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幼少期の幻視について

この話は書くかどうか迷ったネタなのだが、私は4歳頃~7歳頃まで、どうやら人と見えている映像が若干異なっていたらしい。

「それ」は、決まって暗闇と共に訪れた。

物心ついたばかりの私は、あまり寝付きの良い方ではなかった。

とは言え眠れないイライラを態度に出せば決まって両親は不機嫌な顔をするので、ただじっとカーテンから漏れる月明かりを頼りに天井の模様を眺めたり、ぐるぐると寝返りをうったりして、睡魔の訪れを待つような、そんな感じであった。

すると、決まって幼少期の私の両目は暗闇に蠢く不思議な影を捉えた。

ーーーと、ここまで話すと大概の人はオカルトじみた妄想だと距離を取るが、そんな大層な現象であるとは微塵も思ってはいない。

人間の目が映している像というものは(特に子供のうちは)いかようにもその光景を脳内で変換してしまう、という話である。

その「影」は、毎夜毎夜と必ず私の元に訪れた。

ある時は、人っぽい姿で。ある時は、着ぐるみの様な姿で。

彼らは天井の「面」をシアターの様に使い、どこか知らない道を歩いていたり、そうかと思えば床から飛び出して私の体の上をアーチの如く何体にも分かれて行進したりした。

しかもその視覚情報は、例えば右に寝返りをうった時に床から飛び出したと思えば、次に左に寝返りをうった時に、ちゃんと同じ情報が天井から床に吸い込まれていく。

子供心に、なんと良く出来た映像だと感心した覚えがある。

ただし、一度もそれらの映像に紐づく「音」が聞こえたり、その影がこちらを見たりしてきたことはない。あくまで、無声映画を鑑賞している感覚ではあった。

誤解の無きよう言っておくが、これらの「影」は8歳頃になるとぱったり見えることはなくなったし、今の私が見ることも出来ない。見えてたまるかという話ではあるが。

ちょっと不思議な話、そういう事もあるのか、といった感じで捉えていて頂ければ幸いである。

とりあえず、その頃それをいかに周囲の人間、親にすら説明したとて、全く状況を理解してくれなかったり、人によってはおかしな子を見る目で見られたので、すっかり人に言うことをやめてしまった。

17歳くらいの頃、仲の良かった友達に話したら初めて「面白いな、それ」と言ってくれた位である。

とりあえずネットに書き込んでみれば、もしかしたら似たような幼少期の経験を持つ人の話も聞けるかな…くらいの気持ちで書き記す。

まあ、信じるか信じないかは、あなた次第。

この記事は、#週1note に参加しています。


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