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職業紹介事業者のステルスマーケティング

マーケティングを批判的に検証する際の具体例として、私はいつも職業紹介事業者の悪質性を取り上げます。職業紹介事業者の倫理観の無さは、広告代理店やテレビ局に匹敵しますが、この事業者は、社会的な立ち位置として、より悪質性が際立っています。

普通に考えればわかると思いますが、こういう事業者は新卒の就職活動の元締めみたいなこともやってますので、大卒の個人情報をほぼ全員分入手することが出来ます。で、個人情報保護法を盾に、個人情報を削除しません。で、その個人情報に、あれこれ情報を収集してきて紐づけたり、その情報を売買したりと、滅茶苦茶やってるわけです。

管理社会の到来について、わりとわかりやすい形で警鐘を鳴らしていたのはフーコーですが、わかりやすいと言っても抽象的な話が多いわけで、パノプティコンがどうのこうのという議論から先に進めなければ意味がないですよね。で、じゃあ、具体的に今、どういう形で管理社会が訪れようとしているのか、と考えてみると、電子化によって、という話になると思います。

上の話で言うと、人身売買業者は大学生が就職活動するときに網をかけてそれこそサンマ漁みたいな感じで一気に個人情報を電子的につかまえることができます。で、いまどき誰でも転職活動なんてしている時代ですから、大卒時に網にかからなかった高卒や中卒のサンマも、子会社化した人材派遣などの事業者をつかって網でつかまえることができる。ようするに、国民の個人情報をみーんなつかんでるわけです。人身売買業者が、情報の種類によっては国家より詳細に把握しているんです。

今、国がマイナンバー制度の普及を進めていて、あれこれしようとしているのは皆さんご存じだと思います。医療個人情報まで引っ張ろうとしてるので、これはこれで大問題ですが、この問題と並行して私たちが問題にすべきことは、人身売買やってる事業者がすでにみなさんの個人情報をみーんな持っていて、それを悪用してみなさんを家畜の檻の中に囲おうとしている、ということです。

どこの中学を出て、どこの大学で何を勉強して、会社で何をやってきたか、とか、全部把握されているんです。で、もしポイントカードなんかを使ってたら、履歴情報に購買履歴が紐づきます。メッセージングアプリなんかの情報と紐づけることができれば思想信条も紐づけることができます。ハッキリ言ってヤバいわけです。ちなみに私はポイントカードどころかクレカも持ってなくて完全現金払いです。

ようするにですね、今の時代、生い立ちからなにから、簡単に全部把握されるわけです。だから倫理観の無い企業が情報を持ってるってのは非常にまずいわけです。学歴や専門分野、それに趣味嗜好や思想信条など、ぜーんぶ把握された上で、認知バイアスマーケティングで誘導されるわけです。ブランディングで買いたくないモノを買わされるわけです。投票したくもない政党に投票させられる。で、こういう手口こそまさに問題視すべきステルスマーケティングです。本来なら一番問題なんですが、これは違法ではないので、本当に狂った世の中だと思います。行動経済学やってる学者がノーベル賞とってるわけです。これ、戦争プロパガンダから生まれた大衆を騙す手法が先鋭化した経済学です。そもそも偏向した観点から生まれてるので、この経済学は宿命的に人間性をバイアスと捉えてるわけです。先の記事ですでに説明しましたが、ようするに、私たちが選択した社会システムが必然として私たちを家畜の檻に囲ってしまうわけです。今の流れっていうのは、ある意味でとてもロジカルな自滅なんです。

少し違う側面から話しますと、システムの問題を調整するためにそもそも「法」という概念が生まれたわけですけど、認知の欠陥に付け入られてマーケティングが行われる時代ではこれは本質的に意味を持たなくなります。例えば、個人情報保護法と言う法律がありますが、これは個人情報を保護する法律ではなく、個人情報を自由に勝手にいじることができる法律です。保護、っていう言葉がウソなわけです。実際は、「共同利用」や「第三者提供」という建前でいくらでも好き勝手個人情報を融通し合うことが出来ます。みなさんの履歴書はこの建前で好き勝手いじりまわされています。

なぜこんなことになってしまうのか、これは、代議制民主主義とか、法律が形成されるプロセスを考えてみれば分かります。いちいち説明するのが面倒になったのでこれでやめます。会社の便所でウンコをしながら書いていたのですが、ウンコが終わったのでそろそろ仕事に戻ります。

職業紹介事業者に疑問を感じるときはここに相談するのがいいです。
おすすめです。ステマの問題にも取り組んでいると聞きました。職業安定法は抽象的な条文が多いので、労働局がそれをどう解釈するかは、結局のところみなさん次第なんですよ。

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おわり





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