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すべてのファンコンテンツは「白爪草」であって欲しい。

ネタバレ無しの感想だよ

家系ラーメンというラーメンの派閥がある。
詳細な定義はWikipediaとかを見てもらうか、みんなの周りに1人は存在するやたらラーメンに詳しい男とかに尋ねてもらえば良いんだけど、「家系ラーメン」と言われたらなんとなく『こってり系のとんこつ醤油ラーメン』という認識は一般的だと言って良いだろう。

ヤサイニンニクアブラで有名な「二郎」を想像するのも多分正解だ。
今日は疲れてて食欲ないな~、なんて思った時に”家系ラーメン”を選択する人はあんまりいない。
何故なら、家系ラーメンが「こってり系のとんこつ醤油ラーメン」であることを私たちは知っているから。

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ファンコンテンツもこれと同じだ。
まず前提となる作品や、ファン同士で通じるネタの文脈があり、そのIPを使ってファン向けに作られたアニメ、マンガや楽曲、映画・・・そういうのがファンコンテンツ。

家系ラーメンが『こってり系のとんこつ醤油ラーメン』であることを知っている前提のラーメンであるのと同じ様に、『電脳少女シロはサイコパス(誤用)キャラで一世を風靡したVtuber』であることを知っている前提のコンテンツが、シロちゃんのファンコンテンツなのだ。

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以前、樋口楓ちゃんがメジャーデビューした時、音楽プロデューサーの人が「”KANA-DERO”を観たけど最初はよく分からなかった。Vtuberはコンテクストが重要視されるから」というようなことを言っていた記憶がある。

ここで言う「コンテクスト」とは、お約束・文脈というヤツのことだ。
要するに、KANA-DEROはでろーんのこれまでの言動、にじさんじ、かえみと、そういう歴史や背景を知っている人向けのコンテンツで、そして滅茶苦茶高い評価を受けた。
これは電脳少女シロ生誕祭2とか、はんぱないパッションとか、VtL、ノンストップ・ストーリーなどのライブ、それ以外にもVtuberがYoutube以外で展開するコンテンツ全般に対してほぼ同じことが言えると思う。

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じゃあ、シロちゃんのファンコンテンツであるところの映画「白爪草」は、これまでのシロちゃんの活動によって築かれたコンテクストをフル活用してサイコパス(誤用)ネタを前面に押し出せばそれで良いか。
それは違う。

ここでまたラーメンの話に戻るのだが、家系ラーメンだって「こってり」とか「とんこつ醤油」とかの前にまず食べ物なので、美味いか不味いかが最も重要なのだ。
食べ物として美味くて、そのうえでそれがこってり系のとんこつ醤油ラーメンであった時、はじめて家系ラーメンとしての評価を得ることができる。
映画「白爪草」も、まず映画としての面白さがちゃんとあって、そのうえで電脳少女シロ要素がふんだんに活用されていた時、ようやくシロちゃんのファンコンテンツとしての評価を得られる。

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映画「白爪草」を作ったスタッフは、このことをきちんと理解して、それに全力で取り組んだ。
シロちゃんも、一般に流布した『電脳少女シロ』としてではなく、いち映画出演者(というか主演だけど)として、映画のために全力を尽くした。
ここには、寒い身内ネタも、ファンにしか楽しめない符丁も、余った資金をドブに捨てるためだけのサービスシーンも存在しない。
面白いワン・シチュエーションサスペンス映画にとってそれは不要だから。

でも、あくまで映画「白爪草」はシロちゃんのファンコンテンツだから、シロちゃんの怖い面、狂気、サイコパス(誤用)要素、そういうものがふんだんに含まれている。
家系ラーメンがとんこつ醤油味を捨てて塩味になることが無いのと同様に映画「白爪草」は決して電脳少女シロを捨てなかった。
もちろん、映画としての面白さも。

ここに、ファンコンテンツとしての在り方の素晴らしさ、制作陣の本気度とそれを引き出して期待に応えたシロちゃんの表現者としての力、皆の覚悟、成長、努力・・・そういうのを感じてもう最高だったな!!!!!

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ずっとラーメンで例えてきたけど、別の例えとして『キャラクターのイラストがでかでかとプリントされたグッズじゃなくて、日常使いできるデザインに作品モチーフを落としこんだグッズが欲しい』という話をしてもいい。

この話はそれこそ十年以上も前から繰り返されてきているし、ほとんどのオタクは同意すると思うので詳しい説明は省く。
映画「白爪草」は、キャラクターのイラストを貼り付けたダサいグッズ映画ではなかった。
きちんと映画という作品の中に、電脳少女シロのモチーフを落としこんだ。
と同時に、ベースになる映画自体をキッチリ作ってくれた。
そんな素晴らしい作品だった。

もちろん、映画作品として・またファンコンテンツとしてすべてが素晴らしかったかと言うと、特に映像面では不満が残る点も多々あったんだけども、それを差し引いても本当に最高の、そして理想のファンコンテンツの姿だったから、これからのすべてのVtuberコンテンツ、ファンコンテンツが斯くあるようになっていったら、とても嬉しいなあという希望も抱いちゃった。

ありがとう白爪草!
来週どっかでもう一回観に行くつもりなので、パンフレット増刷マジでどうにかしてお願いします、後生ですから!!!!!!


まだ映画「白爪草」を観ていない人へ

正直なところ、世間一般に広く「Vtuberを知らなくても楽しめるから観に行ってくれ!池袋か大阪だ!」と言いたい気持ちと、言いたくない気持ちが半分ずつある。

キャプチャ

ここまで大絶賛してきたように、そもそも映画として滅茶苦茶面白かったのでみんな劇場に行って白爪草を観てくれ!!!
という気持ちが半分。

3Dモデルの動きにぎこちないところ、不自然なところが結構多くて、それは見せ方の工夫でかなりカバーされているんだけど、気になる人は必要以上に気になってしまい、面白さ以前に脱落されてしまうのではないか・・・
という気持ちが残りの半分。

キャプチャ

だから、みんな観に行ってくれ!!!
と、本当は言いたいんだけど、私からはこう言っておく。


特色のある一点モノの映画を楽しめる単館映画、ミニシアター好きの人達は
Vtuberに興味がなくても観に行ってくれ!!!!!!!
絶対に楽しめるはずだから!!!!!


劇場は池袋HUMAXと大阪エキスポシティの2館のみ。
いまのところ、公開は10/2までの予定だから、急いで行くんだよ!!!


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