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ソウルの球春とMLBとJTB

MLB(アメリカ大リーグ機構)は、国際パートナーシップ契約をJTBと結び、3月20、21日に韓国・ソウルで開催されるドジャースとパドレスの開幕シリーズの観戦ツアーを発売するとのこと。大谷翔平選手、山本由伸選手を見ようというファンを狙い、USAまで行かずとも隣国で観戦できますという企画です。

ソウルでの開幕シリーズのチケットは26日から韓国内で販売が開始され、同国のインターネット通販大手サービス利用者だけが購入できることになっていたところ、旅行ツアーに組み込む形で日本発の観戦旅行商品を買うという道を開らきました。

公式ルートで売り切れになったチケットでも、旅行業者のルートで手に入ることもあって、私自身、公式では完売のプロ野球・日本シリーズ開幕戦のチケットを旅行代理店経由で入手したことがあります。売り出す方は売れ残りを恐れて、いろいろなチャンネルに話をしているのは当然なので、発売元で売り切れ御礼でも、流通ルート上に残っていることはありうる話です。

ところで、ドジャース対パドレスの韓国開幕の日程は、球場の確保に始まり、選手らの宿泊・レセプション、韓国でのチケット販売の準備や広報、混雑対応の警察協議などを考えれば相当前に決まっていたはずで、大金が動くビッグな企画ですから、チケット販売は周到に進めてきたと考えるのが普通でしょう。よくぞJTBさんが入り込めた上に、ツアー商品となれば宿泊施設も確保できたということで、もしかして売れ残りの恐れがあった?と邪推してしまいます。

試合会場は、韓国唯一のドーム球場「コチョク・スカイドーム」だそうですが、収容人数が1万7千人とのお話。屋外球場で予定して当日雨天中止では大損害を被るでしょうから、屋根付き球場で開催するのは必然としても、この人数で採算を取るためにはチケット代が超高額になるはずです。韓国にもMLBファンは当然一定程度いるとして、どこまで支払ってくれるのか。スポーツバーで仲間たちと盛り上がっているほうが良いと考える人が多くなっても不思議ではありません。

JTBにしても、参加者1人からどの程度の粗利が出るのか?条件は買い取りと思われますので、旅行商品の販売価格を高額に設定して売れ残っては話になりません。仮に1人あたり3万円儲けたとして、確保チケットが1千枚なら3千万円。引き取りチケットを増やせばそれだけ売れ残りのダメージが大きくなりますから、旅行商品の売価を下げて粗利を諦め・・・事前予約の枠数を狭くしておいて、超過の場合は引き取り数を増やせるのか、それが出来ても、春休みシーズンに宿泊施設や飛行機の席は追加で確保できるのか・・・観客収容数が中途半端なので実に面倒な限りです。企画担当者の幸運をお祈り申し上げます。

さて、JTBによると6月にロンドンで開催される試合のスポンサーになるとか、保険引き受け役として組み込まれているようにも見えるのですが、気のせいでしょうか。また、USA本土での観戦ツアーも企画するとか、この場合、雨天中止はどうなるか。チケット代だけ返されても残念至極ですが、そこは、本場のボールパーク観光で元はとれる!そういうことなのでしょうか。雨対策は観光ビジネスの急所とはいつの時代でも変わりません。

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