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「考えたこともない」という選択肢があってもよい

 ボルドリッジ(ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワーク)は、米国発の「証明された」経営フレームワークです。ボルドリッジはまた、米国マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)の「審査基準」であり、それをもとに自己診断・審査を行い、組織の改善点を見つけ、改善します。

 ボルドリッジ事始め、その3として、ボルドリッジ・ジャーニーを続けるためのヒントを紹介しました。

 そのなかの1つ、easyInsight:ボルドリッジの自己評価に向けた第一歩を踏み出すは非常にユニークなツールです。

 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークは、組織のパフォーマンスを改善するための重要な質問集です。質問に回答し、その回答を自己評価し、伸ばす強みと改善ポイントを見出します。

 その質問に回答する前に、ざっと組織の課題を見てみようというものです。
 質問に答えるのでなく、その質問に簡単に答えられるかどうかを答える。そうすることで、組織の課題を導くという、ちょっと変わった形の質問集になっています。

 ここでは、各質問を読んで、自身の組織について考えて、次の3つのどれであるかを答えます。

回答しやすい(Easy to Answer)
回答できる(Could Answer)
回答が難しい(Difficult to Answer)

 「回答しやすい」はまさに「そんなことすぐに答えられよ」ということですが、それにはひとつ条件があります。それは、「組織の誰に聞いても同じ答えが返ってくるよ」、すなわちそれが組織の中で同意されコンセンサスがとれている回答だということです。これはちょっとしたハードルかもしれません。例えば、「組織のお客様は誰ですか」という基本的な質問でさえ、部署や担当者によってバラバラということがあるのです。

 「回答できます」も、条件は同じで、コンセンサスのとれた回答が求められますが、その質問に回答するためのデータがすぐに利用できない場合にこちらを選びます。大体は分かっているけれど、確認しないとちゃんと答えられないな、というような質問がそれにあたります。例えば、「組織の主要な商品・サービスは何ですか」という質問への回答には、商品・サービスごとの売上や利益などのデータを見なければ、正しい回答が得られません。ITを活用して誰でもすぐにその状況を把握できるというような状況にないならば、この回答になります。

 そして、回答したり、組織としての合意やコンセンサスに達することが困難または不可能な場合は、「回答が難しい」を選択します。

 実際に質問には、例えば次のようなものが登場します。

1.a あなたの組織の主要な製品・サービスは何ですか?
1.b あなたの組織の成功に対するそれぞれ製品・サービスの相対的な重要性は何ですか?
1.c 製品・サービスを提供するためにどのような方法を用いていますか?
2.a あなたの組織のミッション、ビジョン、価値観は何ですか?
2.b 価値観以外に、あなたの組織の文化の特徴は何ですか?
2.c あなたの組織のコアコンピタンスは何ですか、それはミッションとどんな関係にありますか?
(Baldrige easyInsight for Business/Nonprofit より引用。翻訳筆者),

 こうした質問は全部で32個あります。

 実はここにある質問は、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの質問集に含まれる「組織の情報(Organizational Profile)」というパートにある質問です。
 ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークでは、実際にこれらの質問に回答していくわけですが、ここではその前段、それに簡単に回答できるかということを確認しています。

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 筆者らが翻訳した、ボルドリッジ・エクセレンス・フレームワークの要約版、「ボルドリッジ・エクセレンス・ビルダー【日本語版】」は、米国政府機関NISTのウェブサイトからダウンロードできます。
 下方の Non-English Versions / Japanese を参照ください。英語版とページ、形式を合わせてあり、対訳版としてもご欄いただけます。



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