なんで仕事で怒られるんだろう

「それはこうすればいいんじゃない?」と男が、「別に答えは求めてないねん!」と女が言う。

そういう構図は世の中に溢れている。僕一人だけでも何十回も事例の数を稼いできたものだ。だって解決したくなってしまうから。

男女と大きく分けてしまうのはナンセンスだと思うが脳科学的に男性は「答え」で、女性は「共感」で脳内を整理する傾向があるのは確からしい。

とここで終わってしまってはつまらないので、僕なりに考えた「悩み相談に乗るとは何か」を「仕事で怒られてしまう」という例をもとに書いていこうと思う。

先に結論だけ言っておくと問題を掘り下げて考えて「何をすればいいか」まで導くことが悩み相談に乗ることだ。


シルフスコープで言葉にする

まずポケモンでゆうれいの正体を見やぶるためにシルフスコープを使うように「モヤモヤ」を「悩み」という形に変える必要がある。単純に何にどうしてモヤモヤしているのかを言葉にしてみるのだ。

「また仕事でおこられた。なんであそこまで言われなきゃいけないの?頑張ってるのに!」

実はここにさえたどり着けていない人がけっこう多いと思っている。モヤモヤをモヤモヤのまま抱えてストレスを増やしている人が。

人間は「言葉」にしないと自分が何を言いたいのか、思っているのか理解できないようにできている。だからまずは状況でも感情でもなんでもいい。思いつくままに言葉にすることが大事だ。

YouTubeなんかで関連動画を次々と見てしまうのは「曖昧にしているほしいものを言葉にして気づかされている」からだと思う。

この場合「なんであそこまで言われないといけないの?と思っているあなたへ」という動画が関連で出てきたらついクリックしてしまうだろう。


「悩み」と「考える」の違い

「悩み」と「考える」の違いを言葉にできるだろうか。僕も最近までなんとなくのイメージしかなかった。まさに言葉にしていなくて理解していなかったパターンである。

仕事でまた怒られたな。しんどいなあ。なんで怒られるんだろう。そうやって「答えが出ない」のを前提にウジウジと考えるふりをするのが「悩み」で

仕事でまた怒られたな。怒られないためには何をすればいいんだろう。何が原因なんだろう。と「答えが出る」を前提に考えを組み立てていくことが「考える」だ。

冒頭の「別に答えは求めてないねん!」はモヤモヤを言葉にした時点で解決する。ゴールが「感情を分かってもらうこと」なら悩みのままでいいからだ。悩みのままがいいとさえ言えるかもしれない。

つまりこのいざこざは「相談」の手前の悩み「開示」が目的地なのだ。

悩み相談はそこから先へ行く。問題を掘り下げて考えて「何をすればいいか」まで導くのだ。


相談しながら悩みが解決する

悩みを人に話していたら自分で解決してしまったと言うことはないだろうか。

それは「なんで怒られるんだろう」が話すときに「こういう理由で怒られてると思うんだよね」という仮説に変わるからだ。仮説は「こうじゃないか?」に置き換えると分かりやすい。

悩みが浮かぶと「なんで」「どうしたら」が最初に出てくる。悩み相談をする前というのはここでストップしていることが多いと思っている。

その次のアクションは単純で「なんで」を「何」「どうやって」「どこで」に変換して仮説にすることだ。

「書類の確認を怠った(何)から怒られたのかも」
「あそこでちゃんと聞いておけば(どうやって)怒られなかったかも」
「社長の前(どこで)だったから怒られたのかも」

悩みが「こうじゃないか?」になれば自然と答えが見えてくる。

「次は書類の確認をしてみよう」
「聞いておくべき場面を見極めよう」
「社長の前ではあれはやめておこう」

人に話すときに自然に自分で仮説を立てると勝手に答えが見つかって解決してしまう。そういうことも少なくはないはずである。


相談に乗るとは

問題を掘り下げて考えて「何をすればいいか」まで導くことが悩み相談に乗ることだと言った。

それではよい導き手とはなんだろうか。

僕は「問題の根っこに近い仮説を立てられる人」だと思う。

「書類の確認を怠ったから怒られたのかも」を「判断と決断の区別がついていないんじゃないですかね」とより深く言える人が相談者にとってよい導き手になれる。

つまり「仮説を立てるまで」が悩み相談だ。仮説が立てば人は自然と自分なりの答え(考え)を見つけてスッキリする。回答者が答えを言うのは「相談に乗る」から一歩先へはみ出している。

悩みを具体的な言葉で代弁したり引き出し、より深い仮説を提供し「考え」に導く。

それが「相談に乗る」ということだ。

悩み開示が目的の人や、もう答えが見つかった人には「相談外」のことをしないでいるのがいいのかもしれない。

僕個人としては回答者の考えを楽しみたいと思っているので、相談とはまた別の価値観の話としてたくさん聞いてみたい。でもそこを押し付けてくる人とは距離を取るのがいいと思う。

何かに悩んでいる人は、深い考えを持った人に相談してみてはどうだろうか。


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