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#20. 無料のポストカード(1)

無料のポストカードの中にも、商品のポストカードに勝るとも劣らないものがある。

このカードをいつどこで入手したかの記憶はない。
裏面に書いてある「西さがみ連邦共和国観光交流推進協議会」という、ユーモアがあるのかないのかよくわからない名称を検索してみたところ、これは「小田原市・箱根市・真鶴町・湯河原町」の観光促進をやっている団体であるらしい。

印刷物名:貴船まつり(真鶴)のポストカード
サイズ:104 × 148 mm
採取場所:東京(日本)
採取年:不明
詳細情報:西さがみ連邦共和国観光交流推進協議会

カラーバランスをイエローに寄せたこの色調が好きだ。
空の色が黄色みを帯びている感じは、なんとも切なくノスタルジックな気分にさせてくれる。
時を経たおかげで黄色味が増し、さらによい味わいが出てきた。

もう一点は、十数年前に新宿のLUMINE(ルミネ)で入手したものだ。
チラシなどが置かれているラックの中で、ひときわ目を引いていた。

印刷物名:LUMINEのポストカード
サイズ:100 × 148 mm
採取場所:東京(日本)
採取年:不明(2010年?)
詳細情報:LUMINE

カードの裏面に「撮影の楽しい裏話を公開中!」と書かれているが、その特設サイトは現在はなくなっていた

今調べたところによると、写真が蜷川実花さん、コピーが尾形真理子さんであるらしい。
私などが感想を述べるのはおこがましいようなトップクリエイターたちであるから、この高い完成度にも納得がいく。

デザイナーの名前は見つけられなかったが、どなたの作品にせよ、このタイポグラフィーは素晴らしくて、見惚れてしまうウエオカマユミさんという方かもしれない。ご存じの方がいたらコメント欄で教えてほしい)。

日本語の文字に欧文のスクリプト書体のような装飾を付ける手法は今でこそよく見かけるが、私は2009年か2010年ごろのLUMINEの広告で初めてそれを見たように記憶している。

LUMINEのシーズンカレンダー
画像引用元:Jaianto

しかもセンス完成度において、後に出てきた他の作品はこれらを超えられていないと思う。

タダで配布されていようと、名前が記されてなかろうと、「これいいね!」と人を魅了するものを作れるからこそ、彼らは一流と呼ばれるのだろう。

関連記事:#21. 無料のポストカード(2)―バスキアの個展をタダで見た話


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