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R-1グランプリ2021感想~俺だ!~

R-1グランプリ2021、幸運なことに準決勝まで進むことができました。応援してくれた方々ありがとうございました。芸歴10年以下の個人事業主ベスト30に選ばれたわけですから、素直に誇らしかったです。

キングオブコントではまだ味わうことが出来ていない、密着のカメラに追われたり、決勝のVTR用コメントを撮ったり、決勝進出者発表の場面で祈ったりという初めての体験を沢山して、「々」があると無いとでは全く世界が違うんだなというのも肌で感じました。

さらにR-1事前特番の収録にも呼んで頂き、陣内さん始めMC・パネラーの方々とスタッフさんのお陰で、とても美味しくトークをさせてもらうことができました。

この時点でだいぶ良い思いをさせてもらっていたので、決勝当日の復活ステージは、全く気負うことなく臨めました。

勝ち上がれたらベストですが、21人中の1人しか復活できないし、大阪会場だからアウェーかもしれないし、そもそも周りには猛者がいっぱいなので、どうせならお客さんの印象に残ることをしようという思いから、思い切って新しいネタを準備しました。

当日の配信上では、お客さんの笑い声がそこまで拾われていなかったみたいですが、復活ステージの会場は終始温かい空気感で、僕もここまでの予選で1番気持ち良くネタをやり切ることができました。

出番終わり、後輩の渡部おにぎり(3分ネタ)が近づいてきて、「星野さん、めっちゃウケてましたね…」と囁いてくれました。渡部はよく出来た可愛い後輩なので、お世辞を適当にあしらいましたが、「マジですマジです…」と言ってくれました。抜け目ないなあと思いました。

決勝の生放送までの合間、東京から来た面々で、少しだけ大阪城散策をしていた時、(たしかYes!アキトさんだったと思うのですが)

「星野ちょっと、マジで良いんじゃない?」
とポツリと呟いてくれました。

そうかと思ったら、
「うん星野くん良かったなあ」「あれは審査員も好きだと思う」「勝ち上がりは○○か、○○か、星野のうちの誰かかな」「面白かったですね」と、皆口々に褒め称えてくれるではありませんか。嬉しい…この上なく嬉しい…。

僕が今回R-1に出ようと思ったのは、「もっと面白いと思われたいから」という単純明快な理由でした。
僕たちは、「星野は公認会計士と税理士の資格を持ち、一平は高IQ集団JAPAN MENSAの会員のダブルインテリコンビ」という紹介を受けることが多いのですが、だいぶつまんなそうな肩書きじゃないですか。すごそう、ではあっても面白そう、では無いし、人によってはムカつくでしょう。
そんな勝手に抱えたコンプレックスから、1人1人のお客さん、スタッフさん、周りの芸人さんたちに、給付金の情報獲得のためではなく、おもしろで振り向いてもらうんだという思いでピンネタをしておりました。だからあの5秒くらいの出来事が、本当にうれしかったのです。

ただ、この日の自分のネタは、投票してもらえるタイプのものではないと分かっていました。勝ち上がるわけじゃ無いから一旦落ち着こう。そう思っていたところに、配信で見てくれていたアントワネットの生さんからLINEが来ました。

「ウケなら上位3人に入ってる。あるぞ星野。」…あるのか!?

急にドキドキし始めました。違う違う、これは大阪城への興奮だ、城の濠がすごい。城の濠がすごいからドキドキしているんだ。そう言い聞かせながら記念撮影をして、会場に戻りました。

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決勝の生放送直前、トイレでばったり会った金指さんが、
「今日のネタ、本当に見事でしたね」と声をかけてくれました。

あんなキレ味鋭いネタをする金指さんが、殆ど喋ったことのない後輩に、こんな優しい言葉をかけてくれているなんて…。なんだ今日は。夢なのか?じゃないとしたら…あるのか!?

あっという間に決勝の生放送が始まるとともに、復活ステージの出演者全員が、復活ステージの壇上に整列して勝ち上がり発表を待ちました。

復活ステージは、5位から順番に、1位までの5人が発表されるとのアナウンスがありました。正直、5人には入っているのかなという自覚はありました。

この決勝の生放送で、自分の名前のテロップが流れるだけで、もう十分です。本当に嬉しいことですから。そう思いながらも、それ以上に感じたことのない重力を感じます。

復活ステージの中継が始まり、会場にあったモニターに、テンポよく順位のテロップが出始めました。

「5位…西村ヒロチョ!」※以下 敬称略
(うお…5位ではない…のか…)

「4位…Yes!アキト!」
(これなんだか…呼ばれない度にドキドキが高まってるぞ。え、こっから上位3人…え?)

「3位…シモタ!」
(あと2人!?待って、あと2人って…これ!?まさか…!?)

「2位…真輝志!」
(え~~~~~!俺だぁ~~!!!!!色んな人が言ってくれてたけど!ほんとに!?うおーこうなったらマジでトップバッターだろうと2本目まで行きたい!!じゃなきゃ意味ない!いや、2本目行きたいじゃなくて、2本目行く、いや違う、優勝する!!!その気持ちじゃないと一気に決勝の空気に飲まれるぞ!!優勝するんだ!!!)

「そして、復活ステージ第1位は……マツモトクラブ!!」
(頑張れ~!!!!!!!マツクラさん、いけ~!!!!!!)

ふう。いやーマツクラさん流石でしたね!!

これが僕の真実です。2位が出た瞬間、公認会計士兼税理士らしく、常人離れの皮算用をしましたが、結果全然5位にも入っていませんでした。どんだけ思い上がってたんだ。
あの瞬間の胸中は恥ずかしすぎて、もう死ぬまで誰にもバレないようにしようかとも思ったのですが、それは今大会のポリシーに反する気がして一旦バラしました。

でも、バカみたいに思い上がったおかげで得たものもあって、2位まで自分の名前が呼ばれず、「俺だ!」と悟ったあの数秒間だけ、「今から決勝に出て、そして優勝するんだ」と思うことができました。

常に優勝する気で頑張れよという意見もあると思うんですけど、スローガンみたいに「R-1優勝します」と言うのと、本当に心の底から「R-1優勝します」という意気込みで臨むのは全然違って、本気で「優勝します」と思って挑める人は限られていると思います。

僕は今回R-1にエントリーしたとき、すごーーーく自分のポテンシャルに期待したとして、「もし決勝に行けたら万々歳」と思っていました。普段ピンネタやってない中、決勝行けたらめちゃくちゃすごいじゃないですか。

でもいざ自分が復活するとなった時(※実際は1ミリも復活してないんですけど)、「決勝出るだけじゃダメだ…」と、はっきりと思いました(※まず決勝出ないといけないんですけど)。
その瞬間、優勝することと向き合って、一気に足がガクガクっとなって、普段の何倍も重力を感じることができたのが、今回のR-1での一番の収穫でした。

そしてまた今、これはこれでまた勝手が全然違う大会に挑んでいます。
『お笑い有楽城』という、『オールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティ権をかけた予選です。3月14日18時までの期間限定で、15組の芸人の3分間のラジオが配信されていまして、再生数・高評価数の上位8組が本選に進み、本戦で1位になった組が単発で『オールナイトニッポン0(ZERO)』をやれるというものです。

ラジオに関しては、「優勝するんだ!!!」というような全力の意気込みは危ない気しかしないのですが、それも含めてとにかく本戦出て、「俺達だ…」と思い上がってみないと、結局のところ分かりません。

まだ聴いてない方はぜひ、リンクから3分間お聴き下さい。面白ければ高評価もお願いします。
https://www.youtube.com/watch?v=M9of5s4fVmo

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投げ銭も事業所得に計上する所存です