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自己啓発本の落とし穴

自己啓発本を読む人ほど人とのやりとりがズレてしまったり、ビジネス本にハマりすぎるとお客さんの求めているものから離れてしまうジレンマがある。

それは頭で考えすぎてしまうから。または心を置き去りにしているからとも言える。なぜそうなってしまうのかというとそこには「方法論」しか書かれていないからだ。

例えば「話をするときは自分が言いたいことを話してしまいがちですが、相手が何を話してほしいかを考えましょう。」というようなことが書いてあるとする。

これは間違ってはいないのだけれど肝心なものが抜けている。

「なぜ僕はこの人が話してほしいことを想像したいのだろう」「僕はこの人にどんな気持ちになってもらいたいのだろう」という自分の心への問いかけだ。

考えすぎて悩んでしまう時は行動が足りていないのと同じで、方法論の本を読み漁ってしまうのは心をないがしろにしていることが多い。


「音楽は技術より心だ」

誰かがそんな話をしているのを聞いたことがないだろうか。これは半分正解で半分間違いだと僕は思っている。

歌も演奏も物凄くうまいのになんだか胸に響かない。そんなライブを今までたくさん見てきた。僕自身がそういう時期だったこともあると思う。

逆に演奏は全然うまくないけど心を叫ぶ高校生バンドに感動をしたことがある。

このふたつを単純に比べると「技術より心」になってしまうのだけれど、それはあくまでどこかの町のライブハウスや路上ライブやドラマのワンシーンの話だ。実際にプロでやっていくとなると確実に技術が必要になってくる。

「技術も心も大事」なのだ。

ただ土台には心がなければいけない。うまいだけの演奏が胸に響かないのは理由もわからないまま相手の言ってほしいことを考えようとしているのと同じだから。それが半分正解といった理由だ。

自分はなぜこの曲をこんな風に演奏するのか。聴いてくれる人にどんな気持ちになってほしくてこういうアプローチをするのか。そこが曖昧だったり見失っていたりする人の演奏は感動しないのである。


いままでは僕もうまく話せない自分をなんとかしたいだとか、相手をコントロールして円滑にしようだとか、うわっつらな気持ちで知識を使っていた。

今は話をすることでおたがいが楽しく笑っていい時間を過ごせたらいいなと思っている。

相手にも笑っていてほしいなあ。それが僕もうれしいなあ。という心の土台が見つかっただけで、自己啓発的な記事を見つけても、ビジネス本を読んでも捉え方が変わった。

「話をするときは自分が言いたいことを話してしまいがちですが、相手が何を話してほしいかを考えましょう。」

なるほど自分だけ楽しい話をしてもおたがい楽しくなれないもんな。

という風に、何かをコントロールするのではなくて、想いを実現させるためできることのひとつがここには書かれているんだなあと感じるようになったのだ。


問題につまずいた時こそあえて立ち止まって、なぜこんな風に演奏するのか。聴いてくれる人にどんな気持ちになってほしいのか。そういったこと考えるのがいいのではないだろうか。

それは立ち止まっているようで実は一番の行動かもしれない。

方法論の本の多くは心理ではない心のことが書かれていない。土台がなければ何も積み重ねられない。

ページを開く前に、少し心の奥のドアを開くことを僕はおすすめしたい。



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