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最後の一枚

きずだらけ

見慣れぬ天井を見上げて携帯電話からこれを書いている。
私はどんな凄腕の看護師さんでも腕から採血できない体の持ち主なので、採血は基本手の甲からしてもらう。
どうしても肘から取ろうとする人がいると、懇願して「後生ですから手から取ってください」と言うのだけど、若い方に限って「いや痛いでしょうから肘から頑張らせてください」と言って結局肘に針を刺すだけで「何の結果も得られませんでした!」になることがある。
だから言ったじゃないですか、と半分涙目になりながら無駄に絆創膏を増やす。
どうしたら血管て太くなるんだろう。

最後の防具

をおととい歌にして人にあげてしまった。
それは私も聞くことができるから、別に食べ物のように消え去ったりはしない。
ただ、防具だったということに気づかずに渡してしまった。
全く後悔はしていない。むしろ素敵な人にあげられて嬉しい。
でもレコーディングするまでは完成品は聞けないから、いまは正直裸同然だ。
真っ裸で灼熱の大地に放り出されてみたら、1日とたたずにダウンした。
灼熱の大地の上、そこにはトゲの鋭く大量についたサボテンがたくさん植わっていた。
T.M.Revolutionですらこんな環境では歌ったことないだろう。
防具を失った私は、あっという間に全身から血を流し熱中症で倒れていた。

あなたはサボテン

サボテンは別に悪意があってトゲがあるように進化したわけじゃない。
ていうか進化に善意も悪意もない。そこには結果しかない。
トゲがあった方が生き残って子孫を残せた、それだけの話。
そのサボテンを誰が責めようか。
身を守り生き残るためにトゲがあるのに、「お前は間違っている!」ってサボテンに説教してる人がいたら笑ってしまうよね。
だから、私はサボテンで血だらけになっても笑っていたい。
だけど、畜生道に堕ちずに人間でいたい。
ときどき泣いてるけど許してね。

フレイアちゃん可愛い

「歌は私の命、そのものだから!」
って言ってたフレイアちゃんが可愛い。
その言葉を借りるなら、
「書くことは私の命、そのものだから」。
たぶん一生解けない呪いみたいな幻惑的な魔法にかかってしまったんだ。
フレイアも私も。
だからこうして倒れながら、今日もだらだらと日記を書いている。
少し前に武器を失い、おととい防具を失って倒れても紡いでいる。
正直ばかだと思う。
スパゲッティを体から生やしながら、こぼれ落ちる言葉を拾い集めている。

あっ、ワルキューレ聴こう。イヤホン持ってきた。

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