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気候変動の時代の観光

スーパーエルニーニョの影響で、猛暑日や熱帯夜が一向に減らない今年の気候。これぞ地球温暖化というには、言われていた話と比べ、上げ幅がきつ過ぎて趣が違います。もっとも、「平均で上がっていく」と言っているから極端に暑いこともある、と説明するのでしょうか?そうならば、極端な冷夏もあるという予想が立ちます。これでは、季節型観光の先々は大変心配です。

海水温の上昇が大気中の二酸化炭素と本当に因果性があるのか、浴室の気温を上げても浴槽の水温が上がる訳はない、との指摘を聞くにつけ、気象の制御は未だに無理と覚悟して、気候に影響されない観光の形を本格的に探るときが来ています。

昨今の気象変動はこれまでの定番的な観光を崩壊させつつあります。春が短く花の開花時期が繰り上がり、梅雨知らずの北海道という定説も怪しくなり、暑すぎる夏は海水浴やキャンプに行く気力さえ削いでくれますし、秋の紅葉もどうなることか、台風が増えれば塩分を含んだ風雨にさらされる地域では葉が茶色になってしまいます。そして冬、雪不足が慢性化したり逆に過剰な積雪でウィンタースポーツで商売をしている地域が苦境に陥る恐れがあります。

こう考えると、知恵を絞り資金を集めて通年型観光への転換を図る必要があります。自然の魅力に頼りつつ、人の手によるエンターテイメントを提供する。有能なプロデューサー人材の確保こそ地域創生のカギとなります。行き当たりばったりにしか見えない総務省の地域おこし協力隊では、心細い限りです。

気候の影響を受けない観光資源として「温泉」があります。どこの温泉宿もそれぞれに工夫をされていますが、総じて「風呂」の領域を出ていません。朝日や夕日を眺められるとしても時間帯が限られ、込み合って風情が感じられません。そこで、プロジェクションマッピングの技法を活用して、浴室空間を演出するという新しい形を密かに期待しています。幻想空間に取り込まれて温浴タイムを楽しむ。映像作家の仕事も増え、楽しさが広がると思います。

体験型観光の時代などと随分前に囃されましたが、染め物実習やらそば打ち体験、地元民による民話語り、健康ウォーキング、自然観察、ガラス工芸教室など、その頃に出てきたメニューから劇的な進化は感じられません。衰退した訳でもないようですが、隆盛でもなさそう、ならば新時代の体験型観光を開拓することが望まれます。

バードウォッチングにしてもガイドによる説明と写真撮影ではなく、鳴き声を録音して環境音楽とミキシングし安眠用のサウンドを作るとか、山野草栽培を学びフリマで売って副収入を得る講座とか、有害獣・イノシシ肉の燻製づくりと地酒を飲みながら猟師(もしくは怪談師)に山の不思議体験を語ってもらうとか、新米のもち米を精米したて蒸かし搗き立て餅で御当地的な餅料理フルコースを味わう、廃校舎を活用したアート性の非常に高いホラーハウスなど、開拓の余地は多々あるのではないでしょうか。

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