薩摩川内市。（さつませんだいし）
僕が住んでいた時はまだ
川内市という名前だった。

可愛小（えのと、読みます）
川内北中、川内高校
と、18歳までを僕はこの川内で過ごした。

川内？ああ、原発のあるとこでしょ！
川内？ああ、大綱引きのとこでしょ。
川内？ああ、し(ち)んこだんご美味しいよね。

話は少し遡ってあれは確か広島にいた日だったから2月の13日。広島FMの出番を控えた僕の携帯に電話が入った。古島省吾さん（鹿児島のバンドマンの先輩で今はカレー屋※オニウマ）からだ。

「泰尊がごうくんの連絡先教えて欲しいらしいんだけど、教えていいかな？」

泰尊くんといえば鹿児島のラッパーだ。
僕はまだゆっくり喋ったことはないが
お互い知ってて挨拶くらいはしたことある
ていどの仲。

そんな泰尊くんが僕と連絡を
取りたがっているという。

「勿論いいですよ！」

広島FMの出演を終えてライブをするバー外国に着いた頃、また携帯が鳴る。
今度の相手は知らない番号で
なるほど泰尊くんからだな、とすぐわかった。
丁寧に話をしてくれる泰尊くん。

川内の西方に面白い本屋が出来てそこで自分のイベントをするから出て欲しい、と。ごうくんのことは前にライブを見ていいなと思ってて、しかも川内出身。このタイミングしかないと思った！と。剛くんが普段一緒やらないような人達と一緒になるから面白いと思う、と。

僕も泰尊くんのことは気になる存在で、去年5月、桜島でのウォークインフェスかな？それでライブを見た。

僕もピンときて、出ます。と返事をした。
川内の、それも西方かあ、どんな夜になるのかと旅をしながら思いを馳せてた。

そういうことで
今日が”その約束の日”

鹿児島市から鹿児島本線川内行きの電車に乗り
川内駅から肥薩おれんじ鉄道に乗り換える
（ひごさつまの おれんじ という曲のモチーフになったあの電車）
馴染みのある駅、西方で降りる。

西方といえば西方海水浴場。人形岩。
僕も中高生の時泳ぎに来たり、ギターもって弾きに来たりしてた。そういえばデートにも来たことがあったかもしれない。

この日はあいにく雨だった。

会場のBに到着する。ここは古民家を改装した、古本屋。そこに泰尊君が集めて来た色んな業種、色んな土地の人達がごったがいしてる。

泰尊君のイベント ”旅の途中”その11回目
旅no途中第什夜

普段あんまり接したことのない人達が多い。
なんというんだろう。とても狭い鹿児島だけど
”いわゆるバンド界隈”とはまた違った感じの。

※写真 福留 敦巳

ライブペイント、ラップ、DJ、写真家
詩の読み聞かせ、蓄音機での音楽、語り
声のない演奏、こだわりの食を出す出店の人達
映像家、キャンドルを灯す人、お客さん
弾き語りでぢゃんさんもいたけど
やっぱりこの人は凄いなと思った。この人が歌うと何かが宿る感じ。

まあ、とにもかくにもごちゃ混ぜだ。
カルチャーのごった煮。
何が出てくるかわからん闇鍋感。
いや、それは僕がただ単に
無知なだけなのかもしれないが。
知ろうとしてないだけで扉はいつも開いてる。

色んな土地を旅して来たけど
まさかこんな地元川内の西方で
こんな扉が開けたなんて。
誘ってくれてありがとう泰尊くん。

僕はこの日も、声をぎゃーとあげて
いつもみたいに歌う。これしか出来んの。

ここは
下北沢とか、外国みたいだなって思った。

だけど、それが、そんな世界が
川内の西方にも、あるんだね。
かつて、僕が住んでいた時は
がらっぱボウルやイーグルくらいしか
娯楽がなかったんじゃないかというようなこの川内。今はこんななってるのか、と衝撃を受けた。もちろんこれはごく一部の世界だろうけど。

これは、これから面白いね。
ボーダーレスになってく
こちらから手を伸ばせば体を預ければ
行き来できる時代になってた。
バンドだラップだアートだお笑いだ
くくりがカテゴリがぽいってね。

相変わらず西方はじーちゃんばーちゃんばっかりだろうけど、”B”がある。おそらく西方だけじゃなく、他の鹿児島の田舎にも、そういう人が場所があるんだろう。いいことばかりじゃないだろうし、簡単なことばかりじゃないだろうけど。受け取ってばかりじゃつまんないもんね。

鹿児島に戻って来た身としては
とても誇らしく、頼もしく
負けてられないなあって思って
僕はHow about seking Another oneを
うたったのだった。

うたは、場所や人の影響を受けていくらでも
違う姿を見せる。
人そのものがそうだからだろう。
そんな風に思うきっかけをくれた泰尊くん
こんな場で言ってなんだけど改めて有難う。
最後の最後B店主の山下冗談さん
詩の朗読染みた。

薩摩川内市。
僕が住んでいた時はまだ
川内という名前だった。

まちは変わっていく。
川内市？ああ、”B”があるところだね。

すきくる
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