は果たして本当に悪なのか。
 帝国は長期的に機能しないと言われるが、過去2500年、最も一般的な組織である。また、帝国は破壊と搾取の原動力と言われるが、哲学や芸術などの文化的業績がある。

 サピエンスは人類を「私たち」と「彼ら」に分けるが、民族的排他性とは別に、帝国は包括的で網羅的である。

 帝国は、多くて小さい文化を、少なくて大きな文化にする。この目的は、手間を省くためであり、正当性を獲得するためである。
 帝国は征服者よりも、被征服者の方が大きな恩恵を受けるよう、優れた文化を広めるために機能する。

 帝国のサイクルは、
 ①小集団が帝国を確立 → ②帝国文化が創出 → ③帝国文化が被支配民に採用 → ④被支配民が対等の地位を要求 → ⑤帝国の創健者たちが支配権を失う → ⑥帝国文化が繁栄と発展を続ける

 このような帝国の機能を考えれば、単一のグローバル政府が、地球温暖化や人権擁護などのグローバルな問題を解決したほうが簡単ではないか?
 新しいグローバル帝国はGAFAが築くかもしれない。

第12章 宗教という超人間的な秩序

 人類を統一するのは、貨幣でも帝国でもなく、宗教である。
 なぜなら、いつでもだれにとっても正しく、この信念は全ての人に伝わり、信念や行動の基本になるからである。これは超人間的。

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第13章 歴史の必然と謎めいた選択

 すべての大陸の事実上すべてのサピエンスは、現在、グローバルな世界に到達したことは、人類史のダイナミクスの必然的結果だった。

 歴史学者は、「どのように」は、一連の特定の出来事を言葉で再現できるが、「なぜ」は、あらゆる可能性ではなく、その特定の出来事を生じさせた因果関係を見つけることなので、説明することが難しい。

 歴史というのは2次のカオス系
 1次のカオス系は、予想に反応しない(天気など)。
 2次のカオス系は、予想に反応する(石油価格の予測プログラム、歴史、政治は予想に反応した結果、予想が外れる)
 つまり歴史は決定論的ではない。

 ではなぜ歴史を研究するのか。
 未来を知るためだけではなく、未来を視野を広げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然のものでもなく。私たちの前には想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するため。

 歴史の選択は人間の利益のためになされるわけではない。また歴史は個々の生き物の幸福には無頓着。
 文化は精神的な寄生体で、宿主の体内で生きる。ときに別の宿主に感染し、宿主を弱めたり殺したりする。しかし、人間は死んでも概念は広まっていく。これはミーム学と呼ばれる。

第14章 無知の発見と近代科学の成立

 科学技術の投資が人類の能力を高めた。
 科学革命は「知識の革命」ではなく「無知の革命」。無知を克服するために物事を観察し、数学的に新しい説を唱える。

 科学技術は宗教とイデオロギーと提携して栄えた。
 科学技術は「戦争」より大きく飛躍してきた。「科学と産業と軍事のテクノロジー」が結びつくのは「資本主義と産業革命」が到来して以降。

 科学技術は帝国と資本主義がけん引していく。
 科学技術の進展のための金銭的援助は「政治的、経済的、宗教的」思惑が左右する。特に今後注視しなくてはならないのは帝国主義と資本主義である。

第15章 科学と帝国の融合

 1775年までアジアが世界経済の8割を担い、インドと中国だけで全世界の生産量の3分の2を占めていた。しかし1950年になるとヨーロッパとアメリカで全世界生産量の半分を締め、中国は5%となった。なぜヨーロッパ人なのか。

 ヨーロッパ人であるジェイムズ・クックは、自分が「発見」した島々や陸地をイギリス領にしていった。これは先住民の文化と大多数の先住民の殺戮の起点となったが、世界を制する精神構造がそこにある

 ヨーロッパ人は、科学技術であれ新しい土地であれ、科学者も軍人も同じ船に似たような考え方を持ち探索と征服の精神構造がある。中国の明将・鄭和はヨーロッパ人の航海の先駆けと言われるが、征服の野心がなかった。

 メキシコの制服もヨーロッパ人。アステカの原住民は、情報がなく、相手が征服するとは思っていない。一方でヨーロッパ人は征服つもりでいるがそれは見せず、原住民の言語を理解して帝国をつぶす。

第16章 拡大するパイという資本主義のマジック

 「信用」というのは、今日のパイと明日のパイの大きさの差。将来の資力が現在の資力よりも豊かになるという前提。

 近代以前の経済は、「将来を信頼しない」→「信用がほとんど発生しない」→「経済成長が遅い」というサイクル。
 近代の経済は、「将来を信頼する」→「信用が盛んに発生する」→「経済成長が早い」というサイクル。

 コロンブスは、「東アジアへの貿易ルート開拓」のためスペイン国王がスポンサーになった。100年後コロンブスの後継者たちは、君主や銀行家から多くの信用供与を受けた。これは帝国資本主義の魔法の循環。

 資本と政治は固い結束で結ばれている。
 ・1840年 第一次アヘン戦争
 ・1882年 イギリスのナイル信仰
 ・1821年 オスマン帝国の反乱の鎮圧
 政府が大資本の意向を尊重した。

 自由市場至上主義とは、政治を経済に関与させず、課税と政府の規制を最低限にするもの。ただし行き過ぎはだめで、市場の不正行為(詐欺、盗難、暴力)を抑えるのは政治の仕事。

 自由市場資本主義は利益が公正な方法で得られることも分配されることも保証できない。人類とグローバル経済は発展し続けるだろうが、さらに多くの人々が飢えと貧国にあえぐことになるかもしれない。

第17章 産業の推進力

 私たちは、エネルギーや原材料は枯渇すると思いがちだが、本当にそうだろうか。産業革命以前は…

 【例1】輸送手段の製造産業
 1700年には、木や鉄に頼り、作るのは職人の筋肉。現在では、アルミ、チタン、プラスチックであり、燃焼機関や発電所から製造のための動力を得ている。
 【例2】電気エネルギー
 1800年には、電気は経済において、何の役割もはたしていなかった。現在では、電気なしでは生活できない。
 【例3】手の乾燥が気になるとき
 2000年前は、オリーブオイルを手に塗っていた。現在ではハンドクリームを塗っている(脱イオン水、ステアソン酸…)。

 私たちの祖先は、現在使われている原材料もエネルギーも、当時思いつきもしなかった。果たして、エネルギーや原材料は有限だといえるのか?

第18章 国家と市場経済がもたらした世界平和

 産業革命により、家族とコミュニティに代わり、国家と市場が力を持つようになった。
 それまでは家族・地域で生活が営まれてきた。産業革命により国家が力を持つと、「個人」に力を与え、親密なコミュニティである家族と地域コミュニティを弱体化させた。それに代わり台頭したのは、国民と消費者という、国家と市場経済を形成する想像上のコミュニティ。

 国家と市場により、世界平和がもたらされた。
 それまでは、コミュニティ内外の紛争であったり、征服や併合を目的とした他国への侵攻が多かった。現在では、核により戦争の代償が極めて大きくなり、また富が市場に移行したことによって、侵攻による利益獲得が減少した。戦争起こすことの採算が合わなくなる一方で、平和による貿易により利益と国家の相互依存関係が発生している。

第19章 文明は人間を幸福にしたのか

 人間は力を増すと幸せになると考えるのは安直である。サピエンスは、農業革命により集団としての能力は増大したが個人としての運命は過酷になった。狩猟採集民以上に働かなければならないし、ヨーロッパ諸帝国の拡大はアボリジニにとっては吉報とは言えない。

 幸福は、「客観的条件」と「主観的な期待」との相関関係によって決まる。幸福とは、①快感を覚えること ②人生に意義があると思い込むこと。これら2つは主観的な感情が前提。③自分の感情はすべて束の間のものと理解し、感情の追求をやめること。

第20章 超ホモ・サピエンスの時代へ

 21世紀、サピエンスは生物学的に定められた限界を超えつつある。
 サピエンスはこれまで、他のあらゆる生物が支配するのと同じく自然選択に支配されてきた。しかし、今日、この体制は変わる。

 「生物工学」「遺伝子工学」「サイボーグ工学」によって、知的能力も情緒的能力も改変できる可能性を持っている。しかし、倫理的異議、政治的異議によって研究の進展が遅れる。これを突破し、人間の意識とアイデンティティの根本的な変化の段階に行くと、「人類」という言葉そのものの妥当性が問われる。

 私たちは、人間強化の研究の過程で、「何をすることが禁じられているのか?」に関心を向けるが、「病気を治療し、人命を救うためにやっている」という主張には同感する。
 この主張は科学のすることのいっさいを正当化する。人造人間を生み出すフランケンシュタイン博士を止めることはできない。

●ABDを終えて

 『サピエンス』の次に、『ホモ・デウス』もやっています。
 この2つをABDで、3時間でやってみたものの、反省点が多いです。

①時間が短かった
 ここに全てが詰まっているのですが、3時間で上下巻は短すぎました。対話が全く取れなかったです。だからと言って長くすればよかっかどうかは微妙…

②参加者が慣れていなかった
 ABDは慣れると、読み方もまとめ方も定まってくるのですが、初回の方も多くいたため読み込んでしまったり、リレープレゼンで自分の番で精一杯になったりしてしまったように感じました。

③参加者が多かった
 19人という人数を1つのグループでやったので、分割はほぼ一人1章にできたのですが、リレープレゼンに時間がかかり、全部を集中して聞くという状態にできなかったです。

 なので『サピエンス全史』は、なかなか記憶の定着までができなかったように思います。やるのであれば、人数を半分くらいにして、上下巻は日にちを分けて実施。もしくは4~5時間くらいに設定して、2周する感じにしたほうがよさそうです。

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さては、今日いいことありましたね?
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satoru shoji

オリコングループの(株)oricon ME 顧客満足度調査事業本部長。 アクティブ・ブック・ダイアローグ協会認定ファシリテーター。MBA修士。

【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)のやり方

みんなで、楽しく、短時間で、記憶に残る読書法「アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)」を実践した記録です。ファシリテートする方向けに参考になればとアップしています。全体的なやり方や進め方(コンテンツ構成、時間配分、フォローアップ)の参考になると嬉しいです!
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