見出し画像

HowTwoの「ハーフ顔」特集への抗議とその経過 byナザニン

先日、美容系オンラインメディアのHowTwoで掲載された「ハーフメイクで憧れの外国人風!メイクのコツやポイントをチェック」という記事に対して、「ハーフ顔」や「外国人風」という言葉の背後にある人種差別的性質などを含めた抗議のメールを送りました。その経過や結果を含め、ここに掲載します。

まず始めに、この記事を提供してくださった方へ、この言葉への問題意識を共有してくださり、情報を提供してくださったことについて、この場で感謝の念を表明したいと思います。私達2人だけでは、現存する全てのハーフ顔という偏見に満ちたものを取り上げた記事を見つけだすことは非常に困難であるなか、このような形で支援し応援してくださることは私達にとっても私達の活動にとっても、大きな支えになります。ご協力ありがとうございます。これからもGray Prideを、よろしくお願いします。

提供して頂いた記事は、HowTwo上で公開された、つまりは「外国人っぽいハーフ顔になろう」という趣旨の内容です。現在に至るまでこの記事は公開されています。

https://howtwo.co.jp/article/1652201

画像1

画像2

今回はHowTwoへ、記事の中に含まれる言葉を使って以下のような抗議文を送りました。

『先日当サイトで公開された記事、「ハーフメイクで憧れの外国人風! メイクのコツやポイントをチェック」に関しまして、ハーフ当事者としてタイトルとその内容に引っかかりを感じ、この度連絡させて頂くに至りました。
記事の題名にもある「ハーフ顔」という表記は暗に「白人のハーフ風」というものを差していると思われますが、この点について大変に違和感を覚えました。私自身はイランと日本のハーフであり、色素は薄くなく目の色も「ブラウン、ブルー、オリーブ」ではなく暗い焦げ茶でありますが、その一方でこの記事内で使用されている画像複数枚が全て碧眼の白人女性でありました。ハーフとは白人と日本人の間に生まれた、目や肌の色素が薄く、彫りの深い顔を持つ人々のみであるとしてそれ以外の個人をハーフと認めていない、あるいは存在をはなから無視していると受け取らずにはおれません。ハーフであっても中国や韓国など東アジア、南アジアや東南アジア、中東、アフリカ、中南米に出自を持つハーフ個人も多くこの社会の中で日本語を話しながらハーフではない日本人個人と同じ趣味を持っています。彼らがこの記事を読む可能性について考えて頂きたいのです。この記事は私を含む非白人のハーフ達をまず除外し、またその上で白人と認識されるであろう見た目の個人を親に持っていても、「すっと通った鼻筋」や「彫りの深い」「小さな顔」を持った個人しかその範囲に含めていません。「目鼻立ちがはっきりした」ハーフ以外については、どう思われますか?日本では日韓や日中のハーフも多く生活しておりますが、「平たい日本人」に近いことも多いであろう彼らは白人のハーフと同じように持っているその文化的背景の豊かさに反してハーフとして扱われるには値しないとお考えでしょうか?当記事内で示唆された外見を持たないハーフ達の存在を否定しており、彼らを深く傷つけます。

HowTowは日本国内在住の日本語話者、つまり日本人を読者層と仮定しておられると思いますが、東アジア人である日本人に対し、白人風つまりコーカソイド特有の顔の特徴を持つよう推奨するのは女性が晒されている外見史上主義への加担であろうと思われます。一度東アジア人として生まれれば、白人になることは不可能です。彼女達のうち多くが持っているにも関わらず、記事の中にあった「日本人らしい平たい顔」や「一重で切れ長の目」は「どうしてもアジア人の印象」であるから醜いということなのでしょうか?彼女達が生まれ持った身体的特徴を理由に彼女達が醜く、皮膚炎の原因になるアイプチを使ってでも何とかすべきだという風にお考えであるなら、それは読者であるにも関わらず彼女達に向けた侮辱でありますし、当サイトのような美容系メディアがお化粧などを通じて美しくあることを楽しむ個人に対してそのような危険あるいは不可能な作業を推奨し、彼女達が生まれてきた以上はなれない/なる必要のないものになれと吹き込むことの責任は重いのではありませんか。

加えて、コーカソイドの個人であっても顔つきや目の色など多種多様であることもまた無視しておられると見受けられます。たとえば、南欧や中東に出自を持つ個人などは同じくコーカソイドでありながら肌の色素が濃いことは多々ありますし、髪の色や目の色が暗い個人も多く存在します。それはこの記事の中でも触れられていました。また、「下唇がぽってりした」方はたとえばハリウッドの女優の方々や有名な歌手の方々のことかと思われますが、それは彼女達が元々持っていた身体的特徴とは限らず、リップフィラーであることもままあります。リップフィラーもアレルギー反応や術後の不安定さ、維持の大変さ、費用の高さなどのために気軽に勧められるものではないのが実状です。そしてタイトルに「憧れの外国人風」とありますが、これは日本において9割を占め日本人にとって最も身近である東アジアや東南アジアの方々を差しているのでしょうか?「外国人」ということは正に日本国外を出自に持つ方々全員でありますから、まるで白人だけを「憧れの外国人」と表現しているかのようなこの表記は現実に即していないばかりか人種差別的であり、更に不適切であろうと思います。日本国籍を持たない人が全て「外国人のような透明感」を持っているわけではありませんし、たとえば韓国やモンゴル、カザフスタンを出自とする人々もまた日本に暮らしています。彼らは外国人ですが「彫りの深い顔」をした個人が多いと思われますか?これはハーフについても同じことが言えます。
この記事の言うところでは、たとえば、日本人風メイクと称して前髪の目の上で切り揃えて極端に吊り上がったアイライナーを引くことを推奨するのと同じくらい侮辱的なのです。日本人であれば日本人風メイクなどと称して日本人女性全体を極端に単純化して一つの化粧法にすることは、日本にたとえばモード系メイクや可愛らしいメイク、特定の女優やモデルの方の雰囲気を模したメイク、あるいは特定のファッションに合うようなメイクなど多種多様に及ぶところから不可能であるとすぐにお分り頂けるであろうと思います。単一的ハーフ顔というものは存在しないにも関わらず、ハーフを極端に単純化した上でその身体性のみをもって彼らに触れています。この記事の中で行われていることはまさにその不可能なことを推奨しながら個人と出自を結びつけた人種差別であり、これも侮辱です。示唆されている特徴自体もまず彼らが実際に持つ複雑な特徴を一切無視しているものであり、出身地と身体的特徴を事実に基づかない偏見によって関連させているため、人種差別的であるのです。

以上の理由から「ハーフ顔」や「ハーフ風」といった表現を、個人の出自と身体性や人種とは結び付けない表現にして頂きたいと思っております。この記事の序文ですでに「凹凸のある華やかな顔」と筆者の方は表記しておられますから、不可能なことではないと考えます。「顔のめりはりを強調する」「色素が薄く見える」などであれば、個人の出自と身体性は結び付けられておりません。この記事の内容自体、肌の透明感を出すとか、めりはりや顔のパーツを強調する、血色をよく見せるといったことの提案とそのための商品の宣伝であり、ハーフや外国人という単語を使わなくても公開は可能であったとも思えます。そしてハーフは、化粧品を売るための道具でもアクセサリーでもなく、人間であることを理解して頂きたいと思います。ハーフはその見た目の差異(彫りが深いとか目の色が違うからという理由もその中にあります)から熾烈ないじめを受けてきた個人もおり、私もまたそのうちの一人です。私の顔の差異を理由に、気持ち悪い、死ねと、国に帰れと言われ続けた子供時代を送ってきました。その見た目のために集団暴行を受け続け、若くして自殺したハーフも存在しています。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190419/k10011889021000.html
その経験を経てなお、こうしてそれが物を売るための広告程度に、偏見を元に作り上げられた「ハーフ顔」なるものが扱われることに対し黙っていることは大変難しいのです。誰のことも傷付けずに、お化粧を楽しむ個人に情報を提供するということは可能であろうと思います。なにとぞ一考のほどよろしくお願いいたします。』

問い合わせから2日後にHowTwoから送信された返信が以下のものになります。

画像3

私が送った抗議のメールは、私以外にもハーフや外国人、そして女性として生きる人々への影響に言及したものであり、「不安な思いをかけられた」からではありません。そして不快な思いをされたのなら謝ります、と言うのでは、そもそも送った内容すら全て通して読んだのかということすら疑ってしまいます。

後日マヤが、同じ趣旨の記事を同じ執筆者が寄稿しておりそれを掲載していること、そして別の記事においても似たような表記を発見したため、それも含めた抗議のメールを送りました。

画像4

画像5

『当サイトの

「ハーフメイクで憧れの外国人風!メイクのコツやポイントをチェック」
https://howtwo.co.jp/article/1652201

「 ハーフ顔はどう作るの?憧れの美人顔に仕上げるメイク」
https://howtwo.co.jp/article/1329646

「憧れのハーフ顔に♡簡単アイメイク法」
https://howtwo.co.jp/movie/505

というメイク記事や動画は、ハーフ=白人×日本人の特定の見た目を持つ人間であるという偏見を助長しており、適切でないと思います。

『ブラウン、ブルー、オリーブなどの吸い込まれるような瞳に、すっと通った鼻筋。メリハリのある彫りの深いパーツが小さな顔に収まっています。 また、厚みのある唇も印象的。ふわふわとした髪質や華やかな髪色も大きな特徴の一つです。』

『【ハーフ顔の特徴】

・彫りが深い
・鼻筋が通っている
・眉と目の距離が近い
・目と目の距離が近い
・目や髪、眉の色素が薄い
・目が大きく幅広の二重
・肌が白い』

ハーフがこういった外見であるというのは記事作成者の勝手なイメージであり、何の根拠もありません。

「ハーフ」と一言で言っても様々な地域や国にルーツを持つ人間がおり(韓国、中国、南アジア、アフリカ…など)、また白色人種の血を引くからといってそれが見た目に反映されるわけではありません。
私自身、父が日本人・母が東欧出身の外国人で所謂ハーフですが、上記のような条件に全て当てはまるわけではありません。このような表現を目にする度、自分の顔を否定されているようで暗い気持ちになります。

例えば、水原希子さん・中条あやみさん・マギーさんは全員白人×日本人のハーフですが、彼女達は同じ「ハーフ顔」ですか?

また、現在活躍中のプロテニスプレーヤー・大坂なおみ選手はハイチ系アメリカ人と日本人とのハーフですが、「ハーフ顔」と呼ばれる外見上の特徴をほとんど持ち合わせていません。彼女のような見た目を持つハーフが、「ハーフ顔」という言葉を見た時に感じるかもしれない苦痛を想像出来ますか?

「ハーフ顔」「ハーフメイク」「ハーフ風」といった表現は、その条件に当てはまらないハーフ当事者を傷つけ排除し、自己否定へと向かわせます。
また、実態の無いステレオタイプ的ハーフ像を読者に押しつける事でハーフに対する偏見を助長し、色素の明るさや彫りの深さ、鼻の高さ、目の大きさなどが美の必須条件なのだと読者を抑圧します。

「外国人風」や「外国人みたいな」に関しても同様です。外国人が、記事で挙げられる見た目を持つ人間だけでないという事については説明不要だと思います。

「カラコンメイクのやり方は?カラー別のメイクで垢抜け顔に」
https://howtwo.co.jp/article/1448137

夏メイクに欠かせない!コスメデコルテの人気商品
https://howtwo.co.jp/article/1540121

これらの記事にも「ハーフメイク」や「外国人のような」などの表現をみつけました。

今後は「ハーフ顔」や「ハーフメイク」「外国人風」といった表記ではなく、「顔の凹凸を強調するメイク」「色素の明るく見せるメイクやヘアカラー・カラーコンタクト」のような具体的で他者を傷つけない言葉を使っていただけないでしょうか。ご検討の方よろしくお願い致します。』

一ヶ月ほど経過した現在に至るまで、HowTwoからマヤへの抗議への返信はありません。

画像6

まず、外国人とハーフは2つの独立した集団です。私の父と私は、同じ社会の中で同じカテゴリに属していないということです。時々私や他のハーフ、そして帰化した人達の言うことが気に入らないからと、部外者の烙印を押すことで私達の言説の評価や説得力そして尊厳を不当に下げる目的で突然同じカテゴリに放り込まれることはありますが、当然両者は法律での区分も人生の中での経験も同じではありません。そして以上を踏まえると、「K-POPアーティスト風のメイクで憧れの中華美人になろう」というくらい意味の通らない文章が題名についています。加えて、それぞれの集団の中に、どの国であるか、どの程度その国と関わっているのか、など更に細かい括りがあり、そしてこのサイトで複数回言及しているように、あまりにも多様性に富んでいるため一単語で言い切ろうとすると数多の齟齬が生じ全く事実に基づかないものになってしまいます。それはたとえば、「蓮舫議員や大坂なおみ選手と、セリーナウィリアムズやコンスタンスウー、フダカタン、カーラデルヴィーニュのしている化粧は同じだという話なのか?」ということです。

画像7

更に言えば、「外国人風のハーフ顔」というたった数文字に含まれる醜悪さの正体は、我々ハーフを物珍しい流行りの動物として扱いながら値札まで付けても良いのだ、という感覚であります。ハーフだから優れているのでもなければ、だからといって劣っているわけでもありません。ハーフだから得をしているんだし、これくらい良いだろう、と言われたこともありますが、それは違います。「ハーフ顔」が美しい、ハーフは得している、という価値観はハーフ当事者によって作り出されたものでなく、当事者ではない人々を想定して市場に「ハーフタレント」や「ハーフ顔」を出すことで作り上げられた価値観です。その負の側面を、その市場に出して利益を上げた側ではないハーフが、ハーフではない人達の側の問題を負わなければならないことになっているのです。幼い時から「ガイジン」「国に帰れ」と言われ、「ハーフタレント」が増えれば「ハーフってうらやましい」「ハーフに見えない」と言われ続け、どれだけ頑張ってもどこかで「部外者」「私達よりも下」とみなされ扱われ続けることがなくなるのであれば、標準より少しばかり長いまつ毛や手足なんか私は要りません。ただハーフとして生まれてきただけのことなのに失わされたもの、得ることすら許されなかったの大きさに比べれば、そんなもの取るに足りません。信じられないかも知れませんが、得をしているのはハーフと商品や特集の名前に付けておけばお金が入ってくるメディアや企業だけです。これは我々ハーフの問題ではなく、ハーフではない人々における感覚に起因する価値観です。

画像8

「ハーフ顔」というものは、ハーフでも外国人でもなく、彼らのことを何も知らないし知ろうとも思っていない、ほんの一握りの集団の中の更に一部にあたる人々のしかもその上澄みにあたる外見だけを全くの偏見に基づいて都合よくアクセサリー感覚で扱っています。自ら選択してきたわけでもないのに「ハーフ顔」に生まれてしまえば、都合よくその日の服装に合わせて自分の見た目を変えるような事は出来ず、死ぬまで「ハーフ顔」でいなければなりません。アクセサリーのように外すことは出来ませんし、化粧のように落とすことも出来ません。そしてその外しようのない見た目のために熾烈な差別や暴行を受けたハーフは決して少なくありませんが、彼らが受けたその耐えがたい苦痛の一片でも経験することなく言及もせず考えてみることすらせず、その上澄みだけをすくい取って物を売る道具にされ、得していると言われたのでは堪ったものではありません。私達の尊厳は、切り売りされ換金されるべきものなどでは絶対にないのです。ハーフはポップカルチャーでも流行でもなく、70年でも80年でも生きて思考し、悩み、苦しみ、この地に足を付けながらこの社会の中で暮らす人間のことです。

白人のハーフのような顔や、白人のような顔になりたいことの何が悪いのか、私はただ好きだからやっているのにただそれだけのために人種差別者だと罵るのか、という風に言われることもあろうと思います。

画像9

あなたがたとえば公に、「日本人」や「白人」とそうでない人間の間では知性の高さが異なるとか、特定の国に出自を待つ人を強制送還したり移民局や刑務所に収監すべきだとか、蔑まれて当たり前の集団だとか言っていない限り私にはあなたが人種差別者か知りようがありません。むしろ、そうでないと信じています。しかしながら、あなたがそのような価値観を内面化している可能性については、あるかも知れない、と言うでしょう。美白、色素が薄い、ハーフ顔、小顔、などという言葉が溢れている世の中にあっては、むしろ影響を受けない方法があるとすれば外部との接触を一切絶ってしまうことになるかも知れません。あなたが今このページを読んでる以上はその状態にないと仮定します。そしてそうなると、そのような価値観を内面化している可能性が出てきます。私自身にしても、赤ちゃんの時からそのようなことを認識できていたわけがなく、そしてとても自然にその価値観を内面化していて、ここ数年前まではおかしいと明確に言葉にすることもありませんでした。さらにその前は、私は好きでやっているだけなのに決め付けられて不愉快だ、私を知性がないと見下してるようにしか聞こえない、私はハーフだしアジア人だから人種差別者になりようがない、失礼だ、それに白人みたいな見た目になりたいことの何が悪いんだ、と思っていました。

画像10

しかし、そういった価値観を内面化しておりかつ行動に移してしまっていると、以前言及した「間接的差別的」に加担している状態になります。私の場合は、安い服を安いし見た目が良いからと買っていたらその服の製造工場で搾取されている労働者が数千人がその工場のあった建物の下敷きになり死亡した、ということがきっかけで、私がどのような差別に消極的かつ間接的に関わっていたのか気付きました。白人や白人のハーフのような顔になりたいと表明することで、まずそれには当てはまらない白人ハーフを傷付けることになります。当てはまるハーフを、人格ではなく外見だけをもって人形のように扱うことになります。そして、非白人系ハーフには劣等感を植え付けます。白人や白人ハーフの顔が美しいという価値観の存続に寄与することになり、苦しむ個人を増やすことになります。

画像11

青い、あるいはグレー、ヘーゼルの目が、ただその色の目だというだけの認識で世界が回っていたら、私はきっと問題と思わなかったでしょう。きっと「ハーフ風カラコン」も存在しなかったでしょう。しかし、青いカラコンはあっても、黒や暗い茶色のカラコンはそうそうありませんよね?黒や暗い茶色の目が、特別綺麗だと言われてるところを雑誌で見たことがありますか?青い目に生まれた個人が、黒い瞳だったら良かったのになあなんて笑いながら言っているのを見たことは?黒や焦げ茶のカラコンが「東アジア人風カラコン」として青やグレーのカラコンと同じくらい売られていますか?今この社会、あるいは世界において、瞳の色はただの色の話では残念ながらまだありません。瞳の色の明るさが遺伝子の優劣や知能と関連付けられた時代からまだ80年も経っていません。あなたが日本国籍保持者であるなら、あなたがパスポートを持つその国はそれを率先して行っていた側についていたことも、また真摯に受け止めて頂きたいと思います。現に私達の多くは、その価値観をいまだ引きずってすらいます。その社会の中で、「青やグレーのカラコン」が「外国人風あるいはハーフ風として」「国民の大半が暗い焦げ茶あるいは黒の瞳を持っている場所で」売られていることは、何を示唆しているのでしょうか。

画像12

とはいえ、他者のためにやめるのではなく、その可能性を考えたあなたが自らの良心にしたがって能動的になることが私の求めていることなのです。やめる必要も実際にはありません。目の色が違えば似合うアイシャドウの色も変わりますし、ただ自分の生まれもったものの範囲内に留まらなければならないということはありません。青やグレーのカラコンを使っていても、ただアイメイクの映えを考えてしているだけで、私は自分の目の色が好き、と言うだけでも良いのです。あなたが一年に何回か、思い出した時にそう言うだけで起こる変化はあります。そして、私は青やグレーのカラコンが欲しいのであってハーフ風や外国人風のカラコンが欲しいのではない、と言うのも矛盾ではありません。ただの色なのですから。その色を明確に書いてくれと、消費者として声をあげているだけですから。私達が求めることは、ただ今一度立ち止まって、なぜあなたがそういう見た目になりたいのかよく考えてもらうこと、それを続けるのであればその影響について知っていてもらうこと、そしてそれについて言葉の力を最大限に使って話してもらうことです。あなたが美しくありたいとして、ハーフや外国人とラベルの付いたものなど必要ありません。あなたでないものを体に貼り付けても、いつか剥がれ落ちてしまいます。あなたでないものになれと、あなたでないものが美しいのだと言うことで商品を購入させようとする、倫理や人道よりもお金をとる企業やメディアのやり方、その手段としての「ハーフ顔」や「外国人風」に強く抗議します。