見出し画像

【気ままなリリック解説】〜元韻シスト BASI(バシ) NICE編〜

はじめに

新たな試みとして、自身の好きなアーティストの曲解説をしてみようと思います。
と言うことで、記念すべき第一弾は元韻シストのBASIさんのLOVEBUMからNICEをチョイスしたいと思います。

巷ではMCバトルなどが流行っていますが、BASIさんのスタイルは超絶技巧なテクニック!!!とかではなく、自然体のゆるいフローが特徴です。
また、リリックも固い韻を踏んでいく訳ではなく気張り過ぎないワードセンスと、彼が青春を過ごしたであろう90年代の大阪のカルチャーなどを背景にした言葉選びが多く見られます。
また、実はリリックの中には韻シストの過去作からサンプリングしたであろうものも多数あり、その辺りも含めて解説できたらと思っています。

リリック解説

それでは、NICEのリリックを見ていきたいと思います。

この世で1番大嫌いな月曜日
in the place to be
まず背伸び
呼吸を整えて深呼吸
一服一本いっとく
神社によって一礼
思うことは本日もいい日で
ありますように

まず、冒頭の箇所です。
この曲は1weekのストーリーテリングになっています。
BASIさんは韻シスト自体がガッツリとは売れない時代が長かったためか、ストーリーテリングの際には平日をモヤモヤと過ごし、仕事ではあまり報われない人に主眼を置くことが多いです。
また、"一本いっとく"は90年代後半にとても流行った、田辺製薬の「アスパラドリンク」の"一本いっとく?"のキャッチフレーズからの引用だと思われます。

BASIさんの年齢(1978年生まれ)的に90年代のカルチャーからの引用が多いですが、「アスパラドリンク」のCMなんて今の若い人は知らないでしょうね、、当時とても流行って小学校とかではみんな真似してました。

各自持ち場ヘレッツゴー
火曜水曜木曜hey yo
通う職場学校 バッコン
飛んで今花金
ぶっ飛んでますかなり
in the club
あなたとlove
ここはあえて終電逃す
土曜日日曜日は自分たちへのご褒美
もう何も言わせない
誰にも邪魔できない
惚れた太陽
待ちわびた休日
笑みもこぼれる
愛も溢れる

続いての箇所です。
"各自持ち場ヘレッツゴー"ですが、これは韻シストの過去作であるGlobalスピーカーの中の一曲であるラジオ基地からの引用だと思われます。

歌詞の中に"手分けして持ち場へゴー"と言うのがあります。
このバースはBASIさんのものではなく2010年に韻シストを脱退したFunkymicさんによるものです。
韻シストは結構メンバーの入れ替えが激しいですが、脱退して別グループに所属したメンバーと残ったメンバーがコラボすることも多く、仲の良さが伺えます。
また、"笑みもこぼれる"の「笑み」のワードチョイスは自身のソロ楽曲である「笑みfeat.EVISBEATS」を多少なりとも意識してのものな気がします。
この曲は、HIDADDY(ヒダディー)さんで有名な韻踏合組合奈良支部であるNOTABLE MCの元メンバーであるEVISBEATSさんがBeatを担当しています。
RAP Uに収録されている「あなたには」と共にBASIさんとEVISBEATSさんのタッグは初期のBASIさんのソロ曲では特に人気が高かったです。

それはso niceな休日
問いかけてやるさ
いつの日もhey you
SoftBank docomo au
俺のラップこそキャリアフリー
likeたどり着きます阿弥陀くじ
なんて書いてるbasiの月火
これを仕事と言ってもいいですか?
すいすいすいの水曜日から
もくもくもくの木曜日
超えて金土
試すLive
慣れるためには重ねる回数
熱心な精神 誠心誠意
全身で前進する成人
がステージの上で歌ってる
この瞬間にただ浸ってる
スピーカーを通り
誰かの週末を揺らす
もう何も言わせない
誰にも邪魔できない

"問いかけてやるさいつの日もhey you"はどう考えても韻シストの過去作品であるFUNKY&LOVEのHey youからの引用ですね。

Hey youの中に、

肝心なとこスルーばっかで
年齢ばっか嵩張って重て一な
でもな、この声は強く太っとく
やがて大木と成って
お前をそっと包み込んで
問いかけてやるさ
いつの日も Hey you

と言うバースが出てきます。
ちなみにHey youは韻シストの中でもかなり人気の高い1曲で一時期はライブのラストで必ずと言っていいほど選ばれていた曲です。
Funkymicさんが参加していたこともあり、彼の脱退後は演奏されることは無くなりましたが、仲間のことを歌ったかなりエモい曲なので聞いたことない方は是非おすすめです。

hey yo
覚悟を決めていざ出勤
首を長くして待つパーリー
下校途中見とれた夕日
っていうてる間にパーリー
もう何も言わせない
誰にも邪魔できない
惚れた太陽
待ちわびた休日
笑みもこぼれる
愛も溢れる
それはso niceな休日
もう何も言わせない
誰にも邪魔できない
惚れた太陽
待ちわびた休日
笑みもこぼれる
愛も溢れる
それはso niceな休日

さて最後の箇所です。
愛と言うワードが多用されているのは本作「LOVEBUM」のテーマが愛なのでそれを意識してのことだと思います。
"パーリー"と言うワードも使われていますが、BASIさんがこの言葉を使うときはスタイリッシュな"パーティ・ピープル"とは少しだけ距離を置いたもう少しアットホームなイメージがあります。どっちかと言うと"たこ焼きパーティ"のパーティに近いイメージです。伝わるかな、、
また、BASIさんは90年代に大流行した「ダウンタウンのごっつええ感じ」に影響を受けているらしく、その中でも「MR.BATER」がかなりお気に入りのようです。

これは、松本人志さん演じる「パーティ行かなあかんねん」が口癖の外国人がベタなノリツッっこみばかりするコントです。ちなみにノリツッっこみと言うお笑いスタイルはこのコントが発祥だそうです。恐るべきダウンタウンですね。
BASIさんのソロアルバム"RAP AMAZING"の中にはまさにBATERと言う曲があり、その中に「パーティ行かなあかんねん」と言うリリックが登場します。ここはかなり分かり易くインスパイアされてますね。

また、韻シストの"CLASSIX"のPARTY SIXと言う曲の中に別メンバーサッコンの「ミスター•ベーターより楽しみ」と言うバースが出てきます。
韻シストメンバーみんな「ダウンタウンのごっつええ感じ」大好きみたいですね。

最後に

最後まで読んで下さりありがとうございます。これで今回の記事はおしまいです。
BASIさんのリリックは他の曲でも90年代カルチャーや過去作、関連作を知ってないと気付かないような仕掛けがあるものが多いです。評判が良ければ是非他の曲も解説していきたいと思います。
スキやコメントを頂けると今後の励みになります!

記事を読んでいただき誠にありがとうございます! サポートして頂けるとたいへん大変、嬉しいです!!!