トレインスポッティングnote

『トレインスポッティング』の思い出

高校への通学路は途中からひたすらにまっすぐだった。近所の港が四国へ渡る連絡船で繁栄した時代にできた市電の廃線跡地。自転車専用として整備されておりスピードが出せるのもこの道が好きな理由のひとつだった。昔の電車が海を目指した直線を私も自転車で走っていく。

映画『トレインスポッティング』を知ったのは中学生の頃、実家のテレビから流れていたBS「スターチャンネル」のユアン・マクレガー特集だった。その特集CMで彼がトイレにもぐるシーンをはじめてみた。かっこいいタイトルロゴに音楽。レイディングやハードな内容(ヤク中映画だしエロ要素も強い)のこともあってかその時全編みた記憶はないのだけど、頭のどこかにこの映像は刻まれた*1。

その後高校生になってヴィレッジ・ヴァンガードのCD売り場でこの映画のと再会する。久々にみたオレンジ色のロゴ。サントラのパッケージから立ち上るかっこよさに震えて購入し、Underworld「Born Slippy (NUXX)」を聴いてもっと震えた。打ち込みのダンスミュージックをイヤフォンはめて音圧を感じながらはじめてちゃんと聴いた。こんな新しい音楽が1996年に発売されていたなんて!

その後何度もこのサウンドトラックを流し、映画もみた。上の漫画にあるように通学路の直線をBorn Slippy聴きつつ自転車で爆走するのは最高に気持ちがよかった。

世界との距離の取り方がわからなくなったとき逃避として使うヘロインは恐ろしいけれど、音楽ならば合法だ。世界と自分の間にすべりこむ膜のようにこのサウンドトラックは当時の私をつつんでくれていた。

そんなトレインスポッティングの続編が今週末にスタートするらしい。
映画公開から20年!
前夜祭として前作を爆音で上映する映画館もあるとか。オープニングのイギー・ポップをこの映画が好きな人たちに囲まれて大音量で聴きたいよー!
http://top.tsite.jp/news/cinema/i/34832639/


*1その時全編みたユアン・マクレガー映画は『リトル・ヴォイス』。内気な鳩好き少年の役がよくて母とふたり盛り上がったのをよく覚えている。ゆえに我が家の彼の愛称はオビ・ワンではなく鳩少年だ。

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