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【ライブレポ】SONIC MANIA 2018【感想戦】

SONIC MANIAに行くのもいつぶりだろう。ミッドナイトソニックには一昨年行ったけども・・・と思ってちょろっと調べたら、最後に行ってたソニックマニアは2011年だった・・・!!http://www.summersonic.com/2011/timetable/tokyo0812.html

思い出した。このとき808stateを中心にしてイギリスの大御所がガッツリ来ていて、かなり楽しい1日だったんだよね。

今年のソニックマニアは、なんといってもコーネリアス/マイ・ブラッディ・バレンタイン/ナイン・インチ・ネイルズのメインステージ、中田ヤスタカ/MARSHMELLO/PETIT BISCUITらによるEDMアクトが集まったセカンドステージ、そしてBRAINFEEDER NIGHTと称され、George Clinton & Parliament Funkadelic/THUNDERCAT/FLYING LOTUSらによるステージ。

この面々が一夜に集まるなんて、贅沢すぎるにもほどがある。少しは初日にふれば良かったのになと思ったりもする。

まぁとにかく、この豪華メンバーがだと、やってくるファンも3つに別れてしまいそうになる。90年代オルタナティヴロックファン、EDMファン、ブラックミュージックラヴァー、この3つだ。

ロックもEDMも好きな自分だけども、2012年に一度ライブを見たことのあるFlying Lotusはともかく、来年2019年にはライブツアー活動から引退すると仄めかしているジョージ・クリントン、幾度かの来日公演を見逃してきたサンダーキャット、このメンバーが一同に介し生まれるヴァイヴスは、ぜひ体験したい・・・そう思い、この日はずっとBRAINFEEDER NIGHTのステージにこもっておりました。

それゆえ、他のステージは一切わかりません!!!!ごめんなさい!!!!!!!!あとセトリもこの日に関してはほとんどわかんねーです!!!!!!クロスビートなどに頼ってください!!!!!!

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ジョージ・クリントン

アグレッシヴだけども、驚かされたのは、単なる「P-Funk」だけじゃなく、ドラムンベースっぽい曲だったり、トラップ系の16分で刻まれたビートをやったりと、いまのブラックミュージックをしっかりと食いちぎり、お腹に収めた感覚を鋭敏にとらえ、自身の音楽へと作り替えていたということだ。セットリスト的に見れば、すべて往年の曲をやっているというわけなのだけど、そのノリ方も解釈もぜんぜん違うのだ。

「ジョージ・クリントンは来年くらいからライブを控えて、引退になってしまう!」というから見に来たら、「このおっさん、絶対やめる気ないし、やめさせたらダメだ」と思えるくらいだ。

ファンクも、ディスコも、トラップも、下手すりゃブーンバップやニュー・ジャックスウィングすらも、なんだって奏でてしまいそうなグルーヴメイクの永久機関、その熱量に当てられました。

まさかこのときは、二日目の最後にも見るとは思ってなかったわけですが。
(セトリは若干違えど、2日目のものとほとんど同じでした。そちらを参考にしていただけると嬉しい)

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サンダーキャット

広く見ればもちろんジャズ、局所だけみればAORでシティポップ、彼の音楽はそういった言葉がつきまとう。

古くはTotoやChicagoにStealy DanなどのAORに代表されるバンドマンと、サンダーキャットの立場は非常によく似ているし、彼がマイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスをフューチャーしたのも、非常にうなづけるわけだ。

今回ライブは、いやきっと毎度毎度のライブでも同じだろうけども、曲のためにプレイしてるのではなく、曲を下敷きにして、楽器を奏でて起こるエクスタシーとエキサイティングさを求めてプレイしているのだろうし、観客にもそこを見てほしいのだと。

高品位なポップソングを、ジャズプレイヤーとして、スタジオミュージシャンとして、ミュージックプレイヤーとしてのスキルフルなプレイがぶち込まれたとき、いったいなにが見えてくるのか。彼の音楽は、そういったアンタッチャブルなゾーンに手を伸ばし、何かを引き出して表現しようとすることが、根幹にあるように思える。

むろん、彼の曲を聴きに来ている人も居れば、彼のプレイを見に来ている人もいた。彼の歌声とともに歌う人もみたし、彼のベースプレイ、そしてドラムスのプレイに声をあげる人もいた。作り上げた曲も、比類なく卓越した自身のプレイぶりも、全てが見所になる。音楽として幸福なワンシーン、今宵もそんな光景が広がったのだ。

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Flying lotus

ライブを観るのはこれで二度目、Electroglide2012以来だ。

あれから6年近くたったわけだけど、彼の音楽は今のところ変わりない。LAビートミュージックを飛び出し、細やかで様々に刻まれるリズムパターンに、強烈なベースサウンドをぶちあてた、彼以外には生み出せないエレクトロニカ・ミュージックで、今では映画音楽すら手掛けるタレントになった。

自身のレーベルBrainfeederが、こうしてソニマニのなかでのワンステージにチョイスされるのは、ひとえに彼によるところが大きい。

サマソニ本編ではなく、ソニックマニアの真夜中でライブを披露するというのも、非常に彼の音楽にマッチしていると思える。真っ昼間の太陽のもとではなく、この真夜中、屋内できらびやかな光の下で聴くのが、やっぱりよく似合う。

彼の音楽の中心には、常にベースサウンドがある。だから必然的に、太い低音がサウンドスケープの5割近くを占める。もしかすれば音のレイヤーが少ない曲もあるのだろうが、意図的に低音が強く響くようにイコライズされている。

そのため、キーボードやピアノの音色がいくら差し込まれたとしても、ドラムサウンドの脈動が押し迫り、様々な方法で精製された真っ黒なベースサウンドのなかへと取り込まれていってしまうような、そんな感覚をぼくらに与えてくれる。

この日のDJスタイルでのライブで披露されたのは、耳を通過し、脳内にひびいいていたその感覚を、体全体で感じさせてくれるような代物だった。言葉を言い換えてしまうと、「CDでやってることをそのままライブでも披露した」というように感じてしまうだろうが、そもそもCD通りにライブで披露して、同じような感動を味わえるとは限らないし、バンドミュージックであるなら再現度の低さで萎えてしまうこともありうる。

自身の曲だけでなく、攻殻機動隊の楽曲なども加わったこの日のDJライブは、エレクトロニカ系のライブで現出してくるシャーマニズム(宗教的)な感覚を思い起こさせた。ほぼ同一のBPMながらも、様々なリズムパターンが混交し、一つ一つの音色なマントラを唱えられているかのよう。3D映像を使った演出もあったことで、その空気が非常に強かった。

だが、これは彼らしいと思えたのは、このシャーマニックな空気で聞き惚れて棒立ちになってしまいそうなところに、強いキックサウンドが延々となることで、「ダンスすること」を忘れさせなかったということだ。

ぼくは後方で3Dメガネをつけずにいたため、3D映像の凄さを体感できなかったが、太いベースサウンド、それを波打たせるように様々なリズムパターンで鳴らさせるキックサウンドに、フライングロータスの本懐を見た気がした。

本編のラストは、ケンドリック・ラマーとのコラボ曲「Never Catch Me」。僕自身、かなりのフェイバリットソングなのだけども、このムードを作り上げ、この曲で締めるあたりに、「僕は君たちの手の届かないところにいるんだよ」とフライロがニコリと語りかけてくるようでもある。畜生、ちょっと悔しい、もっともっと楽しませてほしい。


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