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PS

はじめての駅 新しい恋だから
街は夕暮れを浴びて ひかる 
出会ったばっかりなのに抱きしめたその訳を
朝、洗面所鏡越しに目があって気づいた
       ♩

私は、好きな人の好きなものをずっと忘れられないでいる。

例えば好きな人がチェンソーマンを好きだったらチェンソーマンが目に入った瞬間に彼のことを思い出して、苦しくなるし、kickbackが店頭で流れ出したらどうしてもフラッシュバックして苦しくなる。

だから純粋に私も作品を楽しみたいのに、彼のことを何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も思い出す。
だから宇多田ヒカルは嫌い。

あとすきなひとの、最寄駅。
たまに電車で通った時、街をずっと見る。ここのロータリーを毎朝歩くんだ、とかこの町で育ってきたんだ、とか考えちゃって辛い。ああー私も同じ道を踏み締める権利が欲しかった。近所の公園でバドミントンしたり、鬼ごっこして、くだらない話をして遅くなってさ、「やばい、日くれちゃうよー」って言ってチャリで急いで帰りたかった。
けど、きみとわたしは違う街で育ったし、これからもきみの最寄りに降りることはないだろう。

だから、あの街はきみのまち。


ps.好きな人とデートをする時は季節に合ったことをしたい。例えばお花見。
地元の公園で桜を見て他愛のない話をしたい。
私は永遠なんてものはないと思うけど、過去だけは永遠だと思う。だから、自分が育ってきた街と記憶の永遠の中にきみが、新しい存在として散りゆく桜と共にアップデートされていって欲しい。

そしていつかおんなじ永遠の中にいれたらなあと思う

よー


「PS」大森靖子

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