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iidabii/もうひとりの僕へ

UNIONにぶらっと行ったときに以前も紹介したiidabiiがプレス盤で新譜をリリースしていたので購入。前作が6曲入ってCD-Rで2,310円、今作はプレス盤で12曲入って歌詞カードと帯もついて2,200円てなんでやねん。

宗教2世、吃音、いじめと自分のように平々凡々の人生を送っている身分からすると吐き出されるある種の青臭さをまとったリリックにはとても重みがあるように感じる。1曲目「もうひとりの僕へ ~小倉/長崎/原爆~」2曲目「ROOM/CUBE」はトピックとしてはありきたりな内容だがiidabiiの経験を踏まえると「今生きていること」「前を向くこと、外の世界へ行くこと」への思いを深く感じることが出来る。
3曲目、4曲目は前作から再収録、この2曲の再収録は5曲目の「もうひとつの地獄」へと続いていく。本当にエホバはクソだな・・・

6曲目の「神様のいる家に生まれて」は今作、過去作のジャケットイラストを描いており同じく宗教2世として育った菊池真理子氏の作品へのオマージュ作。(だと思う・・)
氏の作品をめぐるトラブルはWIKI参照で。

7曲目、全曲の中でも珍しくワンループトラックの上に謎のTOKYO HAREMというラッパーとのポジティブラップ。GOOGLEレンズは便利だなぁ

8曲目が面白い。マサキオンザマイクへの感謝?DIS?曲。
そうなのかなぁと思ってたけどやっぱSSWSに参加してたのね。
ZIGOKU RECORDを背負うとのことだが今作のリリースはGESELLSCHAFT RECORDというおそらくiidabiiのプライベートレーベル?からなのでよくわからん。ていうかこのレーベル名、「GESELLSCHAFT」はドイツ語で「会社」という意味のようだが他にも色々意味があるようで興味深い。

9曲目は吃音についてのラップ。吃音についての理解がなかった自分としてはとても勉強になる。もし今後吃音の人に出会ったらこの曲を思い出そう。

10曲目、「The Hate U Give」日本語だと「あなたがくれた憎しみ」。
単語の頭文字を取って「THUG」とており、様々な憎しみの連鎖を変えようというトピックにしている。
同名の人種問題を扱ったドラマがあるらしい。

11曲目「ラジオボーイ」ここにきて謎のオルタナロック曲。ノーコメント。正直邪魔な曲。

12曲目「一人だけの卒業式」
電車で聴いていたら泣きそうになってしまった。この人の強さを尊敬したい。

というわけでざっくり全曲レビュー。トータルの感想としては昨今のゴミみたいなマンブルラップ群なんかよりはるかにメッセージ性が強く一聴の価値はあるがいかんせんラップがへたくそすぎる・・もしライミングとフローがばっちり決まっていればコンシャスラップとして歴史に刻むクラシックに化ける可能性を秘めているだけにとてももったいないと感じてしまった。
また、ピアノ美メロ系トラックはパッと聴きは良いけどメッセージ性がとても強いだけに他に何かトラックがあったのではとも思う。前作のBATSフルプロデュース作はその点がばっちり決まっていただけにこれも持ったいない・・
次作も楽しみにしています。

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