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リアル神ゲー『大神』をプレイしてみた感想

この記事は、2020年にはてなブログに投稿した記事を加筆修正したものです。

 神ゲーと噂の『大神』のSwitch版をやりました。何故神ゲーと言われているか、プレイして検証してみようと意気込んでいましたが、数分で納得しました。だって主人公が天照大神なんだから(笑)

 つーわけで、せっかくラスボスを倒して全クリしたんだから今作の感想でも記事にしてやろーかなと思います。本シナリオにもガンガン踏み込んでいくのでネタバレ無理な方はご注意を。


美麗なグラフィック

 ゲームを起動して、ものの数分でこのゲームやべえええ!ってなりました。グラフィックが大変キレイ。Switch版というのもあるかもしれませんが、ビジュアル面には相当力が入っております。走り回ってるだけでも和の世界を堪能することができます。

 プレステ2から始まり、Wii、Xbox、Windowsなど様々な媒体でプレイできる今作ですが、一番高画質でプレイできるのはSwitch版かPS4でしょう。これだけ多くの機種に移植されているのは、それだけ『大神』が愛されているということですね。

世界観と完璧に調和するBGM

 尺八?琴?篠笛?三味線?細かいものは分かりませんが、和楽器をふんだんに使用したBGMはプレイヤーの心を震わせます。特に『太陽は昇る』をYouTubeで聴いたことや見たことある人は多いんじゃないでしょうか。あれはラスボス戦のBGMなので、ゲームをやってシナリオにどっぷり浸かった上で聴くと、もっと好きになれますよ!

 サウンドトラック開放にはシナリオを1回クリアしないといけないので、いないとは思うけどBGMだけを聴きたいって人はご注意くだせえ。

神話に基づいたシナリオ、キャラクター

イザナギ
ヤマタノオロチ

 序盤は知名度が高い日本神話──クシナダを守るためにヤマタノオロチをスサノオがぶっ倒すやつ──にほぼ則ったシナリオで、始めたてでゲームの世界に入り込めてないプレイヤーにも分かりやすい内容になっています。サクヤ、ウシワカ、ヒミコと有名な人物も登場し、「和ゲーやってるぜ」という気分に浸れます。

 一方、アイヌ神話もゲーム終盤で登場しますが、これはなじみが薄い人が大半でしょう。「オキクルミ」や「クトネシリカ」にも元ネタがちゃんとあって、調べた当時は感動したなあ。こういうマイナーどころも取り入れたのはかなり良いですね。

戦闘の完成度が低い

親の顔より見たオロチ戦

 アドベンチャーゲームとはいえ、『ゼルダの伝説』のような手ごわい戦闘を期待している人は肩透かしを食らうことでしょう。それぐらい『大神』の戦闘はちょろい。

 基本的には「その敵に有効な筆技を使い、攻撃ボタンを連打」 これだけでラスボスにも余裕で勝ててしまいます。単調すぎる。初めて戦う敵に、どんな筆技が効くか試行錯誤を重ねるのはまあ面白いですが、一度判明すると後は単純作業です。

 主人公のアマテラスちゃん(くん?)には体力ゲージがあり、当然0になるとゲームオーバーですが、前述したように戦闘はeasyなのでよほどのゲーム下手でもない限りは力尽きることはまず無いでしょう。そうでなくとも回復アイテムは道中でわんさか手に入るので、残りライフ僅かのハラハラは味わえないと断言できます。HPが0になると自動的に回復するシステム(ゼルダでいう妖精)もあるらしく、もはや死ぬ方が難しいのでは?

 あと、モンハンでいうターゲットカメラが存在せず、近くの敵を自動的に狙ってしまうのが地味にウザい。カメラワークも微妙で、上空で構える敵は割と存在するのですが、どれも画面に収まりきっておらずいちいちスティックでカメラ位置を動かさなくてはならない。しかもすぐに地上視点に戻ってしまうのもイライラポイント。

「新しいこと」のワクワク感が薄い

 新しい街に到着して、新しい武器を調達。これはドラゴンクエストが最も卑近な例ですね。
 新しい技を覚える。御三家がたいあたり以外の技を覚えたらうれしいですね。
 新しい仲間が増える。ペルソナ3で荒垣先輩が仲間になった時は大興奮でした。

 新武器の入手や新技の習得はアドベンチャーの鉄板で、『大神』にも存在はしますが、上述した通り戦闘が温すぎる故、大してありがたくないのが実際にプレイしてみたところの感想です。道場で高い金払ってジジイから技を教わっても、戦闘はボタン連打なことに変わりはないので特に恩恵を感じることはありませんでした。そりゃあ、物語が進むにつれて敵は固くなっていくので、強い武器は欲しいですが…。

 あと、最初から最後まで旅の道連れがイッスン一匹なのも個人的には残念でした。ウシワカやオキクルミなど割とお気に入りのキャラはいるんですが、イッスン自体にそこまで愛着が湧かなかったのも原因でしょう。まあこれは個人差。

最終鬼畜妖怪答選坊

 このゲーム、全体的な難易度は低いんですが一部に極悪難易度のミニゲームがあります。”答選坊”と呼ばれる瞬間記憶系ミニゲームです。
 
攻撃した瞬間浮かび上がる点を筆でタッチするこのミニゲームは、序盤こそ浮上する点は3つかそこらでチョロいけれど、最終的には8つにまで増えます。やってみれば分かりますが、理不尽なレベルで難しいです。
 
私はSwitch版をプレイしていたので、スクリーンショットを見比べながら何とかクリアしましたが(それでも10回くらいやり直した)PS2版やWiiをプレイしていた人はクリアできたのでしょうか。TV画面にラップを貼り、光ったところにマジックで色をつける猛者もいたらしい…。

激アツなラストバトル

「『大神』の批判要素はラストバトルで全て許せる」「温い戦闘は最終戦まで楽に進めるようにしたカプコンの良心」「瞬間火力が高すぎるゲーム」と褒めちぎられているように、このゲームのラストバトルは非常に胸アツな展開でした。

 最後まで全く不明だったウシワカの秘密がついに明らかになり、普段飄々としてた彼がガチモードで戦い、力を無くしたアマテラスを庇って力尽きる。
 すべての力を失ったアマテラスが初期アクションの体当たりだけでラスボスに挑み、徐々に力を取り戻していく。窮地に立たされたアマテラスの元に宿るは、伝道師イッスンの活躍により信仰心を取り戻した人々の希望。全盛期に返り咲いたアマテラスが背負う”天”と常闇ノ皇の覆う”闇”が全力でぶつかり合う…。

 これで鳥肌つかない人間がいるのかってくらいには評価できるラストバトルです。今まで登場したサブキャラみんながアマテラスを応援するのも、ベタですが泣けるし、何より最後の敵に打ち勝つ唯一の筆技が、死して尚無くさずにいた「光明」なんですよ。最高か?

 死んだと思われていたウシワカも生きていたことだし、イッスンとの別れ以外は晴れ晴れとした結末で、精神的に優しく涙腺に厳しい仕上がりになっています。

総評

 抜群の完成度ってわけではないです。アドベンチャーなのにキモとなる戦闘がお粗末なのは致命的ですし、キャラデザも人を選びます。しかし、売りにしているであろう「和」に関しては完璧と言えるでしょう。美しいフィールドを洗練されたBGMを聴きながら駆け抜けるのは最高です。

 アート作品や雰囲気ゲーと割り切るのが無難でしょう。そして、そっち方面に関しては文句なしの出来栄えと断言できます。

クリア後のアートギャラリーの完成度がやばい

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