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人生の道しるべ

愛の表現(御木徳近教祖)
N子は高校三年生になった夏、ふとしたことから自分は両親のほんとうの子ではなく、養女であったことを知った。彼女はそれまで、そういう親子の関係というものを空想したことさえなかった。それだけに、ショックは強かった。

N子は思いあまって、幼なじみのB男に自分の苦悩を打ちあけた。

「バカ!」

いきなりB男の平手が、彼女の頬にとんだ。

「今まで大事に育ててもらいながらなにが不足なんだ。肉親であろうとなかろうと、それがいまの君になんの関係があるんだ!」

激しい行為とうらはらに、B男は涙ぐんでいた。N子が自分に打ちあけてくれるまで、どれだけひとりで苦しんだかと思うと、たまらなくなったのだった。

N子は、そのB男を見た瞬間、自分の愚かさを悟った。そして彼女はそのとき、こう心に決めたという。

(私の生涯をたくす人は、この人以外にはない)

                       御木徳近著 「愛」より

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