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『ある閉ざされた雪の山荘で』を見て(ネタバレ有り)

(ネタバレ有り、固有名詞呼び捨て表記、ご了承下さい。)
東野圭吾作品の小説『ある閉ざされた雪の山荘で』が映画化され、1月12日に公開されました。
主演:重岡大毅 出演:間宮祥太朗、堀田真由、中条あやみ、岡山天音、戸塚純貴、西野七瀬、森川葵
サスペンス・エンターテインメントってどんな?
サスペンスで二重三重のトリックって?と思いながら、普通に謎解きのサスペンス映画かと思って見ました。
 この映画、正直1回見ただけだとサスペンス要素もトリック的な要素も薄いし動機もなんだか、、、とあまりスッキリとしませんが、この映画を楽しめるのは2回目からだと本日はっきり解りました。

1回目は騙される側の視点から、結果が分かった上で見る2回目は騙す側の視点から自然と自分の立場を意識せずに置き換えて見ていました。

なので1回目はサスペンス要素にどうしても重点を置いて見てしまうため、謎解きやサスペンス要素が実際に強く無かった為に物足り無さも感じたことでしょう。
でも2回目は騙す側からの視線で見ているため、監視カメラや盗聴器で見ている雅美と、何も知らない田所達3人を騙さなければいけないというハードルの高さから、騙す側の緊張感や表情、機微の所作、セリフひとつにおいても気を張り巡らさなければならない、そんなヒリヒリ感が1回目よりも感じて新たなこの映画の面白さを感じることができました。

実際に、序盤に久我が持ってきたビデオカメラを使ってもいい?と聞いた時に温子が「別にいいよね。」って本多に聞いて本多も「いいんじゃない?」って言うけどその時に貴子がサラッと「え?なんで本多に許可とるの?」みたいなこと聞いてきて『あっぶねー!アツコおおおー!』ってなりましたわ。
(これは1回目は全然気が付かなかった会話のやり取りでした。)
あと、何かと騙す側の人たち、アイコンタクト取るもんだから1回目はそんなに気にならなかったけど、2回目からは『そんなに視線絡ませてたら、バレるって〜』ってハラハラしました。

特に本多役の間宮祥太朗は俳優が俳優の役で尚且つ演技をしている芝居をしなくてはいけないと舞台挨拶などでも言っていた通り、演技をしている本多雄一を演じるという、書いてても訳が分からなくなりそうな状況での演技を見事演じきっていました。

「俺が殺した。」そう言っていた本多の目はどこを見ているか分からない大きなビー玉の様で美しく、恐ろしい殺人鬼を演じていた横顔でした。
終始、表情は緊張感に包まれており、オーディションにきた劇団員本多雄一を演じていた。
だが終盤で、久我に盗聴器が出された後の狼狽具合。
種明かしされて、雅美にも全て知られてしまった時の落胆の表情、
「生かし合いだ」と言っていた、演技という仮面を剥がした時の本当の本多雄一という男の演技は見事だったなあと。

また、決してストーリーが難解では無い分、演者の力量によって成り立つ映画だと、まざまざと思い知らされて、ここに出演しているすべての俳優陣の演技に魅了された映画でした。

1回目と2回目が視点によって全く違う映画に感じてしまうような、今までに無い作品。
サスペンス・エンターテインメントとはこのことかー。
よくこんなキャッチコピー考えたわああああああ。

まだまだ上映してますのでお時間がございましたら、是非2回鑑賞をお勧めいたします。

ラン丸でした。




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