インディアンカレーでハヤシライス
ハヤシライスとカレーの関係性は人間でいう「家族」だろうか。それとも似ているけど「赤の他人」だろうか。もしかしたら「いとこ」ぐらいかもしれない。
カレーもハヤシもシチューもルーを溶かしてご飯にかけたり(シチューは賛否両論だけど)パンにつけて食べたりするのが主流だから、同じ仲間のような気がするだけなのだろうか。
ギターをアンプに繋いで音を出すのは同じだけど、ロックをやるか、ジャズをやるか、みたいなジャンルの違いなのだろうか。
だとしたら「いとこ」ぐらいの関係がしっくりくるような気がする。
最近歩きながら気にしていなかった店や看板を気にするのにはまっていて、今日はいつも曲がらない角のところにインディアンカレーがあったので、中をのぞいてみたらノーゲストで超暇そうにスマホをいじっている店主がいた。潰れないのだろうかとなぜだか僕の方が店主より不安そうな顔をしていた。たぶん。
そして入り口のドアには「ハヤシライス終了しました」と張り紙がしてあった。
インディアンカレーでハヤシライス。インディアンカレーでハヤシライス?それってどうなの?とすごく複雑な気持ちになった。ちょっと前を通るだけでこんなにいろんな思いが駆け巡る店も珍しい。
ハヤシライスは人気がなかったから終わったのか、単純に時期が終了したのかはたまた他の理由なのか。ロックバンドがメインのライブハウスにジャズを求めてくる人がまずいないように、そもそもインディアンカレーにハヤシライスを食べにくる人がいないんじゃないだろうか。
もはや逆に気になってきている。
もし食べに行って「いや普通のハヤシライスやん。これならカレー頑張ってほしいわ」となったら本末転倒だが、そのハヤシライスもメインを張れるぐらい絶品だったとしたら周りがなんと言おうとOKになり、カレー屋なのにハヤシライス?というのもいい宣伝文句になるだろう。
自分がやり続けてきたことと違うことをやる時に、他人はああだこうだと言ってくる。迷走してるだとか、らしくないだとか。だけどそういう人たちは結果さえ出してしまえばころっと手のひらを返すだろう。
これいいんじゃない?と本気で思ったのならば周りがなんと言おうとやってみればいいと思う。とやかく言われるのは面白い証拠なのだ。
あのハヤシライスの味がどんなものだったのか、僕にはもう知る由がないのが残念である。
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