確定申告についての本音

2020年、僕は沢山の芸人さんやスタッフさんの確定申告・給付金の相談を受けました。およそ150人の人に対して1人1人、電話やらLINEやら、時には直接会って個別の質問に応じてきました。

これに加えて、ライブや収録で一緒になった人にはその場で質問に受け答えしてきたから、少なくとも200人以上のお相手をしています。とんだ税金プレイボーイ。

そんな最中今朝このツイートをしたところ、

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一部、「かわいそうだ…」という反応を得てしまって、若干焦りました。すみません、僕が言いたかったのは、そういうことではないんだ…と思ってnoteを書きなぐっています。おいおい伝えようと思っていたことも含めて、僕が皆さんに言いたいことは4つです。

1.質問する人たちは全然悪くない

「無料で質問対応させられているのはかわいそうだ」と同情してくれるのはありがたい。しかし、質問をする人たちは全然悪くないと思います。

…とか言ってる僕も2年前の確定申告シーズンは、 (「敵」との接触を避けるため、楽屋にいるのはやめよう)とすら思っていたのだが、2年が経ち考え方も大人になってきた。

質問は、「知らない」からするだけなのです。例えば確定申告なんて、学校で全く習わない。調べても出てくるのはなかなか難しい説明ばかり。詳しそうな人に聞くしかないのです。

中には、(相手の時間を奪うことに何の抵抗も無いのか…)と思うほど長電話をしてきたり、「これってバレるかな…?」とか終わってる質問があったりもするけど、一部の人を覗けば、みんな国に言われたことを懸命に成し遂げようとして質問してきているだけなのです。

むしろ、「質問するのは悪いし、いっそ、やらないでおこう…」みたいな感じで蓋をしてしまう人がいる方がまずいです。だから、改めて声を大にして、「質問する人たちは全然悪くない」と言います。(僕の発信内容はチェックした上で、にしてほしいけど)


2. 今年の質問の数は桁違い

「質問する人たちは全然悪くない」という前提で、です。

2020年に持続化給付金やらがあったせいで、これまでウヤムヤにしていた人も、確定申告と向き合い始めています。その結果、例年以上のペースで質問が集まっています。まだ気づいていない人が多いけれど、2021年3月には、確定申告に加えて文化庁の補助金の「実績報告」を提出することになる人も多いので、質問がさらに増えることが分かっています。

なのでこのタイミングをもって、これ以上個別に質問に答えていくのは時間的にも不可能だなと判断しました。しかしながら、知識がなくて困っている人たちを切り捨てていくのは中々苦しいので、「誰でも分かる解説動画を作ろう」というシンプルな結論に至ったわけです。

これまでもnoteに確定申告のやり方を書いたり、YouTubeで補助金の解説をしたりしてきましたが、

・正直長文の解説は読めない…
・テロップつけてほしい…
・なんか見る気しない…

といった素直なご意見もありました。なので今回、出来る限りの準備をしています。
例えば第1回目の解説のスライドをチラ見せするとこんな感じ(ちっちゃくてごめん)。

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今までよりはだいぶキレイ…なつもりなんですがどうでしょうか。なるべく一枚ずつの情報を端的に…見やすいデザインを…と、だいぶ労力はかかりますが、数百人の質問に個別に答える時間に比べると時間を削減出来る見込みです。まだまだ改善点があるでしょう。随時教えてください。出来る部分については、なんとかやるので。チャンネル登録しておいてください。

今5本分撮影し終えた状態で、各種機材代と撮影場所代・編集代で9万円くらい使っています。あと10本くらい撮る予定だから20万くらいかかる。相当再生されない限り、撮れば撮るほど赤字になるという会計士資格をはく奪されそうな事業計画です。


3. 解決すべきは構造上の問題

生々しい話をするので、読みたくない人は閉じてください。

こうなった時やはり「お金」の問題が生じます。

人から質問を受けたとき、僕は多くの場合は無料で対応しています。
※代行の時はキチンとお金もらっています、あくまで質問・相談についてです。

例えば、僕は若手芸人がどれだけお金に困っているかすごーく知っているので、(今この人から千円徴収するくらいなら、ここは恩を売って将来恩を返してもらった方が自分は得をする)という投資みたいな考え方をしています。この判断は長い目で見たら正しいと信じています。あなたの好きな芸人さんも星野が救っているかもしれません。

そりゃ僕も時間を割いているので、お金にめちゃくちゃ余裕ある人相手なら、多少の相談料を貰うでしょう。しかしお金にめちゃくちゃ余裕があったなら、そもそも顧問税理士さんにお願いしているはず。ここがポイントです。

僕が確定申告・給付金について書いたnoteの閲覧数は2年間累計で120万PVくらいなんですが、累計サポート額は6万7000円。サポートしてくれた人数は100人ちょっとです(別途お礼をしてくれた先輩もいるけれど、あくまでnoteの売上として)。

サポートしてくれた方、本当にありがとうございます!!その一方で、閲覧約1万回に対して、サポートしてくれるのは約1人ということです。これはオラオラもっとサポートしろよ、みたいなおねだりではなくて、僕が言いたいのは、【現在の構造上、これくらいのサポート額が限界だろう】ということです。これが一番伝えたい点です。

税金についてよくわからない…と情報を欲している人は大勢います。

一方で税理士のように情報を提供する側の人の多くは、お金を払って顧問税理士契約をしてくれるくらい余裕がある人を相手に働くのが基本かなと思います(勝手なことを言ってすみません、あくまで僕個人の目線での話です)。
逆に、僕のnoteのサポートの状況を見て分かるように、顧問契約をせず自分で何とかしようとしている人を相手に情報提供をしても、目先の金銭的な利益には繋がりづらい。

その結果、すごく汚い言葉で申し訳ないですが、現状お金に余裕がない人に情報を提供してくれる人は少なくなります。例えば所属事務所から「みんなちゃんと確定申告してください!!」とだけ言われたところで、若手芸人はなかなか苦戦するでしょう。

そこをお助けするべく、僕もなるべく頑張っていますが、やはり例に漏れず儲からない…どころか上述のようにコストがかさんでいます(勿論それは僕自身の設計のせいでもあります)。

それを踏まえて、すべてをハッピーにしてくれる可能性のある解決策として、僕が今思いつくのは2パターンです。

① YouTubeがバカみたいに再生されて元が取れる
おそらく平均5万再生くらい行くと、広告収入で収支がプラマイゼロになります。
が、別にこれは自分が表現したい作品でもないし、必要としていない人が見たところで何の意味もないので、必要としている人だけが見てくれれば良いです。困っている人がいたらシェアしてあげてください。

確定申告関係ないけど力になりたいと思ってくれる人は、ぜひYouTubeでGパンパンダのコント動画見て下さい。面白いはずです。それがお互いにとって一番良いです。
https://www.youtube.com/watch?v=5ihEM_6VVrY&list=PLDlCmv-1ELtIedLKxnGtqHP3jmjZDV5Lc

② 巨大な投げ銭が投じられる
これは、僕のYouTubeやnoteを利用した人からのお礼の投げ銭ということではないです。
むしろ、数万円出すことくらいなんてどうってことないよ~くらいのスーパースターが、「若手芸人全体を救ってくれ」とか「ナイス取組みだ、はいよ」という、デカめの志で投げ銭をしてくれるケース。もしそういう人が現れたときにはnoteやYouTubeで共有します。その時は、その人のお陰で僕は動画が作れて、その人のお陰でみなさんは動画が見られるので、みんなでお礼言いましょう。

失礼を承知で書くけれど、くれぐれも、くれぐれも、例えば普段ライブに来てくれているお客さんとか無理をしないで欲しいです。普段のお客さんはライブで応援してくれれば十分。勿論、100円とか500円とかの投げ銭もとっても力になりますが、負担のかかる投げ銭をしたところえ誰もハッピーになりません。それは僕の目指すところではありません。

星野が最終的に確定申告を黒字で終えるのか赤字で終えるのか、一個のエンターテインメントだと思って見届けてください。


4. 「公認会計士芸人」への誤解

せっかくなので、誤解されがちなことをちゃんとしておきたいです。公認会計士として働いていた人間がお笑いをやろうと思い立ったわけではなくて、お笑い芸人になろうと思っていた人間が、偶然公認会計士の資格を得たという状況です。

僕は小学生の頃から、将来は芸人になると心に決めていました。でも家族にとても心配されました。お笑いの世界はやはり厳しいし、生きていける保証がない。それで家族と話し合い、安心してもらうために、僕は食い扶持になる資格として、たまたま公認会計士を選び、奇跡的に資格を得ることが出来たという状況です。

公認会計士としてバリバリ働いて合間でお笑いやっていると思われがちだけれど、どちらかというとバリバリライブに出る日々の合間で確定申告とかをしている感じです。他の若手芸人のバイトとさして状況は変わりません。ボケで色々言うこともありますが、本音はとにかくお笑いに時間を割きたいです。

あと税理士の資格を持っていますが、これは、公認会計士は税理士の資格登録ができるという制度に基づくもので、税理士試験は受けていないです。どういうことかというと、実は税金の知識はまだまだ僕も勉強中だということです。

周りの人からたくさんの質問が来るので、戦いの中で強くなってきたという感じで、全然パーフェクトじゃないです。解説動画を作るにあたっても、正直自分も勉強しながらスライドや原稿を作っています。世の中の素晴らしい税理士さんたちの知識レベルには到底届いていないのですが、自分の出来る限りは尽くしますね。

でね、ここまでやったうえで、お笑いのパフォーマンスが落ちるのがいっっちばんダサいんですよ。絶対嫌なんですよそれが。わかりやすく知識を伝えるために芸人になったわけじゃないので。

だから今、(体調に気を付けつつも)確定申告とかの準備を増やせば増やすほど、そんなしょーもないことに時間取られてたまるかという思いで、それ以上にお笑いにエネルギーを割いています。意地です。

ワタナベお笑いNo.1決定戦の決勝も見ておいて下さい。R-1グランプリも頑張ります。ネタで、トークで躍進出来ますように。どうぞ、応援よろしくお願いします!!

投げ銭も事業所得に計上する所存です