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ちょっかいをかけまくってくるクラスメイトに仕返しをしてみた。

heroine 向井純葉。


12/20 AM07:34



12月もあっという間に下旬となり「南極ですか?」ってくらいに冷たい風が吹き荒れてくる。

既に冬用の制服に衣替えはしたものの、大した効果は発揮されていないみたいだ。

高校2年生である俺、中嶋〇〇は首に巻いたマフラーで口元を覆いながら歩いている。



〇〇「はぁ、、、風うざすぎ、、、」



体は既に冷え切り、おまけに手先なんかは感覚が微塵もないし、、、

そうだ!えっと確かポケットに、、、



〇〇「あっ、、、カイロ忘れた。」



こんな日だというのに必需品とも言えるカイロを忘れてきた。

馬鹿か俺は、手袋もないのに。

まぁ冬休みまであと4日ほどだし、この地獄の通学路としばしの別れを告げるのもあと少し。

俺は眠っていた気合いを叩き起こしてまた足を進めていく、、、、、、すると。



ピトッ、、、



〇〇「うおっ!冷てぇっ!!」



いきなり氷が首筋に当てられたかのような感覚だ、、、

朝からこんなことする奴は俺の中で1人しかいないし、続けて聞こえてきた豪快な笑い声で犯人は確定した。



??「あ〜はっはっは!!
   相変わらず反応良すぎるよ〜笑」


〇〇「てめぇ、、、純葉、、、!!」


向井「〇〇おはよっ!一緒に学校行こ〜♪」

この朝からめちゃくちゃ元気なのは向井純葉。

高1で同じクラスになった同級生で、俺とも家が近いことからよく話すようになった生粋の陽キャ。

それにやたらと俺にちょっかいを掛けてくる迷惑な奴。

さっきみたいなのとか、上着を引っ張ったり、ほっぺたを突いて来たり、、、、、


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向井「ねぇ〜〇〇〜。
   めっちゃ寒いんだけど〜。」


〇〇「んなこと言われなくても知ってるわ、、、
   こちとら手袋も忘れて来たんだから。」


向井「えぇっ!?」



〇〇「いや驚きすぎだし、、、」


向井「いや純葉だったら耐えられないなって笑
   〇〇って抜けてるとこあるよね〜。」

そう言って少し屈みながら俺の方を見てくる純葉。

なんか、、、ちょっと緊張する、、、、、///

出会った時から思ってたけど可愛いからな、、、///



向井「へへっ!なんか変な顔してる〜笑」


〇〇「馬鹿にすんな、、、早く行こうぜ?」


向井「は〜いっ♪」



俺より少し先に、小走りで街路樹のそばを走り抜ける純葉。

その時、強い風に吹かれて木々の葉が空に舞い、澄んだ青空に茶色や金色の色素が混ざる。

なんか、、、、、どこかの画家が描いた絵みたいで綺麗と思ってしまった。



向井「〇〇〜っ!早く来てよ〜!」

〇〇「はいはい、、、」


こっちに向かって大きく手を振る純葉に向かって俺も足を早めた。

小走りですぐに追いつき、また隣同士になって学校に向かった。


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櫻坂高校、2ー3


向井「えいえいっ、、、笑」チョンチョン


〇〇「脇腹つっつくな。」


向井「照れなくても良いんだよ〜?
   純葉につっつかれるなんてレアだよ?」


〇〇「俺には毎日やってくるじゃん、、、
   脇腹とかほっぺとか髪の毛とか。」


向井「しらな〜い♪」ツンツンッ



いつもより早く着いたからか、まだ人の少ない学校の廊下を2人並んで歩く。

、、、、、、そして純葉は歩きながら俺の脇腹をめちゃくちゃつついてる。



向井「ふんふ〜んっ♪」ツンツンッ



「なんで?」って何回か聞いたことあるけど、その度に笑いながら誤魔化されるから。

周りからは『付き合ってんの?』とか言われるけど別にそうじゃないし。

まあ、純葉の気まぐれかな?



??「はぁ、、、今日も仲良しだね〜。」


向井「あっ!りー!!」ギューッ


遠藤「んーっ!くっつくなー!」



彼女はクラスメイトの遠藤理子。

同級生とは思えないほどのベビーフェイスで、純葉が溺愛してやまない子。

今も俺をつつくの止めて、嫌がる遠藤に無理やり抱きついている。

これも見慣れた光景ってやつ。



向井「今日も理子ちゃんはかわいいねぇ〜♪」


遠藤「もぉ!私じゃなくて〇〇くんに絡んでよ!」


〇〇「さりげなく俺を生贄にするな?」



3人でワイワイ騒ぎながら教室の扉を開けて席に着く。

教室の中には『またやってるよ、、、』と言わんばかりに呆れた目線で俺らを見つめるクラスメイトの姿。

もう慣れたもんだけど。



〇〇「よいしょっと、、、」


向井「ねぇ!今日の朝に出す課題見せて!」


〇〇「無理。
   昨日やっとけよって言ったじゃん?」


向井「〇〇の写すのが1番楽なのー!お願いっ!」ユサユサ



残念なことに、、、、、ってわけでもないけど俺と純葉は隣同士だから学校だとずっと一緒。

だから今も課題を見せろとねだられまくっている。

なんで何回言っても治んないのかね〜、、、



〇〇「分かったから身体揺らすなって、、、ほい。」


向井「やった〜♪〇〇大好きっ!」ニコッ

〇〇「うっせ、、、///」


太陽みたいに明るい笑顔で俺に微笑みかけてくれる純葉。

改めて見るとやっぱり純葉って可愛いんだな、、、///



向井「えっとこの問題が、、、えぇ、、、もぉ、、、」



純葉って思ったことが全て口から出てしまう正直な性格だから独り言がめちゃくちゃ多い。

それに嬉しい時とか身振り手振りが凄まじいから聴覚的にも視覚的にもかなり騒がしい。
でも見てて飽きないんだよな、、、笑



向井「ねぇ〇〇!ここ教えて!」チョンチョン


〇〇「だからつつくなって、、、そんでどこ?」


向井「この数列の問題なんだけどさ、、、」


昼休み。


午前中の授業が全て終わり、かなりの疲労感を体に残しながら昼休みへ。



〇〇「ふぅ、、、午前中も疲れましたな〜、、、、、」


向井「だね〜、、、///」



俺は凝り固まった体を伸ばしながら机に覆い被さる。

隣を見れば純葉も俺と同じように机に覆い被さり、こっちを照れ笑いしながら見てくる。



向井「4時間目の時とかちょっと寝ちゃった笑」


〇〇「ちなみにいびきかいてて笑われてたよ。
   動画も撮ってたから後で見せようか?」


向井「えぇっ〜?!」


〇〇「うるさいって笑」



純葉は超絶ピュアな性格に加えて、リアクションもめちゃくちゃ大きい。

お化け屋敷なんかに入ったら多分お化け側がビビり散らかすくらいに。



〇〇「あといびきは嘘だから。笑」


向井「はぁ?!
   嘘つく〇〇なんて最低人間だ〜!!」プクッ

〇〇「はいはい、、、笑」


向井「罰として学食でなんか奢ること!あと今週の
   土曜日は純葉のお買い物に付き合ってね!」


〇〇「いや土曜日はダラダラする予定が」


向井「ダメ!純葉のために時間を使いなさい!」



くだらない嘘をついた数分前の自分を少し恨むのと同時に、どこか嬉しい気持ちがあるのはなぜだろう。

ハリセンボンみたいに膨らんだほっぺたのまま純葉は勢いよく椅子から立ち上がった。



向井「ほら!一緒に学食行くよっ!!」グイッ


〇〇「うおっ!そんな引っ張んなって!」


向井「純葉を怒らせると怖いんだから!」


〇〇「いや大して怖く、、、」


向井「ん?」


〇〇「いえなんでも、、、」



純葉って怒ると意外に怖いんだな、、、

もう嘘をつくのはやめとこうと意思を固めながら純葉に手を引かれながら学食に向かった。




遠藤「おっ、純葉も頑張ってるな〜♪」

遠藤「〇〇くんは気づいてないけど、さっきの純葉
   めちゃくちゃニタニタしてたなぁ笑」


小島「理子ちゃーん!一緒にお弁当食べよ〜!」


遠藤「あっ、食べるー!」


12/23 土曜日 (AM9:40 サクラモール入り口付近)


〇〇「はぁ、、、何もこんな朝早い時から、、、」


俺がしょうもない嘘をついて休日を純葉に捧げることになった日だ。

昨日の夜、純葉が指定してきたのは少し遠い場所にあるショッピングモールに10時。

日頃だったらこの時間に起きてボケボケしてる時間帯だからまだ少し頭がぼんやりとしてるな。



〇〇「えっと確かデカいクリスマスツリーの前で
   待ち合わせだっけ、、、」



このショッピングモールはこの時期になると毎年、入り口の前に大きなクリスマスツリーが飾られるんだよな。

去年も純葉に『行くぞっ!』って無理やり連れてこられたっけな、、、笑

っていうか家からショッピングモールまで方向同じなんだから一緒に行けば良いのに。

まあいっか。

えっと次の服屋を曲がったら、、、、、あれ?



向井「、、、、、、大丈夫かな。」ボソボソ



白のモコモコとしたニットと少し厚手のコート、そしてロングスカートという姿の純葉。

それに俯きながらブツブツ何かを呟いてる様子。

まだ集合よりも時間あるってのに早いな。

俺は待たせているのは悪いと思い、駆け足で純葉に近づいていく。



タッタッタッ、、、



〇〇「よっ、、、おはよ、純葉。」


向井「おわっ!!」

〇〇「いや驚きすぎだから笑。
   ちょっと待たせちゃったかな?」


向井「うっ、、、ううん!純葉が早く来ただけ!」



いつものように暖かい笑顔を俺に向けてくれた純葉。

だけど、ふと純葉の指を見てみると小刻みに震えているし少し赤い。

こういうところで変な気の使い方するんだから、、、



〇〇「、、、、、、冷て。」ギュッ


向井「えぇっ?!」


〇〇「だからリアクションでかすぎ。笑
   俺が来るまで中で待っとけば良かったのに。」



純葉の小さな手を握ってみるとめちゃくちゃ冷たい。

っていうか、普段からやたら首筋とかに手を当ててくるくせに何でそんな驚くよ。笑



〇〇「とりあえず中であったかいものでも飲む?
   時間もあるし、とことん付き合うよ。笑」


向井「うっ、、、うん、、、///」


ショッピングモールの中はきちんと暖房が効いていてめちゃくちゃ気持ちいい。

俺は少し顔の赤くなっている純葉を見ながら話しかけた。


〇〇「そういや純葉って何を買いに来たん?」


向井「う〜ん、、、、、特に何も?」


〇〇「は?」


向井「だって最近来てなかったな〜って思ったから
   目的なんてないよ?」


〇〇「ったく、、、」


向井「まあ適当にブラブラしようよ〜♪」ツンツン


〇〇「だから脇腹いじんなって。」



何でこいつは俺の脇腹とかいじってくんだよ、、、

授業中とかでも下校中とかでも、ところ構わず服を引っ張ったりつついたりしてくるからな。



向井「えいえいっ、、、笑」

そんなことは全く知らない純葉はガンガンに上着の裾を引っ張ってきたり、脇腹つついたり、、、

ちょっと仕返ししてみてもいいかな?



〇〇「こら、いい加減にしろって。」ムニッ


向井「ふにゅ、、、っ///」


〇〇「あんまり人のことつついたりすんなよ?
   人によっちゃ疎まれるぞ?」



するとさっきまでニコニコしていた純葉の顔が少し暗くなった気がした。

そして、さっきまでとは違う声色で続ける。



向井「〇〇にしかやってないのに、、、」


〇〇「は?」


向井「そんなむやみに触ってないもん、、、
   〇〇だからいっぱいする、、、だけ、、、」

いつもみたいに元気な純葉とは180°違う、大人しい純葉がそこにいた。

それに耳まで真っ赤に、瞳に涙も浮かばせて俺の方を見つめてくる。

俺は純葉のほっぺたから手を離して向き合う。



向井「ここに誘ったのも、、、ちょっかいかけるのも、、、
   〇〇に私のこと見て欲しくて、、、」


〇〇「純葉、、、?」


向井「でも純葉はそんなやり方分かんないから
   〇〇を嫌な気持ちにして、、、ごめんね、、、」


〇〇「おい!純葉っ!」



全ての言葉を言い切った純葉は俺に顔を見せないように、入り口の方へ走っていってしまった。

俺の声も純葉を止めることはできなかった。


PM5:35 公園


この季節になると、5時にはもう夜が訪れてくる。

私は落ち込んだ時があると必ず来る公園のベンチに腰をかけていた。

そして小さな街頭のくらい光に照らされながらどうしようもない嫌悪感に襲われていた。


向井「はぁ、、、何やってんだろ、、、」

今の今まで〇〇にアピールするつもりでしてきた事が、まったくの逆効果だったこと。

その事実だけでも死にたくなるほど自分が嫌になってくる。

大好きな人にフラれるってこんな気持ちなんだな、、、



向井「学校、、、行きづらくなっちゃった、、、」



さっきは私が言いたいこと言っちゃったし、だけど学校だと席が隣同士だから嫌でも顔を合わせなきゃだし、、、



向井「明日からどんな顔してればいいんだろ、、、」



私はこれからの不安で頭が覆い尽くされ、涙がポタポタと地面に落ちてくる。

その時、私の首筋に、、、、、、



向井「ひゃっ、、、!」



私は驚いてベンチから落ち、地面に手をついてしまった。

そして次の瞬間、私の大好きな人の声がした。



〇〇「相変わらずリアクション良いね、純葉は。」


向井「〇〇、、、なんで、、、、、」


彼は自分の右手をポケットに入れ、さっきまで純葉が座っていた場所のすぐ隣に腰をかけた。

私もゆっくりと立ち上がり、彼の隣に座り直す。

公園の中には私たち以外の人はおらず、2人だけの世界がここに出来上がった。



〇〇「ったく、、、既読つかないわ電話通じないわで
   めちゃくちゃ焦ったんだからな?」


向井「、、、スマホ見る気分じゃなくて。」


〇〇「遠藤にこの場所聞いて良かったわ。
   純葉が落ち込んだ時にくる公園だって。」



〇〇は私の方を横目で見ながら話しかけてくる。

私はまだ、彼の方をしっかり見る勇気はなかった。



〇〇「、、、、、、さっきはごめんな。」


向井「えっ、、、?」


〇〇「いや、、、純葉のこと傷つけてごめん。」



〇〇は私の方に体を向け、ポケットから手を出して膝の上に置く。

そしてゆっくりと頭を下げてくれた。



向井「まっ、、、待って!あれは純葉が勝手に」


〇〇「それでも俺が純葉を傷つけたのは本当だから。
   本当にごめん!」


向井「〇〇、、、、、、」



あぁ、、、こういうところだ、、、

いつもはぶっきらぼうだけど人に対して誠実に向き合ってくれる〇〇が大好きなんだ、、、///



向井「、、、、、、好き。」


〇〇「え?」


向井「純葉はそういう〇〇のことが大好きっ!!
   ずっと一緒にいたいし、デートもしたいし、、、
   その、、、純葉と、、、付き合って欲しい、、、///」



もう私の溜まった想いは止まらなかった。

今までも『好き』って言えばそのまま全ての想いを吐露してしまいそうで、、、

何とか止めてきたけどもう無理そうだ。



〇〇「、、、、、、、、、」


向井「あっ、、、こんなこと急に言われても迷惑だよね!
   本当に純葉って」


〇〇「俺も純葉が好きだよ。」チュッ


向井「んんっ、、、///」



次の瞬間、私の言葉は彼の唇に塞がれてしまった。

突然のことで何が起こったか分からなかったけど、〇〇の柔らかな唇の感触だけが私の心を満たしていく。



向井「んっ、、、はぁ、、、はぁ、、、///」


〇〇「、、、俺も純葉が好き。」


向井「はぁ、、、急にチューなんて、、、///」


〇〇「嫌だった?」


向井「嫌なわけないけど、、、///」



私は頭の中が真っ白になってしまい、さっきのことを思い出すだけでも、、、///

すると〇〇はそんな私の手をギュッと握って立ち上がらせる。



〇〇「よっと、、、まあ、、、俺も純葉が好きだからさ。
   これからも俺だけにちょっかい出してよ?」


向井「嫌じゃないの、、、?」


〇〇「、、、あれは純葉が俺以外のやつにしたらって
   考えたら嫌だって話だから。」


向井「、、、っっ///」


〇〇「ほら、もっかいクリスマスツリー見にいこ?
   こっからは俺とデートしようよ。」


向井「、、、、、、するっ!」ギュッ

私は〇〇の冷たい手をしっかりと握り、2人でまた歩き出した。

あっでも、手を繋ぐよりも、、、、、、



向井「やっぱこっちが良い〜♪」ギュッ


〇〇「ちょっ、、、///」


向井「純葉にちょっかい出されるの好きなんだろ〜?
   じゃあ嬉しいはずだよね〜♪」



今度は〇〇の手じゃなくて、彼の腕にギュッと抱きついた。

いつも余裕そうな〇〇の顔が少し赤くなり、何だか嬉しくなった。

さて、、、次はどうやってちょっかい出そうかな〜♪

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