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橘玲さん著「もっと言ってはいけない」読書感想

こんにちは、橘玲先生大ファンのゴッホです。
2019年1月17日、橘玲先生の新刊「もっと言ってはいけない」が発売されました。Kindle派のぼくはKindle版が発売される1月25日を待っていたのですが、Twitterで読者の感想ツイートがRTされるたび、我慢できなくなってしまい紙の本を買ってしまいました。そして1日で一気読みしました。
本書は大ヒットした「言ってはいけない―残酷すぎる真実―」の続編という位置づけです。目を背けたくなるような真実を進化心理学で明らかにする、というテーマで書かれています。進化心理学はヒトの心や習性は進化の過程で一定のものに形作られているはずだ、というアプローチで、多くの学者に受け入れられているらしい。ぼくがよく発信している「恋愛工学」も進化心理学を恋愛に適用させたものです。

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本書の構成ですが、その半分以上(1~4章)は「知能は遺伝する」「人種(大陸)間の知能・認知には差がある」ということの説明に費やされます。この中にはいかにもTwitter映えしそうな話題も出てきます。例えば、男女の知能の分布には偏りがあるとか、ゲイは普通の人よりも魅力的だとか。その1つ1つは「へぇ、そんなことが科学的に言えるのか、おもしろ」という感じなのですが、全部の事実が合わさって、5章以降の結論へと続きます。1~4章は進化心理学によって導かれる世の中には不都合な真実の紹介は前作の「言ってはいけない」の続きと言えるかもしれません。

余談ですが、彼や日本の書籍に見られる1ページ目からロジックを積み重ねていって、最後の結論を導くというスタイルは非常に好きです。面白い本だと読んでいてページをめくる手止まらなくなってしまいます。欧米の書籍だと結論がバーンと書いてあって、それを補強するストーリーが続くので。

このパートでぼくにとって新鮮だったのはヒトの進化のスピードは思ったよりも早いということです。

・16世紀にヒマラヤに移住して来て、酸素吸引器なしでエベレストに登山できるシェルパ
・17世紀に砂漠に追いやられて空間認知能力が増したアボリジニ
・酪農が始まってから牛乳が飲めるようになったヒト

など様々な例が挙げられます。恋愛工学では、ヒトはOSはサバンナで狩りをしていた数万年前から変化してない、だから恋愛について考える時、石器時代の生活がどうだったのか思い浮かべよう、というところから議論がスタートしますが、石器時代の恋愛をベースにしながら、ここ数千年での進化も視野に入れると良いかもしれません。
東アジアや東南アジアなど、日本以外の国でナンパしてみましたが、日本とは恋愛のあり方が少し違う気がします。これは文化の違い以外にも理由はありそうです。

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5章以降で書かれていることは、基本的には「東アジア人マンセー」でした。直接的な表現は避け、客観的な視点で数多くの科学的根拠から論じられていましたが、「東アジア人、マジですげぇ」に他なりません。進化心理学の観点から歴史を俯瞰して論じ、東アジア人の特徴を述べる。日本人が書いた「サピエンス全史」を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。読んでいて、日本人として誇らしい気持ちとともに、欧米で翻訳されて出版されたら炎上しそうだな…と思いました。

彼が主張する東アジア人が優れている点は下記の2つです

・IQが高い
・ハイコンテクストなコミュニケーションができる

・IQが高い

IQについては各国の平均IQが記載されていました。東アジア人と同様に北ヨーロッパの人々も高いです。傾向として、寒いところにいくほどIQが高くなるようです。これはヒトが世界各国に散らばっていった際、寒い地域の方が食物を獲得するのに苦労したからと書かれていました。特に、冬~春にかけて、動物は冬眠し植物は枯れるためです。マンモスなどの一部の大型動物は冬でも冬眠せずに活動していましたが、食物を獲得する難易度は常夏の南国と比べて高いことは想像に難くありません。北半球の寒い地域の方が経済が発達しているというのはよく言われていますが、これが原因でしょうね。欧州でも食べ物が豊富に取れる南欧よりも厳しい寒さの北欧の方が経済が発達しています。個人的には、温暖の地域の人の方が貧しくても楽観的ですし、人生を楽しむという感じがするのでどちらが幸せなのかは微妙なところですが…(昔、フィリピンのセブで5週間ほど生活したときに日本人との違いをとても感じました)
余談ですが、北ヨーロッパ人、東アジア人以上にIQが高い人種としてユダヤ人(イスラエル外に在住)とインド人(カースト上位)が挙げられています。ここでは割愛しますが、彼らが高いIQを持つに至った理由も納得でした。

・ハイコンテクストなコミュニケーションができる

そのまま引用してますが、ハイコンテクストなコミュニケーションとは何でしょうか…
Google先生の結果から引用すると

ハイコンテクストとは、コミュニケーションや意思疎通を図るときに、前提となる文脈(言語や価値観、考え方など)が非常に近い状態のこと。 民族性、経済力、文化度などが近い人が集まっている状態。 コミュニケーションの際に互いに相手の意図を察し合うことで、「以心伝心」でなんとなく通じてしまう環境や状況のこと。

とのことです。農業が始まった時、ヨーロッパ人が小麦を農耕したことに対して、東アジア人は稲作をはじめました。稲作は小麦に比べると、土地面積あたりから収穫できるカロリー数が多いらしく、たくさんの人を養えるため人口密度が高くなるらしいです。(アジアの国口が欧米に比べて人口密度が高いのはそのためのようです)
我々のご先祖さまは数千年前から人口密度の高い農村にて生活してきたため、隣人に気を使いながら生活し、ハイコンテクストな進化を遂げたようです。
IQが高く、ハイコンテクストな理解ができる東アジア人は、米国では医師や弁護士などの専門性の高い職種で働いており、米国では平均年収が白人よりも高いようです。
ここらへんの話は実体験としても理解できます。前述したように、これまで台北・韓国・タイ・フィリピンでナンパをして知り合った女の子とコミュニケーションをとって来ましたが、東南アジアの子たちは東アジアの子に比べて感覚の違いを感じました。また、流行しているSNSを見ても中国では日本同様、weiboというTwitterの様なものが流行していますが、タイでは文字がメインのSNSを使ってる人はほとんどおらず、Instagramが一番人気です。
一方で、そんな東アジア人ですが、光があれば闇があるもの。負の側面も紹介されていました。そもそも、ハイコンテクストなコミュニケーションができる理由は「S型遺伝子」という鬱になる遺伝子を多く保持するためのようです。アフリカ人や白人はこれをほとんど持っていないようです。(よく言えば楽天的)
また、人口密度が高いムラ社会で進化を遂げた東アジア人の特徴として「幼児性」が挙げられていました。海外にいくと、日本人は若く見られるというのはよく言われる話です。これは、ムラ社会ではテストステロンが多い凶暴な男は即座に排除されたようなのですが、進化の仕方として幼い時の性質を保ったまま成長するような進化をしたためのようです。
そうだとすると、海外にて東アジア人の魅力を最大限引き出すには幼い子どもが持つ「中性的」を引き出したほうがいいのではないかと思いました。髪型もそうですし、髭もそり、メイクもする。(世界的なトレンドである韓流はッションではメンズコスメは当たり目のようです)

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咲ける場所で咲く

そんな東アジア人ですが東アジア人の中にいるよりも、海外に出てIQの低い人達やハイコンテクストなコミュニケーションができない人たちの中にいた方が輝くようです。作中では、米国でのアジア人の平均年収に加えて、ボリビアに移民した鹿児島の農民の子供がファンドマネージャーや建築家になったり、中国社会で最下層にいた福建人が東南アジアに渡って華僑財閥を築いた話が紹介されます。
どんなに優秀でも、周りも同じく優秀では際立つことができませんし、S型遺伝子を持つ我々は、ハイコンテクストすぎるがゆえに同調圧力によって自分達の首を絞めてしまいます。
ナンパではそもそもナンパする場所を選ぶ戦いを「メタゲーム」と言いますが、日本で生活しながらもなかなかうだつがあがらない人は自分たちのメタゲームを戦うときなのかもしれません。

咲ける場所がどこなのか、という答えや考え方のヒントはこの本では論じられませんでしたが、経済が沈みゆく日本でないような気がします。

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