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僕が家業を「継がなくてもいい」って言う理由

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実は僕にも家業がある。母方の祖母は福岡の久留米で靴を製造販売、祖父は日本家屋のインテリアを工事する表装業をしていた。家業ではないけれど、父方の祖母は保険や化粧品の販売員で、祖父はタクシードライバーをしていた。思い出してみると祖父母は皆スモールビジネスを営んでいた。

僕が生まれた頃には福岡の靴屋さんは廃業していて、かつて店舗があった場所にはビルが建っていて、祖父母や曽祖母が住んでいた。商店街を歩くと「ここにお前んとこの靴やがあったんだよ」と近所の人たちに教えてもらったものだ。
毎年、実家の襖や障子をピシッと張り替える祖父の姿は今でもはっきりと覚えているし、祖父が腰から下げていた色々な職人道具に興味津々だった。

直接家業を継ぐことはなかったけれど、その後僕がデザインを学んでそれを生かして働いていることを考えると、靴を作ったりインテリアの仕事をしていた祖父母の影響があるのは間違いない。新規事業にも臆せずチャレンジできているのも、自分でスモールビジネスを営んでいた祖父母達の影響なのかもしれない。

「継がないほうがいい」ではなくて「継がなくてもいい」

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僕らが家業を「継がなくてもいい」と宣言し始めたのはここ1年くらいのことだ。国や銀行、商工会議所がサポートしているのは今のところ「継ぐ一択」。そのほうがビジネスや地域が潤うからだ。でも、ともすると思考停止のようにも見えるこの一択に悩み、夢を諦めざるをえなくなったり、自分のやりたいことが何かを考える時選択肢が少なくなった人が多いことを考えると大賛成とは言えない。僕らが出した答えは、「継がなくてもいい」だった。

この考えに至らせてくれた背景には、継いでいないけれど自分なりのアイディアやスキルを生かして家業と関わったり、家業にインスパイアされたプロジェクトを行なっている「継がなかった人たち」の活躍がある。

例えば父親が折り紙作家をしていて、自身は折り紙のレシピサイトを「オリカタ」を運営している新宮さん。作家という家業は継がなかったけれど、彼の中には「好きなことを続けられる尊さ」がしっかり受け継がれている。そして、父親が最も苦労していた折り紙の折り方の権利を守るサイトを運営しているのだ。

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一方で、継いだけれど自分なりに家業をアップデートしている人にも出会った。例えばキュウリ農家を家業に持つ若松さん。彼は廃棄野菜として処理されるキュウリを見て、それをピクルスにして再利用することを思いつきクラウドファンディングまで成功させてしまった。

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こんな彼らを見て、継ぐ、継がないの二択ではなく、「継がないで家業を支える」または「継ぐけれど自分なりにアップデートする」という三つ目の選択肢を見せたいと思うようになったのだ。

選択肢が増えることは世界が広がること

選択肢が増えることは、世界が広がることだ。自分の可能性が広がることだ。家業があることをしがらみだと思わず、その人がのぞむライフスタイルややりたいことをキープしながら家業を存分に使っていけばいい。

新しい靴をおろすたびに僕が靴屋さんだったことを思い出したり、デザインをするたびにインテリアの職人だった祖父に思いをはせるように、自分と家族とは切り離せないように自分と家業とも切り離すことはできないのだ。

それならば、家業をマイナスなものだと思わずにどんどん使っていってほしい。就職活動の場でも、自己紹介をする時でも。そうやって家業をアイデンティティにしてポジティブに受け取ってもらうために僕は言いたいのだ。「継がなくてもいい」って。

text: グラフトプレナーコミュニティーマネージャー・Yasu


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