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【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』(要約あり)

 いろいろなことが重なり、結果的にとても大きな示唆が得られた本『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』。かなりおススメです!

 最近は内省ブームで『insight』や『ザ・メンタルモデル』といった本がありますが、『ザ・メンタルモデル』は、別開催のABDに参加していて、そこで書かれていた発達段階モデルとトランジション理論と向き合い方はリンクします。『ザ・メンタルモデル』で書かれている、【適応期】【直面期】【自己統合期】の流れがトランジション理論でいう【終結期】【ニュートラルゾーン】にあたるという感じで、これらのステップの移行を促進させるための内なる自分に向き合うための方法が、『直感と論理をつなぐ思考法』が言うビジョン思考という理解です。

 『ザ・メンタルモデル』『直感と論理をつなぐ思考法』のどちらかしか読んでいない方は、合わせて読んでみるといいかもしれません。

 今回のABDはフォローアップも含め、コンテンツの構成や進め方、全体を通してかなり練りました。なんとなく私なりのABDのやり方も定まってきたような気がします。

今回のスタイル

※当初の想定としてはこんな感じ。実際には、参加者が減ったこともあり、サマライズにかかる時間を多くしたため、時間配分が合わずワークショップは割愛。

参加人数:9人(当初は12名予定)
合計時間:180分(時間内に完了)
ページ割:一人合計20ページ程度
オープニング:55分(コサマライズ1回目含む)
コサマライズ:50分(コサマライズ2回目)
休憩:10分
プレゼン:一人3分くらい×9人
ギャラリーウォーク:2分×4回(一人で)
ダイアログ:30分(個人→グループ)
ワークショップ:15分
クロージング:5分(個人でのまとめ→チェックアウト)

この構成の工夫としては、以下の4つ。
①オープニングでしっかり前提情報をインプット
②本書の伝えていることに沿い、イラストを推奨
③本書で書かれている、ビジョン思考へのヒントとなるワークショップを実施する
④ギャラリーウォークで使用するシールの色に意味づけをする(ピンクは共感するところ、とか)

●設計書

 最近よくやる、コ・サマライズ2周。序盤は導入なので課題意識の喚起や、話の大枠などが書かれていたり、長時間は集中力も途切れるので、なんとなくコ・サマライズを2周実施というのはいいような気はします。

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●事前準備

 ページ割が結構大変でした。
 参加人数と章数の兼ね合い、それから内容をもとにページ割を考えているのですが、今回はその組み合わせがなんとも難儀…。
 特に、ビジョン思考のヒントとなる手法がいくつも紹介されているのですが、そこがぶつ切りになると真意が伝わらないので、そこを中心に割り振った格好です。当日中途半端になるページのコピーもしました。

 ABDはキャンセルがあると結構大変なので、「やってもやらなくてもいい章」は必須で構えておいてほうがいいです。

●オープニング

 著者紹介、対談記事の共有、キーとなるビジュアルの共有、妄想クエスチョン(本の中にある妄想手法)、序章と1章のコサマライズで構成しました。妄想クエスチョンはアイスブレイク代わりにも活きたかと思います。

●コサマライズ・リレープレゼン

 普段は絵を推奨していないのですが、本が伝えている内容を体験するために、イラストを必ず入れるようにルール化しました。

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●ギャラリーウォーク

 今回は一人でのギャラリーウォークにしました。普段は気になったところに無造作にシールを貼ってもらっていますが、自分がどんな印象をもったのかを内省するためと、見返したときにみんながどういう感覚をもったのかを考えてもらうため、シールの色に意味づけをして貼ってもらいました。

 ピンク:共感したところ
 青:わからなかったところ
 緑:実践してみたいこと

↓そうすると、こんな感じになります

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●ダイアログ

 ギャラリーウォークでのシールが多く貼られたところを中心に、参加者全体で疑問、感想を共有。差が出て面白いのと、振り返ってわかりやすいですね。疑問な部分は回答できないところも多いので、後日メッセンジャーグループで共有することとしました。

 時間の都合でワークショップは実施しなかったのですが、「マンダラート」であったり、本書にある「あまのじゃくキャンパス」をやってみると、いいかもしれないなと思っています。

●エンディング

今回、時間いっぱいのためクロージングはできず。

●リフレクション

 いつも通り、PDF化して参加者に共有。
 ABDだけではなかなか難しい部分について、後追いで補足を参加者に提供。「真善美」「トランジション理論」など。

●ABDサマリ

【はじめに&序章】「直感と論理」をめぐる世界の地図
 自分モード(これがやりたい!)ではなく、他人モード(どうすれば他人が満足するか)にハイジャックされると、何かにワクワクを感じたり幸せを感じたりする力が鈍る。

 これまでの思考の領域には、「カイゼン思考」「戦略思考」「デザイン思考」の3つのタイプが存在。
 カイゼン思考とは、PDCA。現代は「自動化」や「VUCA」で、共通の正解がなくなってきている。戦略思考はデータドリブンで高打率だが、既知のものから脱却できない。デザイン思考は、手を動かす「プロトタイピング」、五感を使い統合する「両脳思考」、生活者の課題を解決する「人間中心共創」が本質だが、みんなで作る以上、他人モードに偏りがち。

 ふと視線をずらすと、他人の目を気にしない「自分モード」の人たちが、一人では登り切れないような山(ビジョン)を登っている。これが人生芸術の山脈。

【第1章】最も人間らしく考える
 トランジション理論のステップ(終わらせる段階、ニュートラルな段階、次のステージを探す段階)を進めるには、妄想の部屋に続く穴に飛び込んでみることが有効。落ちた先には…
 「妄想の部屋」本当の関心と出会う
 「知覚の部屋」輪郭をはっきりさせる
 「組替の部屋」メタ認知を促す
 「表現の部屋」具体的な作品へ

 自分らしい思考を取り戻すためには、余白づくりが起点になる。

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【第2章】すべては「妄想」からはじまる
 本当に価値あるものは「絵空事」からしか生まれない。イシュードリブンは現前する課題に対して、ビジョンドリブンは内発的な妄想から。人が創造性を発揮するには、現実とビジョンの間にあるギャップを埋めようとするとき。

 ビジョンを引き出すための、「余白」と「キャンバス」は、紙と手書きが基本。他人モードに邪魔されないように、仕事関係の情報やSNSはシャットアウト。妄想を引き出すメソッドとしては、モーニング・ジャーナリング、何もしない時間をスケジュール予約する、偏愛コラージュなど。

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【第3章】世界を複雑なまま「知覚」せよ
 シンプルでわかりやすい世界は視野が狭まり、タコツボ化する。タコツボ化を防ぐには「知覚力」を磨くこと。知覚がうまくできない場合、センスメイキングのプロセス、①ありのままに観る(感知) ②自分なりのフレームにまとめる(解釈) ③まとめた考えに意味を与える(意味づけ)のどこかが滞っている。

 「ありのままに観る」感知を磨くためのエクササイズとして、ペットボトルスケッチ、カラーハントなどがある。
 「自分なりのフレームにまとめる」解釈のエクササイズとして、ビジョンスケッチ、1単語1イラストの視覚化などがある。
 「意味を与える」練習法としては、クラウドハント、ムードボードがある。SNSでハッシュタグをつけてみるといい。

【第4章】凡庸さを克服する「組替」の技法
 組替(新結合)とは、「分解」+「再構築」。個人レベルの着想に客観性が付与される。

 分解は、3つのステップがある。
 ①「あたりまえ」を洗い出す。箇条書きではなく、可動できるポストイットなどに書き出すのがいい。
 ②「あたりまえ」の違和感を探る。常識に隠れているツッコミどころを探す。違和感をジャーナリングしてみる。
 ③「あたりまえ」の逆で考えてみる。あえて逆で考える、あまのじゃくスイッチをオンにする。

 再構築には、3つのステップがある。 
 ①アナロジー(類推)思考。Aがあったとき、Bとの類似性Cがあったら、「Aもこういう性質をもっているだろう」と類推する。
 ②メタファー(比喩)。アナロジーを人にわかりやすく伝える。
 ③制限。制限があったほうがまとまる。
 アナロジーを使ってアイデアの組替を行うには、アイデアスケッチ、制限をかける例としては無茶ぶり(時間の制限、フォーマットの指定)。

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【第5章】「表現」しなきゃ思考じゃない
 表現はクリエイターの仕事か?組替から表現の壁を超えなければならない。表現はイタレーション(反復)がカギ。プロトタイピングで具体化して、フィードバックを受けて、さらに具体化していくことで、早めの失敗で早く精度を高められる。

 表現するときは、以下に気を付ける。
 ①表現の「動機付け」をする。頭より手を動かす。とりあえずPCを断ち切る。
 ②表現を「シンプル」にする。伝わりやすさで意見をもらう。ビジュアルに落とし込む。相手が類推できるメタファーで伝える。
 ③表現に「共感の仕掛け」を作る。人を動かすストーリー。聴き手に共感を生み、影響を与える。英雄の旅フレームを用いる。

【終章】「妄想」が世界を変える?
 改めてなぜ「自分モード」が重要なのか。VUCAの時代、予測して対応するのではなく受け流す力が重要。
 直線的な成長社会では生産性が求められていたが、複雑な知識社会においては、妄想が駆動力となり、「好き」や「関心」で失敗や障害を乗り越えていく。
 自分の妄想を、SDGsのような大きな目標と照らし合わせるよう、哲学的な「真善美」の価値観からしてみれば、社会の中での文脈で妄想が語れる。

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 今回のABDは、ワークショップをやりたかったのが心残り。ただ、ビジュアル化、妄想クエスチョン、手を動かす、という要素はあったので、ファシリテートする側としてはうまくいった方かもしれません。
 本の内容をうまく取り入れていくやり方が定着にもつながりやすいので、意識していくとよさそうです。

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satoru shoji

オリコングループの(株)oricon ME 顧客満足度調査事業本部長。 アクティブ・ブック・ダイアローグ協会認定ファシリテーター。MBA修士。

【実践】アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)のやり方

みんなで、楽しく、短時間で、記憶に残る読書法「アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)」を実践した記録です。ファシリテートする方向けに参考になればとアップしています。全体的なやり方や進め方(コンテンツ構成、時間配分、フォローアップ)の参考になると嬉しいです!
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