見出し画像

子供が子供らしくあるということ/「ふしぎな島のフローネ」

世界名作劇場「家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ」を今日見終わった。
今まで世界名作劇場をいくつか見てきた中でも、この作品はなかなか異色だな、と感じたので感想を残しておこうと思う。


「ふしぎな島のフローネ」はスイスからオーストラリアに移住するために船に乗ったロビンソン一家が、途中で船が座礁したため、たどりついた近くの無人島で生活していくという物語である。 

ロビンソン一家は、父で医師でもあるエルンスト、看護婦をしている母のアンナ、音楽家を目指していた兄のフランツ、3歳の弟ジャック、そして主人公である10歳のフローネの5人家族。
家族の中で特筆すべきはやはり父親の存在だと思う。
このお父さん、医師なのにすごいツリーハウスをあっという間に建ててしまうし、砂糖や塩を作ったり、ゴムの木の樹液で靴まで作っちゃう。す、すごい…!
そして何より素晴らしいと思うのは、作中一度も声を荒げて子供達を叱ったりしない。子供のやることを頭から否定したりしないところ。ちゃんと子供を1人の人間として認めて尊重しているのだ。
そして、子供たちもそんな父親のことを心の底から尊敬しているのが伝わってくる。
世界名作劇場でここまで頼れる父親が出てくるのは、ちょっと珍しいなあと驚いてしまった(どうでもいいけど世界名作劇場における親の死亡率は高すぎますよね)

父親の影に隠れているけれど、お母さんも負けず劣らずいいキャラをしている。はじめはちょっと頼りないんだけど、子供達を守るためにたった1人で夜通し狼たちと格闘したり、何度失敗しても畑作りを諦めなかったり、いざというときに強さを見せる人、という描かれ方をしている。

では主人公であるフローネはどんな女の子なのだろうか。
フローネは、最初から最後まで無人島生活を家族の中で1番楽しんでいる。
過酷とも言える環境なのに、「まあ何とかなるでしょ」というポジティブな精神を持ち続けている。たまに父親やジョン(犬)の忠告を無視して危険な目に合うと一時的に反省するけど、また似たようなことを繰り返してしまう。ちょっとおっちょこちょいな普通の女の子。
要するに、フローネはこの上なく子供らしい子供として描かれている。


この作品を見る前に、「母を訪ねて三千里」を見ていたので、2人の主人公のギャップに思わず笑ってしまったくらいだ。ところで、フローネとマルコの声優さんが一緒なことに途中で気づいて驚いた。ちゃんと男の子と女の子を演じ分けてて声優さんってすごいなぁ。

無人島で先の見えない生活をしているフローネがのびのびと子供らしくいられるのは、庇護してくれる両親、そして共に成長する兄弟がいてくれるからに他ならない。
どんな環境にいても子供が子供らしくいられることの素晴らしさをこの作品は伝えたかったのかもしれない。


前述の「母を訪ねて三千里」のマルコもそうだけど、世界名作劇場の主人公の子供たちは、しばしば過酷な運命を背負わされる。もちろん子供を主人公に据える以上、それは仕方がないことなのだけど、親となったいま、そんな子供の姿を見るのが辛くなる時もある。

「ふしぎな島のフローネ」には、そんな展開はほとんどなく、まあ最終的には父親がなんとかしてくれるだろうという安心感がある。
そういったところも、この作品が異色だなあと感じる理由だと思う。

家族の素晴らしさ、理想的な両親の元でのびのびと成長する子供達、にホッとすることができる、ちょっとした息抜きにするにはぴったりの作品でした。

さあ、次は何を見ようかな。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?