見出し画像

MACCHOとK-DUB SHINE

ちょっと長めの3日坊主でした。超寝かしていたネタを書いてみます。

OZROSAURUS、というかMACCHOは皆さん好きですか?自分はもちろん大好きです。
なんで好きか、と言われれば単純に「ラップが巧いから、それだけじゃなくて作品をリリースする毎に巧くなっているから」という点だ。

じゃあ、「ラップが巧い」の基準点て何だろう。
頭韻、脚韻を踏みながら意味を通すリリック、早口、内容、フローetc・・
色々と好みや意見があると思います。でなければ近年のANARCHYが「KING」とか言っていられるわけがありませんし、RYKEYが人気にもなりません。
今回はシンプルに「聴いていて気持ちの良いフローかどうか」という所に焦点を当ててみたいと思います。
まずは参考作品

I-DEA作のビートに倍速気味の早口ラップを活舌良くスタッカートを利かせており、非常に気持ちの良いラップをしている。内容も併せ本来SEEDAもVERSEに参加する予定がBESが凄すぎて拒否したという話もあるぐらいだ。

そんなSEEDAからはBUSSINを選びます。HEAVEN以降、単純に「気持ちの良さ」という意味では下り坂に入っていた所に公開されたこちらの曲は未だ無名だったJUNKMAN、KZMと比較し圧倒的なスキルを見せつけている。

で、SEEDAのようになんでか知らないが日本人ラッパーは年を追うごとにどう考えてもラップのスキルが落ちる(子どもが生まれる、も然り)という傾向がある。
上げれば枚挙にいとまがないが漢、BOSS THE MC等は非常に分かりやすいだろう。あからさまに言葉数が減り、韻の踏み方も単純になってメッセージ?の強さに引っ張られて「気持ちの良さ」は下降傾向になっている。

ところがどっこい、表題MACCHOは年を追うごとにラップが巧くなっているという非常に稀有なラッパーである。
参考資料

年を追うごとに韻が分かりやすく硬くなっているが、この辺りまではあまり「ラップの巧さ」は個人的には意識していなかった気がする。
問題はGRAND MASTER以降。2015年以降である。

標準と倍速を切り替えながら鬼気迫る勢いでラップしているが、それに加えて勝手に自分が呼んでいるが「小節ずらし」を入れてきている。
1拍1拍ごとに微妙に言葉尻をずらし、4拍目、若しくは1小節の最後あたりにきっちりリズムを合わせる、という恐ろしくテクニカルな事をしている。
この手法がより明確になったのがZONEとの共作の下記だ。

日本語ラップにおけるラップのブレイクスルーはこれまで何度もあったが、個人的に直近最後のブレイクスルーはこのMACCHOのラップでは無いかと思ったほど衝撃的なフローだった。それを起こしたのが30年選手の超ベテランだ。本当に感動した。ZONEも押韻という意味では決して下手なラッパーでは無いがこの曲ではとてもつまらないラップに聞こえてしまう。
新作は「曼荼羅」のような勢いのある曲に期待していたが残念ながらZONEの趣味?に押されたのか割と落ち着いた曲が大半になってしまい非常に残念だったが「NOT LEGEND」と題されたのは世間で「LEGEND」と呼ばれているラッパーが年追うごとにラップが下手になり、過去の名曲だけを歌う演歌歌手の巡業のようなライブに対して「現在進行形で進化している」という意思表明と個人的には思っている。

そんな年追うごとに下手になっている、と思われているが本当にそうなのか?と個人的に勘ぐっているラッパーがK-DUB SHINEだ。

口から出まかせ参加の3グループのおじさんヘッズ歓喜の曲だが、他ラッパーは昔と変わらない、なんなら巧くなっている人もいるがこの中で異様なフローを見せているのがK-DUB SHINEがだ。
氏のVERSEの最後が非常に気持ちの悪いフローとなっている。

ところで最近どうかした?
問う今日と昨日 と明日

文字面だと「どうかした」と「と明日」で韻を踏んでいるが実際の曲だと「問う今日と昨日」と「と明日」の間が空いている為、踏んでいないように聞こえてしまい非常に気持ちが悪い。さらにZEEBRAの生きの良いラップから極端にテンションの下がったK-DUB SHINE独自のフローも加わり、いつもの調子のはずが悪く言うとやる気が無いように聞こえてしまう。

PVの元ネタ探しが楽しいギドラ復活の狼煙となった曲。
この曲のK-DUB SHINEの2VERSE目全ての歌詞の文字数がリズムにはまっておらずモタモタしたようなフローになっているが致命的なのは「流されてる血はいつもより赤い」に関しては字余りで「いつもより赤い」が駆け足になってしまい素人のラップのようになってしまっている。
「流された血はいつもより赤い」と少し変えるだけで解消されるはずなのに・・

ここで疑問が生じてくる。なぜHIPHOPに対してのインテリジェンスは日本でも指おりの氏がこのようなラップをするようになってしまったのか・・シンプルな脚韻にこだわっているのも元来ラップで韻を踏むことは当たり前、そうしないことがあり得ないという事を把握した上での事と思っているが、それにしたってフローを犠牲にしすぎでは無いか。氏の過去作ではここまで目立った気持ち悪さは無かったはずだが、老いなのかそれとも自分の勉強不足で何か意味があるのか・・非常に興味がある。

MACCHOとK-DUB SHINE 文字あまり、小節ずらしという手法の意味で最近非常に興味があるスタイルを前者は感動、後者はがっかりという対比になっている二人の考察でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?