ロースクール浪人を経験して


1 はじめに

(1)この記事を書いた理由

初めまして。とんとんと申します。

 この記事を書くに至った経緯としてはロー入試について発信する方は少なく、情報を入手しづらいことやロースクール浪人に関しての情報はほぼゼロに等しく、自分の経験が浪人を考えている受験生・これからロー入試を受ける学生にとって参考になるのではないかと考えたからです。
私の現役時・浪人時の経験を反面教師にしていただけると嬉しいです。

*この記事は、加藤ゼミナール様の法科大学院合格体験記として作成したものをnoteに掲載したものです。
 本記事では、他予備校についても言及していますが、おおまかな内容としては一緒です。
 また、加藤ゼミナール様のサイトでは、優れた方々の合格体験記が掲載されているので覗いてみると勉強法等が参考になると思います。

(2)筆者の情報

ア 学歴
地方国立大学法学部卒業 
イ 成績
GPA 約2.89
ウ 進学予定
中央大学法科大学院既習コース進学予定
エ 使用した予備校
後述しますが、現役時は加藤ゼミナールの「総まくり講座2021」です。

2 現役時の勉強

(1)大学3年次

ア 勉強開始時期
本格的にロースクールの勉強を意識し出したのは大学3年時の10月頃でした。
起案する授業でローの過去問を書き出したことがきっかけです。
イ 受講した予備校
 大学三年次の冬に加藤ゼミナールの「総まくり講座2021」を受講しはじめました。
 受講した経緯としては問題を解いてもなかなか成長を感じない中、刑法の起案会で自分の体型的理解・インプットの不足を痛感したことにあります。
 加藤ゼミナールに関しては次回の記事で詳細な感想を述べるので、ここでは割愛します。
ウ 勉強方法
予備校を受講するまでは、
①授業で隔週1つ起案
②市販の問題集の問題を見る→わかる範囲でメモ書きする→答案を見る
予備校を受講してからは、③総まくり講座を視聴することのみをやってました。
エ 勉強時間
バイトがない日は8時間、バイトがある日は5時間くらいだったと思います。

(2)大学4年次

ア 勉強方法 
①中央・慶應の過去問3年分を3回ずつ解きました。
また、解いた答案を司法試験を受験し、結果待ちの先輩が大学で働いていたので何回も見ていただきました。
②理解が及んでいない科目については総まくり講座を何度も聞き直す、テキスト・論証集を読み込むことを行いました。

イ 勉強時間
平均8−10時間程度だったと思います。
(3)現役時の勉強についての反省
ア まず、勉強開始時期・予備校についてですが、もう少し早く勉強を開始する・予備校講義を受けるべきだったと後悔しています。
 周りの同期は大学3年生の初めからアガルートに申し込んでいましたが、金銭的な問題もあり、受講しませんでした。
 今現役時に戻れるとしたら両親を説得する又は長期休暇中に稼いで絶対に予備校講座を取ります。
 
イ 次に勉強法ですが、もっと論証に対しての理解を深めるべきでした。
 論証集については、ただ眺めるだけで分かったような気になっていたり、体系的理解が怪しいまま論証集の言葉を全て覚えようとしており、結果として全部覚えることができませんでした。
 また、インプット中心だったので、アウトプットも不足していました。
 ロー入試本番でなかなか答案を書き始めることができなかったことをよく覚えています。

ウ このような後悔から、来年合格するためにはどうしたら良いのかを考えながら大学を卒業しました。

3 浪人時の勉強

(1)勉強開始時期

 大学生活最後もあり、卒業までほぼ勉強しておらず本格的に勉強を開始したのは4月からでした。
(2)使用した教材・予備校
ア 予備校
・アガルートの「重要問題習得講座2022」 を受講しました。
受講した理由は昨年インプット中心で失敗したことからアウトプット中心にしようとしたこと、ほぼ独学であることから網羅性があり、答案に一定の信用性が担保されている教材が必要だったからです。

イ 使用した教材
・基本書
*1月17日追記
刑法
→基本刑法・呉基礎本
刑事訴訟法
→基本刑事訴訟法・呉基礎本
会社法
→リークエ会社法
民事訴訟法
→なし
民法(家族法以外)
→呉基礎本

・総まくりテキスト・論証集
・重問
・ロー過去問

ウ 添削
大学時代にとてもお世話になった先生のご紹介でロースクールで学生に指導をしている弁護士の先生を紹介いただき、答案を何度か見ていただきました。
法的三段論法や問題提起・規範に即した当てはめを身につける上で貴重な機会でした。

(3)勉強方法

ア 重問について
①まず、問題を見て、答案構成をし、解説を読みます。
②そして、重問の答案例に異なる色のマーカーを引きます。
引く場所は問題提起・主張・規範・当てはめ・結論です。これを行うことで視覚的に答案の型が見えます。
③ 後はひたすら問題を繰り返しました。
 その中で学習が進んでくると「この要件検討していないな」などの気づきが出てくるので、なぜそれが省略されているのか考えたり、それを基本書・総まくりテキストで調べながら答案を削ったり、挿入したりして改造しました。
 これを行うことで漫然と解説・答案を読んで理解した気になることを防げました。
 大体4月から7月まで重問中心の学習を行いました。
また、直前期は、乱数生成アプリを使って重要単元のみをランダムに解いていました。

イ 論証集について
①論証集についても問題提起・趣旨・規範・理由づけをマーカーで引きます。
②その中で、必ず論証集に記載されているまま覚えなければならないキーワードはどこか考えます。
③そのキーワード以外の部分を自分の言葉で表現してみます。
 論証は自分の言葉で置き換えた方が記憶する効率が良いのでおすすめです。また、直前期、私は論証集の目次を見て論証が言えるか確認していました。
 7月以降から直前期まで論証集中心の学習を行いました。

ウ 過去問について
 中央・慶應については昨年3年分解いていたこと及び昨年に出題された範囲は出ないだろうと考え、昨年受けていない院の過去問をメインに解いていました。
 しかし、上位ローも含め、過去問で問われている内容は典型論点であることがほとんどです。そして一方のローで出題された論点が年度を越えて他のローで出題されることがよくあります。
 実際に2023年の中央刑訴ではおとり捜査が出たのですが、同じおとり捜査が2024年の明治刑訴で出題されました。
したがって、過去問は受験する院ならば、たとえ解いたことがあるとしても起案し直すべきだと思います。

エ 勉強時間
平均8時間で、直前期はバイトがある日でも10時間以上はやってました。

4 浪人中の生活

(1)生活習慣について
 大学を卒業したことで生活リズムが乱れる危険とロー入試の受験料を用意する必要から、朝バイトを始めました。
朝6時から昼の12時まで週3日働き、試験前でも働いてました。
朝バイトをすることで起きなければならない習慣がつくので浪人生にはおすすめです。
 また、朝バイトでなくても人と接する機会はリフレッシュにつながるのでバイトはすべきだと思います。
そして私は家では勉強できないタイプだったので外に出て図書館やカフェなどで勉強していました。
 外で勉強することは、周りが勉強している人が多いこと、不安から一人で考え込んで落ち込んでしまうことを防げるのでこれに関してもお勧めです。

(2)メンタルについて
ア 浪人当初
 この時期メンタルは全くキツくはなかったのですが、1人で勉強を続けるのでモチベーションを維持することが難しかったです。
どうしても勉強できない日は早めに帰ってゲームしてました。
これもいいリフレッシュになったと思います。
イ 直前期
 この時期1番しんどかったです。体調が悪くなるなどの症状は出なかったのですが、常に口が渇くような感覚でずっとMINTIAを口にしていました。
自分で追い込んでいたのもありますが、今年しくじれば法曹を諦めると家族と話して決めていたのでかなりのプレッシャーを感じながら勉強していました。
ウ 試験期
 ロー入試が続く時期を「試験期」としますが、この時期は合否の結果が返ってくるのでメンタルがかなり抉られました。
実は中央ローの受験後、明治ローの結果が来ましたが不合格でした。
明治がダメなら、他のローが受かるわけがないと目の前が真っ暗になりました。
そしてこれも私が悪いのですが、X(旧Twitter)を見た時「明治ロー受かった!」旨のツイートを見て余計落ち込み、完全に張り詰めていた糸が切れてしまいました。
合否を確認するのはともかく、自分の精神衛生上良くないのでSNSは見ないことをお勧めします。

5 最後に


結論としてロースクール浪人は精神的にしんどいです。
そしてロースクール浪人を独学で行うことはお勧めできません。
なぜなら、全てのローに落ちるということは何か根本的に間違った勉強法・苦手科目があるということなので、予備校を使って効率的に勉強すべきです。

 まだ受けれるローがありながら、浪人を考えている方は受けれるロー入試を既習・未修問わず受けるべきだと思います。
 私は昨年未修を受けておらず、受けとけばよかったなと後悔しました。なぜなら、浪人して予備校を使い、既習コースを目指すのと、ローの未修コースに通学するのでは金銭面・司法試験を受験するタイミングが変わらないからです。
 そして司法試験合格率の低いローに行きたくないと考えている人もいるかも知れません。
しかし、大学の先生に言われた言葉ですが、「受かるやつはどこ行っても受かります。」
後悔ないよう最後まで駆け抜けてください。
私も「受かるやつ」になれるよう頑張ります。

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