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GBP一期の閉幕、出発へ

GREEN BUSINESS PRODUCERS1期生 40名は、2023年3月11日に卒業式という名の出発式を迎えました。

昨年11月末の開講式から、香川県三豊市にてオフサイト研修、オンライン講義、宮城県東松島市・佐賀県唐津市のオフサイト研修(選択式)、そして1月末のチーム編成。今日に至るまで、各チームごとにグリーンビジネスプロジェクト企画を練ってきました。

半年間の集大成として、一体どんなプロジェクト企画が生まれたのでしょうか。全8チームをサマリーでお送りします。

うどんリデザイン|他(多)付加価値の創造

インスタ映えスポットとして父母ヶ浜が爆発的な人気を博し、年間50万人が訪れる街となった香川県三豊市。100万人が1回訪れるのではなく10万人が10回訪れる街の未来を目指した「うどん耕作プログラム」。オーストラリア産小麦に依存している背景から、体験者には三豊に通いながら小麦栽培をして最終的にうどん作り・実食までするプログラムを打ち出しました。

Team-三豊 おうどん

牡蠣殻から始まる循環ビジネス|"ゴミ"から"海の宝"へ

地球が今より良い状態で次の世代に繋げるために、東松島発の「牡蠣殻」再生プロジェクト。牡蠣殻の再活用ができていない・震災後の海のヘドロ化・東松島にプレイヤーがいないという3課題を解決するべく、ヘドロ化した土壌の改善▷堆肥ブロックによる藻場生成▷ブルーカーボンクレジット取引の3ステップを考案しました。

Team-東松島 オイスターズ

NEST|鳥になれる日

住民が周りに自慢したくなる街・集客力のあるコンテンツを作り差別化・生物多様性の発信拠点にする未来を実現すべく、自然体験型の宿泊施設 NESTを創案。東松島、野蒜(のびる)地区に位置する洲崎湿地には、①天然のスポンジ的な役割を持つ②津波被害から再生したという2特徴から、エネルギーを補充して整う宿泊プランを提供します。

Team-東松島 さるかに 

0縁スープ|地域と繋がるきっかけ作り

地域を巡る・様々な人と触れ合う・リアルな人の話を聞く機会を作るための、スープ移動販売事業。小さな子供からお年寄りまで楽しめるスープの特徴と、ふるさと納税の取引額が全国16位である唐津市の食材をふんだんに生かしていきます。水を含めた全て唐津の食材を使用したスープを1杯500円。且つ廃棄食材を使用した唐ブロス(野菜を煮込んだ出汁=ベジブロスにちなんでいる)を「0円」で提供することで市内各地をスープの縁で繋ぎます。

Team-唐津 すうぷ

KARA塾|挑戦を応援するthe 5th Place

KARA塾は、大学生を中心とした若年層が、"KARA塾"を起点に、唐津愛を育みつつ、地域で学び/経験することで、自分の可能性に挑戦できるイノベーティブな街を目指します。15-24歳の人口流出と近隣の福岡市へ20%以上流出、市内の企業数が少なく大学がない・大学生同士で交流する場や大学生と社会が繋がれる場がないという課題を解決するプロジェクトです。唐津市が協力協定を結び地域活性化の事業を推進している、九州大学・早稲田大学・佐賀大学と、地元の若者20-24歳をターゲットに、水素・再エネ・食料・ライフスタイルの4テーマでイノベーションを推進▷唐津市の産業が活性化▷就職先の選択肢が増加▷若年層の流出が抑制というループが生まれる仕組みになっています。

Team-唐津 KARA塾

BEACON|自然が聴こえる空間

人との繋がりや出会いによって「人生が変わった」経験をしたことはないでしょうか。BEACONでは、外と内の人たちを繋げるために、人が集える大切な第3の空間の提供。海と空と風の音の織りなす高台という場所を舞台に”優しい”収益とYoutubeライブで自然の音を配信してコアなファンを作り、関係人口より外の人と内の人との関係性の構築を作っていきます。

Team-東松島 炎上

TOKICHIRO - 唐吉郎|出世払い型免許合宿

学生生協経由で毎年合宿免許の利用する学生の数は、10,000人。チームうさぎは、唐津を日本一教(郷)習生が集まるまちを目指します。そこで、豊臣秀吉(= 木下藤吉郎)が唐津に築城した名護屋城のある唐津だからこそ、出世頭の秀吉に倣い出世払いを取り入れた「出世払い型免許合宿」を提案。地域体験型免許として、収穫手伝いや郷土料理を習いながら、免許取得をします。4週間の免許合宿で友人や地域の人たちと関係を構築。またローンで組んだ免許料金は、合宿中に半分、免許取得後に半分の金額を、唐津地域の人材不足を補う労働を対価にして返済することになります。

Team-唐津 うさぎ

MIRAJO|縄文から歴史を持つ奥松島の「サスティナブルなエドュ・テーメント」サービス

東松島の自然環境やインフラを活かした子育てコミュニティの形成を目指して、縄文人が暮らしていた痕跡を残す奥松島の縄文と野蒜地区の被災地域をコンテンツにして親子向けツアーを企画。さらなる展開としてバスに縄文コンテンツを詰め込んだ泊まれる縄文キッチンバス「MIRAJO BUS」の開発を思案しました。

Team-東松島 縄文人

グリーンビジネスにはWHYとユニークネスが骨子

8チームのプレゼンを終えて、自然電力代表取締役と取締役の4名(磯野謙さん・長谷川雅也さん・川戸健司さん・磯野久美子さん)と、古田秘馬さん、菅原聡さん、細野慎悟さんによる審査の結果、Team「オイスターズ」(牡蠣殻から始まる循環ビジネス|"ゴミ"から"海の宝"へ)が最優秀賞、特別賞にTeam「うさぎ」(TOKICHIRO - 唐吉郎|出世払い型免許合宿)が選出されました。

続いて審査員による総評です。今回の総評では、グリーンビジネス事業作りで肝となるWHYとユニークネスが争点になりました。

縄文というキーワードを見つけただけですぐ(企画を)出しちゃうのではなく、一回煮出して、出汁を取って、そこにあるエッセンスは何なのかを考えて、企画を煮詰めて煮詰めて最後の料理を出すところまでやっている。そのままにしないこと。大事なことは、まず、”なぜ”というところ。ここさえ腑に落ちないまま、次へ企画が進んでも(疑問が)最後まで残ってしまう。ここが重要かなと思います。」(古田秘馬さん)

私たちGBP生が、各地域を舞台にグリーンビジネスのプロジェクト企画をしていく中で、「なぜその地域でそのプロジェクトなのか?」という問い(=WHY)が明瞭であることが大切になっていきます。

「フックとなるユニークネスが必要だなと思いながらプレゼンテーションを見ていたんですが、幕内弁当のようにいろんなことを混ぜて、結局なんだったのかよくわからなくなって終わり、質問もしにくいような感覚に陥ったプレゼンテーションもありました。」(長谷川雅也さん)

WHYとユニークネスがはっきり通っていると、質問も自動的に湧いてくるなと思いました。『面白いな』『行きたいな。僕も行きたいです』や、特に『出資したいです』という言葉が出てくるっていうことはすでに、聞いている人たちを魅せれている。」(長谷川雅也さん)

そこで、グリーンビジネスにおけるユニークネスは、地域の歴史であると磯野さんは続けます。「ローカルにはそれぞれ歴史があります。歴史は不変のユニークネスを持っているので、過去に対してきっちりリスペクトして理解することは世界中のローカルでとても大事で、そのローカルの過去を大事にして欲しいなと思います。」(磯野謙さん)

今回、WHYの部分に通ずるユニークネスの緩さ / 甘さは、自ずとプレゼン内容に表出したチームが散見してしまいました。しかし、今日という日は、卒業式でありながら出発式であり、GBP一期生の伸びしろを見出せた大きな収穫です。

「HOWはいくらでも磨ける。ただ譲れないWHYやユニークな着眼点がないと磨かれていきません。皆さんがGREEEN BUSINESS PRODUCERSのプログラムに参加したときの気持ちや感じたことの熱意を忘れないで見出していただけると、どんどん積み重なっていくと思いました。」(磯野久美子さん)

「ダイカワサキさんをご存じですか。
アップルの創業メンバーでスティーブジョブズに2回仕えた人物で、一人だけサバイブした人物です。スタートアップを始めるときにこの三つの質問のどれかに当てはまらなかったらやらない方がいいという(彼の)言葉があります。
『それは人々の生活を豊かにしてみんなを幸せに出来ますか。』
『それは今起きている問題を正しく解決しますか。』
『それは大切なものが失われていくのを止められますか。』
このうちのどれか一つがWHYを考えるときにヒントになると思います。
本当にこれからだと思うので、培った材料や武器、スキルを活かして地域プロデューサーとして活躍してくれればと思います。」(菅原聡さん)

「32歳の時に屋久島で、自分が何をすべきか、この先のゴールが見えた経験をしました。まず一つ目が出会いがあったこと。二つ目が五感で感じたこと。三つ目が、ちゃんと噛み砕いて、心だけではなくて理論的に脳にも訴えかけてくれたこと。これら三つが揃った時にブレイクスルーしました。僕はこのGreen Business Producersの場も同じ状況だと思っています。出会いがあり色々な場所で体感して、でもやはり理論もあって。その三つが重なると、皆さんにとっての気づきになると思います。ぜひこの場を思い出して、次に活かしてください。」(川戸健司さん)

「秘馬さんからのアドバイスやビジネスモデルの観点など、本を読んでもわからない・本当に知らなかった感触みたいなものを手にしたと思います。ぜひちゃんと書き留めて、振り返ってください。次は絶対もっと上手くやってやるっていう状態になっているはずです。まだまだ道半ばだと思うので、次々といろんな経験をして、良いプロデューサーになっていただけたらと思いました。」(細野真悟さん)

運営責任者 瀧口直人さんー感謝

最後に、GBP運営責任者 瀧口直人さんよりGBP一期生の総括に入ります。

「第一期終了にあたっての想いを一言で表現すると、その文字は『感謝』しかありません。
僕ら事務局の間では一人も来なかったらどするのかという協議までしていた。ですが、お陰様でこんな素晴らしい人たちに巡り会うことができました。とにかくGBPのような学校を作ってくれる仲間が集まったのがポイントだったんです。本当に最後まで盛り上げていただいてもう感謝しかありません。」

「感謝するということは、まず基本的に相手がいるということが必要で、相手が何かしていることに対して本当にありがとうという思いがあるというのが感謝するということじゃないですか。
僕がここで第一期が終わるにあたって、感謝の気持ちでいっぱいだというのはやっぱり素晴らしい人たちがここにいて、素晴らしいことをやってくれたから、本当に嬉しくて仕方がありません。」

こうしてGBP一期は幕を閉じましたが、ここからが次に繋がる出発となります。一期生が本GBPスクールを活かしていく機会が広がっており、これから実際に地域に飛び込んだり、グリーンビジネス事業を起こしたり、2期生をサポートしていったりと、今後の活躍に目が離せません。そして、ここまで読んでくれた読者の皆さま、ぜひ、次はあなたが2期生として飛び込んでみてはいかがでしょうか。

編集後記
GBP1期生でありながら、開会式・オフサイト研修(香川県三豊市と佐賀県唐津市)・出発式の体験レポート4つを書かせていただきました。巡り合わせでGBPにエントリーして、オンライン講義やビジネス企画、チーム内活動など、新しい知識や視座を得られたこと、本当に感謝しております。本気で日本の各地域で気候変動を解決するためのグリーンビジネスをやろうとするパッションに溢れた同期や各オフサイト研修先の地域プレイヤー、GBP運営事務局の皆さまとの出会いは何物にも変え難く、これから私自身、もっと経験を積んでグリーンビジネスプロデューサーに向けて進んでいきたいです。
読者の皆さま、本noteを最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。GBPにエントリーするか迷っているのなら、ぜひエントリーしてみてください。一歩進まなくては何も始まらず、その一歩進んだ先にはまた次の一歩があります。一緒に気候変動解決のために前に進んでいきましょう!!!

GBP1期生 篠﨑 友

【Green Business Producers第一期のマガジンはこちら】
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