3415 TOKYOBASEの2024.1月期 決算予想(個人的予想)

1.予想値()内は会社計画値


単位:百万円
売上高     19,831※(19,500)
売上総利益     9,952(9,900)
販管費       9,030(9,000)
営業利益         922(900)
経常利益      1,122(1,100)

※収益認識基準適用分(クーポンや自社ポイントでの売上)と仮定して120を売上高から控除している。

2.第4四半期の数字について前期との比較()内は2023年1月期の第4四半期の数字



単位:百万円
売上高     5,527(5,856)対前年比94.38%
売上総利益   2,819(2,885)対前年比97.71%
販管費     2,264(2,483)対前年比91.18%
営業利益       555(401)   対前年比138.4%

※収益認識基準適用分として予想値は120百万とした。2023年1月期は決算説明資料より139百万として、それぞれ売上高から控除済み

3.第4四半期の数字について計画値との比較()内は計画値



単位:百万円
売上高     5,527(5,196)対計画比106.37% up!
売上総利益   2,819(2,767)対計画比101.88% up!
販管費     2,264(2,234)対計画比101.34% down!
営業利益       555(534)対計画比103.93% up!

4.売上高について(店舗)



売上高は計画値に対して上振れる予想をしています。
この要因としては、
①国内の実店舗の2023年11月~2024年1月の売上高が104.2%で推移したこと。
②海外(中国本土・香港)の売上高が11月、12月で上昇したこと。

まずはこの2つを考えております。
海外の売上高をどのような推移をしているかを考えていきます。
中国の2023年1月期の第4四半期の売上高は、449百万円でした。
2024年1月期の第3四半期決算説明資料の15ページを見ますと、中国の1月~11月の売上高の推移が棒グラフで示してあります。
これを見ると、2022年10月の売上高は約230百万円、11月の売上高は約125百万円であることが分かります。そうすると、12月は95百万円程度であったことが逆算できます。
したがって、速報を見直しますと。。。
10月は228百万円の74.9%なので約171百万円
11月は126百万円の122.9%なので約155百万円
12月は95百万円の170.6%なので約162百万円
となり、約488百万円前後だと推測され、第4四半期単独では108.69%となります。金額としては大きな伸びではないのですが、店舗数が24店舗⇒12店舗まで縮小していることを踏まえれば、かなり回復してきた印象になります。

次に国内実店舗を考えていきます。

こちらも決算説明資料から、2023年1月期第4四半期の国内実店舗の売上高が分かります。それをみると、2023年1月期第4四半期の売上高は3,561百万円となっておりました。

したがって、この数字の104.2%である2024年1月期の第4四半期の国内実店舗の売上高は3,711百万円ということになります。金額にして約150百万円の増加です。

ちなみに、第3四半期の決算説明資料には11月の国内実店舗の売上が棒グラフで示されていますので、それと速報を照らし合わせると11~1月の各月の実店舗・EC両方の、おおよその数字を導き出すことが可能です。こちらは今回割愛します。

以上が、実店舗の状況です。

5.売上高(EC)について



速報のパーセンテージだけを見ると、如何にも苦戦していた印象があるのが、ECでしたね。
速報からは4Qは75.1%と示されています。

こちらも、決算説明資料より前期の第4四半期の売上高を見てみますと、
1,842百万円ということが分かります。2024年1月期はその75.1%ですので、1,383百万円ということになります。

前期4第四半期の売上高1,842百万円のうち、1,248百万円がZOZO、594百万円が自社ECとなります。過去の推移をみると、ECの売上高の66%をZOZOが占めており、33%が自社ECとなります。

では、これは、会社側が計画していた数字と比べて大幅に低かったのでしょうか?

ECの売上高の増減というのは、コントロールできるものとコントロールできないもの、この2つの要素があると考えられます。
コントロールできるものは、価格です。当然ですが、クーポンやタイムセール、ポイント還元強化で売上を増加させることが可能になります。
コントロールできないものは、売れる商品を投入できるかどうか。

価格でコントロールすると、売上高は上がりますが、売上総利益は下がります。つまり諸刃の剣です。そして、ZOZOクーポンによる値引き分は、最終的に収益認識基準により売上から抹消され、売上原価だけが残り売上総利益を押し下げます。
一方で人気商品を投入できれば、売上高も上がり、値引きもないため売上総利益も上がります。

価格のコントロール

それを考慮すると、速報からは、一貫してクーポン施策の減、セールの縮小という言葉が続きます。なお、11月に関しては利益確保を優先し、クーポン施策の減とタイムセールを実施しなかったと書かれています。
つまり、価格でのコントロールというのをかなり厳しくした印象があります。

人気商品の投入ができたか

これに関しては、言及された月次速報はありませんでした。むしろ、暖冬によるアウターの不振が挙げられていました。逆に2023年1月の月次速報では、人気商品を投入したことが書かれていました。


さて、ECが75.1%という着地が計画の範囲内だったのかどうかは分からない部分ではありますが、少なくとも、価格のコントロールを昨年より厳しくし、クーポンやタイムセールを前年よりも抑制してるようでした。この辺りは、計画されていたものと見て良いでしょう。

あとは、暖冬による売上不振というものを計画段階で織り込んでいたかどうか。ということになります。不振という言葉を使うくらいですから、想定より少なかったのでしょう。

以上がECの売上高に関する状況です。

6.売上高の計画値に対する考察



何はともあれ、売上高に関しては収益認識基準込みで計画値を上回っております。
国内の実店舗は104.2%でしたが、速報のコメントからは、順調に推移という言葉があり、また、THETOKYOが牽引役となっていることがほぼ出てきます。計画をやや上回っていたのではないかと推測されます。
海外店舗は、コロナ拡大によるロックダウンなどからの反動という言葉が目立ち、また、イベントの開催などで、ある程度は計画内だったような印象があります。
ECに関しては、難しいところですが、仮に実店舗の売上増加分である約2億円(中国含む)がないとしても、計画値に近い着地であったことを考えると、ほぼ想定通りだったのかもしれません。

7.売上総利益についての考察



こちらは今回詳しいことは割愛します。読んでみたいという人がいるかも分かりませんので・・。
しかしながら、一言だけ申しますと、ECで売上高を追わなかったのは、計画の売上総利益率53.3%を達成するためだった可能性があるということです。


8.販管費についての考察



計画値では2,234百万円となっておりました。
2023年1月期の第4四半期の販管費が2,483百万円でしたので、250百万円を削減することを意味します。

果たして可能でしょうか。

これには3つの要因が考えられます。

  1. 中国退店によるコスト減(前年比13店舗減)

  2. ZOZO売上減少に伴うZOZO販売手数料の減少

  3. 実店舗の売上増加による地代家賃の増加

  4. 第3四半期に特別損失を計上した(将来の減価償却費を一括計上した)

中国退店によるコスト削減分を試算するのは、実はかなり難しいです。過去の資料を見ても、常に店舗数が変動しており、また退店に伴う費用削減効果がどのタイミングで現れるかをキャッチするのも難しいからです。ただ、1店舗当たりの月間固定費は650〜700万円の範囲にあると考えると大体計算が合うのでこの辺りかと思います。退店して前年比で減った11店舗分の固定費は月間7千万円程度となり、四半期では2億円程度が削減されるのではないでしょうか。

次に、ZOZOの販売手数料は、売上高の20~40%だと言われております。ただ、平均すると25~30%となるようですので(ZOZOの公開資料より)、25%と考えます。第4四半期のECの売上高は前年比75.1%でした。もし、第4四半期で25%減、つまり3億円ほどZOZOの売上高が減少していれば、7.5千万円ほど販売手数料が減少することになります。

一方で、国内の実店舗の売上高が第4四半期は150百万円増加しております。地代家賃が売上の10~15%取られるというデータがありますので、15〜20百万円増加する可能性があります。


続く第4四半期は、中国でさらに3店舗退店し、12店舗となっております。
第4四半期は第3四半期で減損処理をしたことで少し数字の面で動きが出るはずです。減損処理は所有する資産に関して将来の収益性が低下したと認識した場合に計上するのですが、要するに減価償却費という固定費が減ります。

新規事業や事業譲受すると減価償却費が重しになり、利益が出せない時期が続くということがよくあります。

これ以上は割愛しますが、販管費に関してもおそらく計画値に近い数字になるでしょう。

9.まとめ



売上総利益は割愛しましたが、実は決算の予想値については、計画値の売上総利益率53.3%に対し51%になるように調整しており、計画値に対し余裕を持った数字を当てはめております。もし、53.3%に届くなら営業利益は10億超に達します。

売上高はECでクーポンやタイムセールを抑制し価格コントロールするなかで計画値を上回ったと可能性があります。ECの低下は、おそらく計画の範囲内で、売上総利益率を上げるための計画だったと推察します。
販管費に関しても、第3四半期の時点で中国の退店効果が出現しており、計画値にかなり近い数字が考えられる。

売上高が2億~3億上振れたことで、売上総利益率も余裕をもった数値設定が出来るようになったと言えます。

以上の結果から、冒頭に書いた通り計画値より少し上振れた決算になると予想します。


なお、この記事での数字に関しては一切責任を負うものではありませんの、ご了承ください。

追加:ECで売上総利益率50%取るには

TOKYOBASEのアイテムは、原価率50%というのは聞いたことがあるかもしれません。これは、販売力や商品の魅力度に左右されるでしょう。

そういった部分をここでは、述べるつもりではなく、単純に20%オフや30%オフでも売上総利益率50%が実現できる金額をまとめたものです。
例えば、私が愛用している、UNITEDTOKYOのEC限定のスラックスは、定価9,000円が20%OFFとなって、7,200円で購入したものです。※消費税抜きで計算しています。

ポリエステルですが、とても着心地が良くシルエットもきれいで気に入っていて、青森県産の商品なのですが、どうやらスラックスというのはデザイン的にはシンプルで原価を抑えやすい商品のようです。

原価が3,600円だったとします。7,200円で売れたので、売上総利益は7,200円 - 3,600円=3,600円となります。
すると売上総利益率は、3,600円÷7,200円=0.5となります。

つまり、定価に対して原価率40%のものであれば、20%OFFのセール販売であっても、売上総利益率は50%になるのです。

では、30%OFFで売上総利益率50%取れるには、原価率が定価の何%なのでしょうか。

答えは原価率35%です。
定価1万円の商品を30%OFFで販売した。
売上総利益は
7,000円 - 3,500円 = 3,500円
となります。
したがって、売上総利益率は
3,500円 ÷ 7,000円=0.5 となります。

個人的には、UNITEDTOKYOやPUBLICTOKYOの服には30%OFFで売上総利益率が50%を取れるような服はないかなぁと思います。おそらく最低でも原価率40%で定価(上代)を設定しているのだと思います。
最近、欲しかったPUBLICTOKYOの極シリーズのパーカーを購入しましたが、これも良かったです。綿がメイン素材で一部ポリエステル。重い。
確か、定価14,000円だったのですが、30%OFFで購入しました。原価35%か40%か・・・。すなわち原価4,900円か5,600円か。

意外に原価率35%もあるのかな・・?

ちなみに、TOKYOBASEは上代見直しをしております。定価を上げるべきものは上げたということです。

次回は、ユナイテッドアローズかアダストリアを取り上げる予定です。

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