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#57 コラテラル(2004)

ロサンゼルスで12年、タクシー運転手を仮の仕事としてきた男が、意図せず殺し屋を車に乗せる。非情なその男に脅された運転手は、一晩限りの専属ドライバーとなり、その日5人を殺害する予定である彼を運ぶことを余儀なくされる。

Blu-ray

抑圧からの解放。
遠いようで近い寓話。

空撮でのロスの夜景、トム・クルーズのガンアクション、タクシー中でのマックスとヴィンセントの緊張感ある言葉のやりとりが素晴らしい。
もう公開から20年近く経つにもかかわらず、ヴィンセントのある言葉がずっとまとわりついて生きている点で良作でしょう。。

ヴィンセントはマックスの夢を打ち砕く。
今までマックスは夢の中に住んでいて「いつか」という言い訳を持ち続けていた。

いつか、自分の夢を叶えて個人リムジン業を始める。

いつか、夢のような女性に出会う。

いつか、すべてを手に入れて人間として満足する。

大いなる「いつか」。

ヴィンセントの現実は「今」。
この時しか得ることができない即興ということをマックスに示す。
大きな「いつか」を待つということは完璧さを求めるのと同じで、言い訳でしかないと。

二人の意地がぶつかりマックスが変貌を遂げ加速的に面白くなるこのシーンは脚本術の本でも取り上げられるほどで、とても良い。

マイケル・マンのディテールで無意識に人物を感じ取らせる演出も好き。
そのためにクランクイン前にトム・クルーズは実弾で射撃訓練し、ジェイミー・フォックスはレースのトレーニングを受けた。
ヴィンセントやマックスが見せる行動や態度、たった一言のセリフにもストーリーが始まる前のヴィンセントとマックスに繋がっていく。
衣装にしても高価な特注に見えるスーツだけどアメリカ製でもヨーロッパ製でもなく、中国の九龍でしか手に入らないような最高の特注品。だからあのスーツには異国の雰囲気があるのだそうだ。(パンフ・メイキングから抜粋)

制作の労力をできる限り知る事。
映画を毎晩消費しがちな自分への苦言(^_^;)
ある程度まで味わいたいなって話。

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