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投げ出したい気持ちを乗り越えて見えてくるもの

みやののぞみさんの「万葉の花遊び」。
花を生けるという行為は、心を映し出す「花鏡(はなかがみ)」なのですよと、いつもお話しされています。

最近、迷いごとがあって、ずっとぐるぐるモヤモヤしている。
そんな心の状態で臨んだ花生け。
ちょっとおもしろかったです。

9月の花生け。
1個めのお題は、
「秋海棠(シュウカイドウ)の好きなところを見せる」。

秋海棠は川沿いのちょっと涼しくてちょっと湿り気のあるところが好きな花。
白丸湖畔でもこの時期によく見かける花です。
水をたくさん含んでいる植物で、水に溶けやすい。
ちょっとしなだれた生え方で、葉っぱの緑が濃く、思いのほか大きい。
濃いピンクの花に目がいってしまいがちなので、葉っぱの存在感を見過ごしていました。

秋海棠と一緒に、萩、ミズヒキ、エノコログサ。
庭先に生えている、秋を感じる植物です。

で、花を生け始めてみたものの・・
最近の迷いがめちゃくちゃ出て、なかなか決まらない。
一緒に参加のみなさんは、サクサクと完成していく。
いつもはすぐに方針が決まって、すぐに生けてこれたので、なおさら焦ってしまう。
小学校のときに給食を食べきれなくて、ひとり、教室の後ろでぽつんと取り残されていたのを思い出しました。

もやもやして、掴みようがない状態。
それでもやらなくちゃいけないんだよねー。
そこで手掛かりになったのが「秋海棠の一番ここが好きだよ。を表現してください」という言葉。
枠組みが提示されていたからこそ、そこが突破口になりました。

白紙を前に「自由に絵を描きなさい。」
と言われても、なかなか最初の一線を描けない。
課題があるからこそ、そこがとっかかりになって描きはじめられるのと一緒かな。

気分が乗らないときにこそ、やりとげる。
この本を思い出しました。
浜松に引っ越してしまった大好きなパン屋さん、小野寺宏輔さんから教えてもらった本です。

つらくても、身体が大変でも、続けていくこと。
その先に見えるものがある。
花生けと千日修行では、失礼なくらいにスケール感は違いますが、そうやって苦難を乗り越えることで、ちょっとだけ高みに昇れるというか。

ちょっと話はそれますが、浜松のパン屋さん「モンタンヴェール」は、その修行を実践されているかのような、すばらしいパン屋さんです。

思えば、カヌースクールも一緒ですね。
25年間続けてきたけれど、いつもノリノリだったわけでもない。
気分が乗らなくても、疲れていても、寝不足でも、寒くても、やらなくてはいけないです。
不思議と水の上に漕ぎ出してしまうと、それまでの気分や、疲れがなくなっちゃうんですけど。
ワクワクしながら参加してくださったみなさんのおかげで、ずっと毎日を積み重ねることができて、今があると思っています。

秋海棠の花で、いちばんいいなぁと思ったのが、葉っぱ。
いちばん最初に目に飛び込んできた、大きな青みの強い葉っぱが、白丸湖の色にも似て、すごくいいなと思ったのでした。

生けたのがこちら。

地に足の着いた、重心の低いものに仕上がりました。
最後に刺した縦に伸びるミズヒキが、重さを開放させるみたいに見えます。

二個目の課題は、ススキと菊。

ススキに追いつきたい菊。
ススキはそのまま生けずに、切って短く刺してみた。
ほかのみなさんの花生けと。

いつもはあっさりした感じなのですが、なんだか一皮むけたかのようです。花生け。
おもしろいな。



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