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頑張ってくれよ、文科省

この報告書を読んだ僕が怒り狂っていることを、各方面の方々が心配されたが、そのみなさんの多くが実際に読まれて開いた口が塞がらなくなっている。

いま一度、月曜日の「未来の教室」とEdTech 研究会の「第一次提言(案)」を読んでみた。研究会中に、オブザーバーで参加していた文科省の某室長が慌てて「僕らも林プランを作って検討しています」と発言していたが、いまその林プランに相当するものを目にしてみると、あれは恐れをなしたからに違いないと思った。
文科省の言葉を並べただけで具体性もなく、課題意識も乏しい報告書に比べて、現実を見極めて、いま、理想を求めていかに踏み出すかを、経産省の提言は語っており、地に足がついている。
「エビデンス」に関するやりとりもあったが、教育におけるエビデンスの難しさを経産省のほうが理解しており、文科省、大丈夫かと思ったがやはり大丈夫ではない。「ビッグデータ」やアダプティブな学習に対しても安易なとらえ方を文科省はしている。
さらに言えば、ソサエティ5.0なるものがやって来たときの教員の役割についてのとらえ方もあやふやである。
学校の授業が教えられる側、教える側、それを媒介する教材でなされるのであれば、EdTech がどのようにそれぞに作用するのかについて語るべきなのに、まったく深く考えていないようだ。
リカレント教育については、まぁ書くのをやめたらと言いたくなるレベルで現状認識すら怪しい。

学校の情報インフラが整わない限り、EdTech もCBT も導入されない。
その整備の一端を担う、文科省はこれまで何をしてきたのか。
そんなことを棚上げしてよくこんなことを書けるものだ。

いま展開している大学入試改革において、CBT を端から除外していたのに、何を、いまさら言うか。
民間英語4技能の混乱は運営面の不安が根底にあり、問題解決はCBT にあるはずだ。情報インフラが整っていればもう少しスムーズだったろうに。
そんなことを忘れて、調子に乗るな。

これが日本の教育を司る役所の中枢のみなさんが作った報告書だというのであるから、呆れてしまう。

この半年近くの、経産省の教育産業室のみなさんやそれを支える人たち、研究会の委員、専門委員として関わった方々との議論は、現実を見極めて未来を語るものだった。それぞれが見出した課題をいかに解決できるだろうかという場でもあった。

今月の中頃には、経産省の第一次提言が公開されるだろう。
ここには、ゲストスピーカーとして発言をした、僕の意見も少なからず反映されている。
だからというわけではなく、今回の文科省の報告書と読み比べてもらいたい。
ちょっと見ている次元が違うことを確認できるだろう。

これはかなり危ない話である。
このまま文科省に教育行政を任せておいて良いものだろうか、文科省が存在する価値があるだろうかとすら、考えてしまう。
ちょっと悲しい。
明らかに勉強不足だよ、文科省。

頑張ってくれよ、文科省。


Society 5.0 に向けた人材育成 ~ 社会が変わる、学びが変わる ~

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