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【速報】ARKit3.5についてまとめてみた

こんにちは、Graffityの森本です。普段私たちが「ARバトル」と呼んでいるARシューティングゲームを開発しています。今回は、AppleからリリースされたARKit3.5について書きたいと思います。

LiDARセンサー搭載された新型iPadのみ対応

新型iPad ProにLiDARセンサーが搭載されました。LiDARセンサーの役割を担っているのはデュアルカメラの横に搭載されたToF(Time of Flight)センサーです。ToFセンサーは、赤外線LEDなどの光源から発した光が対象物で反射し、ToFセンサーに届くまでの光の伝達の時間差を検出することで対象物までの距離を測定します。

従来のARKitはVisual(画像)ベースでのSLAMを利用していましたが、新型iPad ProではLiDAR(光)ベースのSLAMで位置を推定することができるようになったということになります。

LiDARを搭載したことにより空間認識の幅が広がり、新しいことが可能になりました。ARKit3.5の特徴を3つほどご紹介したいと思います。

1. Scene Geometry 機能追加

ARKit3.5からScene Geometry機能が利用できるようになりました。Scene Geometryではリアルタイムに空間を認識すると同時に、床・壁・天井・窓・ドア・床を見分けることができるようになります。この機能によりオクルージョンや、現実世界とARオブジェクトの相互作用を実現することができます。

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ARCloudを利用する上で重要な機能であるので、ARCloudを利用した2B向けのARソリューション事業がより加速され、ARクリエイターにとっては必須のツールになると考えています。

2. Instant AR 機能追加

従来ARKitを利用する際には、以下の画像のように周りを見渡してイニシャライズ(初期位置推定)を実施しなければなりませんでした。

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しかし、LiDARスキャナーが搭載されることによって、周りを見渡すことなく距離の把握・平面検出ができるので、一瞬でARオブジェクトを置くことが可能になりました。さらにコードを変更することなく、ARKitを利用している全てのアプリですぐに利用することが可能なのも驚きなポイントです。

Instant ARはAR企業にとってはかなり良いニュースだと思います。毎回ARKitを起動するたびに周りを見渡すことをユーザーに強いるのは、ユーザーにとっては直感的ではなく負担になってしまうケースが多いなと感じていました。値段やiPadという観点で言うと2Cというよりは2Bのユースケースになると思いますが、良い機能追加だなと感じています。

3. Motion Capture と People Occlusion のアップデート

LiDARスキャナー搭載によって、より正確に距離を推定することができるようになりました。これによりピープルオクルージョンやモーションキャプチャ(姿勢認識)の精度が大幅に向上しました。

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おそらくLiDARによる距離の計測なので、人の早い動きにも対応できるようになると思います。ダンスにエフェクトをつけたり、スポーツの練習を撮影し修正箇所を教えてくれたりなど、新しいARの活用法が出てくるなと感じています。こちらもコードを変更することなく、ARKitを利用している全てのアプリですぐに利用することが可能です。

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AR技術を常にキャッチアップしている会社、Graffityについて。

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