本当は大きな夢なんてなかった。
「ミュージシャン」と聞いてどんなイメージが浮かぶだろうか。
そのイメージには「夢」がセットになってないだろうか。
インディーズミュージシャンを長く続けてきた僕は
無意識に大きな夢を掲げないといけないような気がして
無理をしてきたのかもしれないなと最近考える。
だけど大きな夢なんて本当はなくてもいいのかもしれない。
そんな話をしようと思う。
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僕が音楽をやりはじめたのは、テレビに出るアーティストに憧れたからでも、生でライブを見て衝撃を受けたからでもない。
友達とカラオケに行くようになって、歌をほめられて舞い上がって、
乗せられてギターを買って、タダで歌えるからと路上に繰り出した。
オリジナル曲を作り始めたのも、クラスの友達と詞を書くのにはまっていて
それと音楽がたまたま合わさっただけ。なんとなく気づいたら作っていた。
ライブハウスも路上で出会った友達のバンドを見に行ったら、その流れで出演が決まり、そのまま継続して出ることになった。
そんなぬるっとした入り口だった。
今まで夢のあることを言って来たから、
こんなこと言うの本当に勇気がいるけど、
そんな僕が、夏は汗だくになりながら、冬は寒さに凍えながら、機材と物販を持って電車に乗って、路上ライブをするために2時間も3時間も場所取りをして、ワンマンライブにたくさん来てもらうために1日7時間ぐらい歌って、かなり無理をした活動をしていた。ワンマン当日以外はほとんど苦しい、辛いと思いながらも歌えた原動力は、
今また新たな道を模索してチャレンジできる原動力は、
その辛さ全部より、好きじゃない仕事をする方が嫌だったから
だ。
この「やりたくないことを、どうしてもやりたくない」という性格が10年以上結果を出してやると続けられた理由だったのだ。
誤解のないように補足させてもらうと、夢のあることを言ってきた時、その時はそう本気で言っていた。ただ、それが本気だと思おうとしている内に熱い想いを作り出していたんだなと思う。
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やりたくない。逃げたい。
と聞くと「後ろ向き」だと思わないだろうか。
だけど進行方向の矢印の向きを180度回転させてみてほしい。
そう、「前向き」になるのだ。
「やりたくないことをやりたくない」は、徹底的にやればものすごく前向きだし、攻めの姿勢になる。
僕には本当は大きな夢なんてなかった。
やりたくないことばかりの中で、唯一やりたいと思える仕事にできること。
それが音楽だった。それをずっと楽しく、追求しながらやっていたい。
そんな小さな目標があるだけだった。
今の目標は「無理をしなくても必要とされながら音楽を仕事にできる環境や空気を作る」こと。
そして僕だけではなくて、頑張ってるけど本当は僕と同じだって人の道筋になること
そのためにもこれから積極的に「やりたくない」から逃げていこうと思う。
「夢」を応援したい人は多い。
夢は熱くなれるから。
でもスパイスがきつい料理しかおいしく感じなくなるのは、
みんな疲れちゃうんじゃないかな。
「普通」を応援できる空気をもっともっと広めていきたい。
言いかえてみれば、
それが僕の夢なのかもしれない。
曲を作るのが楽しい。
歌を聴いてもらえるのが嬉しい。
あの路上に出た時のようなワクワクで
教室で詞を書いていた時のような純粋な気持ちで
音楽を続けていきたい。
CHIPファンクラブや毎月のpolca支援はその入り口だ。
大きな成果はまだ出てないけどここにつなげていきたい。
そのためにも「素敵なやりたいこと」をやっていきたい:-)
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