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終わったぁ~・・8か月かかった、一軒家のあとかたづけ

5月のゴールデンウィークに突入する時期のことだった。
友人の実家を「見に来てほしい」ということで初めて訪れたのは。
70坪ほどの立派な3階建ての一軒家。
駅からは離れ、閑静な住宅が建ち並ぶ場所に そのお家はあった。

前年、父・母をあいついで無くした友人。
実家を離れて数十年、ちょっとわけあって出入りをすることもなかった長い時が過ぎ、亡くなる少し前にやっと訪れることができるようになったときには、父親は病気を抱え、母親は認知症が進んでいた。

この大きな家をどう処分したらいいのか?その役目を果たさなくてはならない身になって、途方に暮れていたというわけだった。
家自体はまもなく結婚する息子が住むようにリフォームすることに決まったものの、中にある家具・調度品・・・ご両親が何十年も生活してきた思い出のつまったあふれんばかりのモノたち。裕福な家庭らしく値打ちのありそうなものが家いっぱいに収められていた。



「全部、まかせるから。捨てたほうがよいかどうかの判断も全部決めてもらっていいから」
「迷惑になるなら、断ってもらってもいい。引き受けてくれるなら、これ・・」
な~んだ、合鍵まで用意してくれてたんだ。
見抜かれていたかな?(笑)
頼まれたら断れない という私の性分を。

彼女には仕事がある。
私はといえば、コロナの関係で仕事が激減。ほぼ、ゼロになる月もあった。
ので、、、時間はある。(良いタイミング)

その翌日から毎日のように通うことになった。
ご両親の生前から出入りしていたお手伝いさん2人と協力して、まずは「ゴミ」を作っていくことに。
処分するしかないもの をまとめていく。
いったいどれだけのゴミ袋が要るんだろ。山のようにゴミ袋が積みあがっていく。

元々10年以上前から、友人・知人から頼まれてヤフオクに出品代行をやっている私。本業のかたわらなのでそんなにスピーディーにはいかないが、経験は多少あるつもり。ただし、こんなに大量のものを一気に引き受けるとなると気が遠くなる。
大きな食器棚が2つあり、リビングにはこれまた大きなサイドボードが。
中の食器を整理していて、なかば感動しながらながめさせてもらった。
砥部焼・有田焼など数々の産地の窯元の和食器、
ウェッジウッド・ロイヤルコペンハーゲン・マイセン・バカラ・リチャードジノリ・・・・廃番になったレアなものもあり。
ティーカップ&ソーサーはたぶん100セット以上あった。
(紅茶がお好きだったのかなぁ~、コーヒーカップが極端に少ないから)

ティーカップ1

ティーカップ2

少しずつ持ち帰り、汚れがあるものは洗浄して(漂白も)美しく写真に撮ってあげることにした。

さすがにブランド品。
100客以上あったこれらのティーカップはすべてヤフオクにて落札され、全国へ送った。どこかで幸せなティータイムを過ごしている人がいると思えば、とても嬉しいこと、と友人も喜んでくれた。

ティーカップ9

和食器も同様に、廃棄することなく、たくさんの方たちに落札されていった。中には「こんな貴重な食器を安価で手に入れることができて嬉しいです」なんてコメントを頂くと、私のモノではないのにこちらまで嬉しくなる。

小物類はこんなかたちで何とかなっても、まだまだ手に負えないものがたくさんある。

・大量にクローゼットに残された洋服、着物、バッグ、宝飾品。
・世界各地で集められたのだろう、雑貨や書籍類。
・いったい何枚あるのだろうというほど壁に飾られた絵画類。
・和室に飾られた茶器道具や掛け軸・壺などの骨董品。

今回のこのお宅のようにこれほど大がかりでなくとも、規模の大きい処分事案を寄せられても「私には荷が重い」とお断りすることがよくあった。
ただ、ここ最近、
「ネットで見つけた業者に来てもらったら、びっくりするような金額(低い)で持って行かれて、あとから後悔した」とか、「来てもらったら、いやな雰囲気だったのよ、他にないか?貴金属はありませんか?をしつこくて・・・」とか「部屋の中じろじろ見られて、あれを売る気はありませんか?なんて言われた」とか・・・。断捨離して、嫌な思いして、気の毒な話をたくさん聞いた。

これは、信頼できる買取業者や処分業者を紹介できるシステムを作ったほうがいいのかも。

うすうすと思っていたことが急に現実味を帯びることになる。
知人を通して、専門の買い取り業者さんを数人紹介してもらい、実際会ったり、電話で話をして(私、結構人柄を重視する)何社か協力してもらえるようにした。
ただ、一つ条件がある。
それは、「即決しなくてよいこと」
業者さんにとっては二度手間になるけれど、見積もりだけでも気持ちよく動いてもらえること。

今回、買い取り専門業者さんには、全部で3回入ってもらった。
まずは、
宝飾品関係・・生前きちんと整理されていた保証書の束と商品との照合から始まり、鑑定作業に2人がかりで3時間を要したが、かなりの高額買取をしてもらうことができた。やはり『金』製品は最強!

着物・洋服・バッグ関係・・ブランドバッグの査定に詳しい人に来てもらった。数十あるバッグ類や着物類・毛皮などはこれも結構な高額に落ち着いた。

絵画類・・吹き抜けの高いところにも飾られていた額は工務店の人に事前に下ろしてもらって、ほこりを払い、汚れを拭き取り・・
目ん玉飛び出すほどの作品はなかったけれど、大きなものから小さなものまで予想以上の金額で買い取ってもらえた。

さて、電化製品・調理器具類 どうするか?
飲食店関係に声をかけてほしいものはどうぞ!という手段をとった。
新しく子ども食堂を開く準備をしているので、という人も来てくれて 役にたちそうなものを引き取ってくれた。

オーダーされた洋服類は障がい者支援でリサイクルショップをしている人の元へ。値札付など、お店に出す準備を障がい者がするわけだが、布類は取り扱うのに安全なので 喜んで引き取ってもらえた。
少し遠方のNPO法人、そちらまで車で運んでくれる友人もあり、ほんと、協力してくれることに感謝しかない。

「無料でいいよ」「取りに来て!、見に来て!」
SNSを通じて呼びかけて おおよそのものは、いろんな場所へ引き取られて行った。

長い時間をかけれたことが幸いだったと思う。
廃棄するしか方法がないこと に比べれば、どこかで、だれかの役にたっているかな?
手放す側も、もらった側も、そしてそのモノたちも、気持ちよく落ち着いたかなと思う。

コロナ禍で仕事が激減、行く先の不安を毎日感じながら収束を待つ私自身が何より救われたこと。
毎日のようにこのお宅に通って、整理・選別・梱包・発送・連絡・・・
やることがたくさんある、というのはすごく有難かった。
ただただ、仕事が復活できる日を待つだけの日々だったとしたら、メンタル的にまいっていたと思う。

このお宅もリフォームが始まった。
依頼してきた友人は有り余る感謝の言葉をかけてくれる。
いいえ、その言葉、全部まとめてお返ししたい。




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