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PR視点のミガキカタ〜PRを企画する人たちに知っていてほしい、badstoryを作らないためのストーリーデザインの話〜

<今日お伝えしたいこと>
・PRってどう考えればいいんだっけ?の整理
・なんでストーリーをデザインする必要があるんだっけ?の整理
・ストーリーをデザインするときに必要なことの整理
・ストーリーをデザインするための公式(=だーやまの場合)

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Epilogue.「ストーリー」をデザインするってなんだ?

「ストーリーが大事です。」

コミュニケーションやブランディングにかかわる人たちの中で、この言葉を聞かない日はないくらいに、ブーム感が出てきました。でも、「なぜストーリーをデザインするか?」「どんな形でストーリーをデザインするのか?」って、実はあまり紐解かれていない気がしています。

僕は、Story Designerを名乗っている視点からお伝えすると、「ストーリーをデザイン」するということは、「体験戦略の設計図/戦略図」を作ることでということ。そして、社会の中でのポジション戦略を有効に働かせるためです。また、ブランディングの視点から、一貫したブランド体験(情報体験/物理体験)を提供するために必要な戦略であり、仕様書だということです。

「ブランディング」ってすごい言葉のように思えますが、結局は、人の頭の中でのポジショニング戦略です。人の頭の中で、「●●という存在」として、認識してもらうためには、一貫したストーリーを繰り返しインプットしていく必要があるのです。

人は、すべての物事を"単語"では覚えて入られません。
すベて、前後の文脈で、意味を判断し、自分にとっての価値を判断します。
つまり、想起させるためにストーリーが必要なのです。

そもそもストーリーってなんぞや?というのを、僕がStory Designerとして、そしてPR Plannerとして考える、ストーリーをデザインすることについて、PRを紐解きつつ、公式を書いてみようと思います。

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Episode1.そもそもPR(パブリックリレーション)って、具体的にどういうことか?

かつての僕もそうだったのですが、多くの人が「PR」という言葉にまずつまずきます。なぜかというと、その言葉の定義と付随する具体的なイメージがなかなかしっかり定着していないことがあると思います。
なので、「PRってなんだっけ?」と聞いてみても、だいたいの人が言う言葉は、おおよそ下記の通りだと思います。

・ステークホルダーとの良好な関係づくり
・社会との信頼関係づくり
・世の中との合意形成

これらは、説明をしているようで、具体的な説明になっていないという問題が。そんでもって、置かれている環境や経験によって、統一の見解というのは作りづらいという問題もあります。。。

では、目指しているものは何かを一言で言うと、
やはり「世の中との合意形成」がその答えに近いと考えています。

僕が考える合意とは、「対話者の参画」という言葉です。
その意味を、次で紐解きます。

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Episode2.社会との合意形成は、「参画」に置き換えてプランニングする

では「合意形成」とはどういう状態なのかというと、メッセージの発信者が、対話者と意見を一致させることです。しかし、PRを展開していく上では、その一致が、“対話者の中に残るだけ”では世の中の合意形成につながりません

なぜなら、世の中の合意形成を図るには、対話者と意見が一致し、そこから何かしらの行動を起こしてもらう必要があります。つまり、メッセージの発信者の意図に「参画」してもらうことが必要なのです。

その参画の方法は、解決すべき課題や設定されたゴールによって様々ですが、分かりやすい簡単なところでいうと「情報を拡散してもらうこと」や「実際に参加してもらうこと」があります。

どんな形で参画してもらい、社会をどんな状態にしていくべきなのか?が明確に伝わるビジョンをデザインすること。つまり、対話者にとってほしいアクションをデザインすることこそ、PRパーソンのプランニング能力が試されるところです。

しかし、実は多くの企業やPRプランナーたちが、当たり前のことなんだけど、見落としがちなことが存在しています。
それが、「語り方のスタンス」です。

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Episode3.気をつけなれけばいけないのは「アイアイシンドローム」

「参画」をしてもらうためには、メッセージの発信者と、その対話者がいるというのは、当然の話です。しかしながら、その対話者不在でメッセージ発信をしている企業や団体が意外と多い印象があります。
「誰に、どんなアクションを起こして欲しくて、どう語られたいのか?」が、不在のコミュニケーションになっているということです。

つまり「私たち(1人称=I)の主張ばかり」になっている。まさに、アイアイシンドロームの状態です。

例えば、新しい概念のサービスを開発した企業があるとします。
新しい概念のものは、未だかつてまだ誰も見たことがない体験なので、想像ができないという前提があります。
それなのに、「新しい概念です!」「未だかつてないものです!」「すごいです!」と言い続ける...。でも、具体的に、そのサービスを使って欲しい人たちにイメージできるメッセージを出していない。
また、社内向けのメッセージを出す際にも、同様のことが言えます。
結果的に、浸透していかない.............というような感じです。

人が動くためには、理由が必要です。
その理由とは、「他者ではなく、必ず自分が主役」で「自分が動くことでどんなハッピーエンドが待っているのか?」が明確なストーリーが描かれていること。

そこまでしっかりと設計できていれば、「誰のための何の体験なのか?」という参画させるためのストーリー骨子ができるはずです。

一般的にPRストーリーとされるのは、"パブリシティを獲得するため"や"それっぽさ”を演出するために使われているケースが多い印象です。

でも、それだけだと勿体無いですよね?
しっかりと参画させる体験を提供できてこそ、ストーリーの価値が発揮されます。付け焼き刃的に作るのではなく、会社の存在意義からぶれない。そして、未来につながるストーリーを作ることが、必要なのではないかと考えています。

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Episode4.ストーリーをデザインすることは、体験を設計すること

僕が考えるストーリーのデザインとは、「体験の設計」です。例えるなら、舞台の脚本を書くようなものでしょうか。

その配役から、舞台設計、演出までを設計することを指します。
そして、オーディエンスはどんな人で、どんな印象を持って、その後何を語ってもらうのか。つまり、すべての始まりから終わりまで、プロローグからエピローグまでを作ることです。そこには、体験が付与されていないと意味がないため、どんな体験であることが必要なのか?を徹底的に考えます。

ストーリーテリングの本を読めば大体のことが書いてあると思いますが、
まずは、自分たちが何者なのか?を規定するところから始まります。

そして、対話者は何者なのか?を規定することでやっと、コミュニケーションの軸が決まってきます。

対話すべき相手のことをより深く知ること、そして具他的に想起できるぐらいまで考えることが必要です。

ストーリーをデザインするために大切なことは、すべてが「人」を中心としなければいけません。また、マストで必要なのは、ストーリーの軸をメッセージ発信者のMissionとIssueに紐付けることです。

なぜなら、対話する相手は必ず「人」と「人」だからです。

MissionやIssueなきメッセージやインサイトを捉えることができていないストーリーほど、ワークしないものはありません。PRプランナーこそ、メッセージ発信者のMission/Issueをブレずに見つけられていること、そして、誰よりも人を知ること、人を見つめることが大事ですよね。

人を誰よりも知ってこそ、ストーリーがデザインできるPRパーソンになれるのかも。

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Episode5.StoryをDesignする公式(=だーやまの場合)

参考までに、練習用の公式を下記にて、ご紹介します。
まずは、これで頭の思考回路を作ってみてください。

>公式
「Who am I?(会社視点)」×「Public Issue(対話者視点)」×「Company / Survice Role(プロダクト視点)」=goodstory!!!

※解説

1.「Who am I?」

私たちは何者なんだっけ?と再確認するところからスタートです。
先ほど書いたように「I am!!!」から始めると、アイアイシンドロームになりがちなので、毎回初心に戻りましょう。

2.「Public Issue」

ここでいう「Public」は、コミュニケーションをする対話者のこと。
その人たちを取り巻く環境はどうなっているのか?を正確に把握しましょう。

3.Company / Survice Role

語る対象に関して、どんなことができるのかをしっかり分析しましょう。
情報が多ければ多いほど、伝わりづらくなるので、
ここは、絞って絞って絞り込むイメージで。

<練習>
まずはこの公式を使って、シンボルとなるストーリーを作ることから始めてみましょう。いわゆる「シンボリックストーリー」を作りましょうっていうことです。別の言い方とすると、「人と社会の頭の中に必ず残したいコアストーリー」。

月並みな例えで恐縮ですが、
木に例えると、このシンボリックストーリーが幹、
派生していくすべてのストーリーは枝葉
です

つまり、すべては、このシンボリックストーリーに立ち返る、紐付いている必要があるのです。

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Prologue.最後に

結局考え方なんて、人の数ほどありますし、ここまで書いたのは、あくまでも僕個人の考え方です。そして、それぞれの置かれている役割や環境によっても、異なります。

冒頭でも書いたように、ストーリーは、あくまでも「設計図」です。僕の肌感では、PRや広報界隈でとにかく、それっぽいストーリーを語れば良いという風潮が少なからずあります。しかし、ストーリーは戦略的にデザインし、設計していく必要があります。

そして、それらをどのように伝えるか?のアウトプット方法を考えて、実践していくことが、本当に大切なことです。その手段が、本当に有効なのか?クリティカルなのか?を常にPRにかかわる人は考え続けなければいけません。

プレスリリースもパブリシティもあくまでも、その機能・手法の一つ。
まずは、そもそもの仕様や戦略を考えることに時間を割くことで、KPIやネタ切れなど、よく聞かれる問題は少なからず解決すると思います。

戦略的な思考を持つことで、会社にとっても、あなたにとってもgoodstoryになるきっかけが生まれるかもしれません。エラそーなことを言ってますが、僕自身が実践できているかどうかは全然別問題でして。。。驚くほどにしょぼい企画をすることもあれば、さらに驚くほどに的外れな企画をすることも多々あります(本当悩ましい、、、全知全能になりたい、、、)。

今回、このblogを書いたのも、誰かのgoodstoryを作れればいいなと思いながらも、自分のスタンスを伝えつつ、みんなとディスカッションしていきたいと思っているのでした。

ぜひ、皆さんのお話も聞かせてください。
このブログが誰かのgoodstoryに繋がりますように。

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