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ボルドリッジが常に最先端であり続けるわけ

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。
 ボルドリッジは、2年ごとに改訂され、時代にあったものに進化しています。最新の2021-2022版では、特に重要なテーマとして、次のことをフレームワークに織り込んでいることを見ました。

・イノベーション
・レジリエンス(回復力)
・デジタル経済と第4次産業革命
・サイバーセキュリティ
・社会的責任とグローバルな持続可能性
・多様性、公平性、包括性

 ボルドリッジは「審査基準」であり、それをもとに自己診断・審査を行います。それだから、基準がころころ変わるようでは困ります。しかし一方で、古びた基準のままでは、いまの時代の経営に有効に活用することはできません。

 ボルドリッジは、2年ごとに改訂されていますが、その変化は漸進的です。

 ここ10年の変化を振り返って見ます。日本語で読める(現時点では最後の)「2011-2012年版パフォーマンスエクセレンスに向けた審査基準【対訳版】」(日本経営品質賞委員会刊)をベースにそれ以降の変更のポイント(その時々に改訂の中心となった問題点)を見ていきます。

2011-2012版からの変更点(2013-2014版)
この(改訂の)戦略的焦点は、組織の次世代の実行可能性に取り組んでいるすべてのリーダーの心にあるべき次の3つの重要な考慮事項に関連しています。
(1)競争力のある作業システムの設計と実装、
(2)イノベーションの育成と管理、および、
(3)ソーシャルメディアによって提示される進化する機会と課題の理解。
(Baldrige: Changes from the 2011-2012 Criteria より。翻訳筆者) 
2013-2014版からの変更点(2015-2016版)
組織に対する競争上および戦略上の重圧の進化する性質を研究し、2015-2016年の審査基準の改訂のために、
(1)チェンジマネジメント、
(2)ビッグデータ、および
(3)気候変動
の3つの主要テーマが進化しました。
(Baldrige: Changes from the 2013–2014 Criteria より。翻訳筆者) 
2015-2016版からの変更点(2017-2018版)
2017〜2018年のBaldrigeエクセレンスフレームワークの変更は、組織の長期的な成功にとって重要性が高まっている2つの分野の強化と、ユーザーの観点から審査基準をより論理的にすることに重点を置いています。強化された2つの領域は、
・サイバーセキュリティと
・エンタープライズリスク管理(ERM)
です。
(Baldrige: Changes from the 2015–2016 Baldrige Excellence Framework より。翻訳筆者) 
2017-2018版からの変更点(2019-2020版)
2019-2020年版Baldrigeエクセレンスフレームワークに反映された変更は、
・ビジネスエコシステム、
・組織文化、
・供給網(サプライネットワーク)、および
・サイバーセキュリティ
に対する組織の意識を高め、ユーザーの観点から審査基準にアクセスしやすくすることに重点を置いています。
(Baldrige: Changes from the 2017–2018 Baldrige Excellence Framework より。翻訳筆者)
2019-2020版からの変更点(2021-2022版)
2021-2022のBaldrige Excellence Frameworkに反映された変更は、
・組織の回復力の必要性に対する組織の認識を高めたり強化したりすること
・多様性、公正さ、包括性のメリット
・組織の運用と管理のほぼすべての側面の継続的なデジタル化
に焦点を当てています。その他の変更により、
・組織の競争力と成功におけるイノベーションの役割が明確になり、
・社会的責任に対するフレームワークの焦点が拡大します。
(Baldrige: Changes from the 2019–2020 Baldrige Excellence Framework より。翻訳筆者)

★★

 各改訂における変更点は、最新版、 Changes from the 2019–2020 Baldrige Excellence Framework(PDF)のみ、NISTウェブサイトで読むことができます。
 筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国NISTのウェブサイトからダウンロードできます。ページ下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。





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