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Porter Robinson LIVE IN TOKYO

 ポーターロビンソンのライブへ行った。去年からの新参とはいえ毎日のように聴いてたほど、彼の音楽に取り憑かれていた。それ程彼の音楽は素晴らしかった。


 開演。会場の照明が落ちる。ライブでテンションがマックスになるのはいつもこの瞬間だと思う。これから起きることへの期待と喜びとイメージが頭の中を凄まじい速さで駆け巡っていく。
 スクリーンに光の糸が映し出され少しずつ会場を照らしだす。ポーターロビンソンが入場してきたときの大歓声を聞いて、少し感動する。コロナ禍では、こんなに叫びたがってる気持ちをずっと押し殺してたんだと感じさせた。(ずっと奇声を上げてるお調子者の声が聞こえないことは不幸中の幸いだったけど。)
 ポーターはテンポ良く凄まじいアレンジで名曲を繋いでは会場を沸かしていった。終始笑顔で、会場のみんなとのコミュニケーションを楽しみながら、「ありがとー!!」「とーきょー!!」と、何度も何度も絶叫していた。笑(何回も日本語のエムシーを試みようとしてくれてたけど、結局「…英語で良いですか?」と申し訳なさそうに言ったのには笑ってしまった。温かくて優しい人柄が滲み出ていた。)楽しくて仕方ないよ!っていうのが言葉を超えて伝わってきた。こっち(お客さん)のボルテージもマックスで1対3000のやりとりではなく3001人で音楽という魔法にかけられて、Something ComfortingのMVみたいに、空に投げ出されたように、音に身を任せて、自分の好きな世界の中で幸せになっていた。みんなが同じものを好きな空間では、人が何人いても、僕は平気だった。
 会場を出ると夢から覚めたみたいにまた重たい空気がのしかかってくる。でも、ポーターの音楽を浴びた後と前では、ほんの少し、とても僅かに、何かが違っていた。それはきっと、自分の生き方を肯定する何かだと思うけど、名前はまだわからない。
 音楽というのはきっときっかけであって、人生における重要なスパイスなんだと再確認した。ほろ苦くて甘い交響曲が人生だと誰かが言った。悲しみも喜びも全てないまぜになって続いていき、いつか途切れるその時に、今日のような経験が、きっと良い人生だったと思わせてくれるんじゃないだろうか。

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