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【Column】最近のUKロック界隈のバンドを紹介する その2 The Sherlocks & Formation

イギリス界隈のロックバンドが死んでる?それは本当かい?
という話があるので、ここ数年でぼくが好きになったバンドをピックアップしていくということ。
今回も2組を紹介します
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The Sherlocks

ボルトン・アポン・ディアーン・・・イギリスの内の都市州の一つサウス・ヨークシャー州内、工業都市としてもシェフィールドにほど近くにある村、そこで結成されたのがThe Sherlocksだ。Kiaran Crook (リードボーカル/ギター)とBrandon Crook (ドラム)のクルック兄弟と、Josh Davidson (ギター) とAndy Davidson (ベース)のダビッドソン兄弟、4人組バンド、しかも2組の双子で結成されている。

最初の出会いは、ANDYとJOSHがBRANDONとKIARANSの祖父祖母の家の隣へと引っ越してきたことから始まるという。とある年の大晦日に、BRANDONとKIARANが家族とともにサッカーをして遊んでいた時、ジョシュが彼らと一緒に遊びに加わったことで、すぐに彼ら兄弟は仲良くなったという。彼らが具体的にバンドを結成した年はわからないが、サッカーと音楽の国イギリスならば、友情の形としてバンド(絆)を組んでいったということなのだろう。


影響をうけたバンドとして、ARCTIC MONKEYS、THE JAM、THE LIBERTINES、THE BEATLES、OASIS、KASABIAN、PIGEON DETECTIVES、THE COURTEENERS、THE STROKES、THE ENEMYを挙げている。まさにUKロックを受け継ぐにふさわしきサウンドは、このフェイバリットバンドをみればよく分かる。シェフィールドといえば、ARCTIC MONKEYSの生まれ故郷だということを思い出してほしい。

2014年に初シングル「Live for the Moment」を発売、2015年には「Escapade」「Heart Of Gold」を立て続けに発表、その年のレディング・リーズフェスティバルにも出演・・・その勢いそのままに2016年の初めからThe Libertinesのアリーナツアーのほぼ全公演でサポートアクトに同行し、彼らは一気に注目をあびることになる。

「Heart Of Gold」はBBC Radioでのチャートで1位に選ばれるほどのヒットソングになり、その後もSXSWへの出演を皮切りにライブ活動を継続し、「Last Night」「Will You Be There?」「Was It Really Worth It?」をリリースしている。

2016年12月にはalt-J、Drenge、Superfood、These New Puritansらが所属するレーベルInfectious Musicに加入し、今年から大ブレイクを果たすのでは・・・?なんていう兆しが見えてくる。今年はじめからのライブツアーもソールドアウト公演が続発、数年来に及んで培ってきたライブバンドとしての評価と実力で勝ち上がってきたムードが非常に良い。

もしもあなたがUKロックの良きリスナーで、かつ90年代や00年代のUKロックバンドに一度でも心奪われたことがあるなら、きっと彼らを気に入るはずだ。耳にすぐに馴染み、すぐに口ずさめそうなほどに親しみやすいギターフレーズ、すこしだけ低めにも優しくも響く歌声、ベースとドラムスによるダンサンブルなグルーヴ。まさに絵に描いたような理想的なUKロックのアンサンブルでありながら、ライブ活動を延々とこなしてきたからこそのソリッドさが、各シングルの随所に秘められてもいる。

彼らを見つけたのが2015年の12月頃だったが、それ以来ずっと追いかけている、早くファーストアルバムがほしいぞ!

【追記】記事をあげたあと、彼らのサイトを覗いたら、なんと今年8月18日にファーストアルバムのリリースが決定したそうだ!おそらくこのままいけば日本盤のリリースはHostess Entertaimentになりそう。8月まで待っていこう!
The Sherlocks『Live for the moment』
https://open.spotify.com/album/57OeWi7kXgVXGZ8GIG7Ere


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Formation


ウィンブルドン出身、ロンドンで活躍中の5人組バンドFormation。2014年時点では、双子の兄弟ウィル・リットソンとマット・リットソンによる2人組ユニット。その後、レコード店で働いていたジョニー・タムズ、オーケストラやジャズに精通しているカイ・アキンデ・ヒュンメル、ジョニーとスタジオをシェアしていたサシュ・ルイスの5人組として活動してはいるが、リットソン兄弟を軸としたバンドなのが伺いしれる。

彼らのファーストアルバム『Look at the Powerful People』が発売中だ。
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https://open.spotify.com/album/2CEu8OhKJy6wGcXalRgYYn
https://www.amazon.co.jp/dp/B06WP5HM3J/
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これまでにリリースされた「Pleasure」「Powerful People」「A Friend」を筆頭にした10曲は、クラブ・ミュージックのグルーヴをバンドらしい荒々しさに変換したサウンドスケープと、ウィル・リットソンによるふてぶてしいボーカル/ラップスタイルが魅力となったアルバムだ。個人的に好きなのは「On the Board」だ、ドラムン・ベースを援用したボトムサウンドの荒々しさに導かれると、ハウス・ミュージックによってもたらされるエクスタシーがそのまま降り注いでくるかのようだ。

KasabianやLCD sound Systemなどが彼らに近しいバンドにあげられるが、僕としては3rdアルバム以降のFoalsに非常に近いと思える。BPM120前後の強くしなやかなグルーヴの波は、ヒップホップの色合いが非常に強いが、タイトかつしなやかに奏でられていくさまは、まさにFoalsに近い。

と思ってかるく調べたら、なんど彼らはFoalsのヨーロッパツアーに何箇所か帯同したという。Foalsの力強いライブに彼らも感化され、影響をうけたバンドとして名前を挙げている。

彼らのバンド名「Formation」という言葉を聞くと、数年前にヒットしたBeyonceのあの曲を思い出す人も多いだろう。「さまざまなセクシャリティの問題」「ダメな自分から自立していくイメージ」「アフリカン・アメリカンを始めとする人種問題」それらに触れながら、Beyonceは「Now let's get in formation!(さあ、列を組んで)」と歌う、彼女のディスコグラフィでも一際輝く1曲。

この曲が発売された時、彼らはBeyonceに自分たちと近しいバイブにすぐに気づいたという。

「あの曲のMVは、俺たちが考えていたことをまさに体現していたんだよ。俺達のバンド名も、ともに歩んでいこうとか人々を巻き込むとか、そういうことを意識していたから」

And when I'm alone you are my only friend
And I remember again how you were on my side
Coz as time goes by you're still a friend of mine
You're still a friend of mine
(「A Friend」リリックより)
いまロンドンでは、StormzyやSkeptaらが先頭に立ってグライム・ミュージックの第2期黄金期を迎えている。彼らも社会への不平不満、フラストレーションをぶつけていく形は、まさにラップ・ミュージックのあるべき形であり、ここイギリスならばパンク・ミュージックの姿とダブる。

彼らFormationにもたしかにその心がある、だが彼らが歌うのは、出来事ではなく、あくまで民衆であり、連帯の歌。それをしなやかかつ熱いパフォーマンス、そのグルーヴに酔いしれよう

Formation『Lock at the Powerful People』https://open.spotify.com/album/2CEu8OhKJy6wGcXalRgYYn

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