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なぜ統失 第3部「自宅療養編」⑬謎の催眠術師スズケンと最後の電話。

前回の続き。

今回は謎の催眠術師、
鈴木健二と交わした最後の電話について語ります。

前回、新宿に田村さんに会いに行ったけど、
店の前で急に気が変わって会えなかった事を書きました。

しかし、心のなかにはまだわだかまりがあり、
あの時経験した不思議な体験はいったいなんだったんだろう…

いくら考えても分かりません。

僕は鈴木健二にまた電話をかけてみることにしました。

発症前に持っていたアンドロイド携帯ではなく、
新しく東京で購入したiPhoneでかけました。

新規で契約したので前と電話番号が違います。

電話を掛けてみましたが、
やはり鈴木さんは自分から電話を取りません。

電話を切ると、
前と同じくすぐに折り返しの電話がかかってきました。

僕は電話に出ると、

「どうも、ひさしぶりです。にゃぶりえるです」

挨拶をすると、鈴木さんは、

「ああ、にゃぶりえるさん、講座は受けないんですよね?」

講座を受けないことの確認をしてきました。

「はい。受けません」

僕は、講座の受講を断ると、

「何か変な催眠術をかけたでしょう?」

と、問いただしました。

鈴木さんは、

「何も掛けてませんよ?あの時は楽しく雑談しただけじゃないですか」

ごまかされました。

僕は、

「遠隔で催眠術をかけてたでしょう」

と、問いただすと、

「遠隔で催眠術なんてかけられませんよ〜」

「まさか非言語催眠なんてもの信じてるんじゃないでしょうね」

自分が非言語催眠術講座を開いてるくせにこんな事を聞いてきました。

僕は、

「ええ、信じてますよ」

と、返事をしました。

それから、スマホが変な動作をしていたことを問いただしました。

「じゃああれは一体何なんですか。スマホに変な番号の通知が表示されて…ウイルスじゃないと思いますよ?セキュリティー対策してましたし」

実際セキュリティー対策のアプリを入れていたのでハッキングではないと思いこんでいました。

鈴木さんは、

「何ですか!ウイルスウイルスって、人をバイキン扱いして!」

僕はまともに取り合ってくれなんだなと思い、

「じゃあ、あれは何なんですか。にらめっこ」

僕は鈴木さんと顔を見合わせた時の表情が、
強烈に脳裏に焼き付いて離れなかったことを話しました。

鈴木さんは、

「にらめっこ?そんな事しましたっけ?知りません」

僕は、

「あれは強烈でしたよ?」

そう言うと、鈴木さんは、

「知らん知らん知らん知らん」

これもまともに取り合ってくれないなと思い、

僕は、

「もういい」

と答えると、

鈴木さんは、

「もういいんですね」

と言いました。

僕は、

「もういいです。田村さんに聞いてみますから」

僕は日本催眠術倶楽部の田村さんに会うことをまだ諦めていなかったのでこう答えました。

鈴木さんは、

「ふっ」

「じゃあ、もう二度と掛けてこないでくださいよ!」


と言ってきたので僕は、

「はい!」


と返事をしました。

これが鈴木さんと交わす最後の電話となりました。

やはり僕が電話を取る事が催眠術のトリガーだったのではないでしょうか。

鈴木さんと電話をする気になることはもうありませんでした。

続く。















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