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女性研究者概論 サイト開設1周年 「匿名で活動する理由 」

サイトを開設して1年経ちます。これまでにプロローグ+11トピックを掲載しました。以前、このエッセイ漫画をはじめた理由を書きましたが、今回は匿名で活動している理由を少しお話します。

アカデミックな研究の世界は優劣がはっきりと分かってしまいます。研究者の名前を検索すると経歴、研究実績がすぐに出てきます。例えば科研費の取得状況を見ればその人がどのくらいのレベルの研究業績があるのか大方検討が付きます。

私よりも業績が低い人が見れば、「所詮、うまくいっている人の意見でしょ?」となるし、私よりも業績の高い人が見れば、「いい論文がないからダメなんじゃない?」となるかもしれません。このような執筆者の研究背景からくるバイアスを取り除くために匿名で活動しています。

実際、研究の世界を紹介しているような書籍などでは、(色々苦労はしたけど結果的に)続けることができた成功研究者が執筆しているケースも多く、今まさに色々な問題を抱えている途上の研究者にとっては「めぐまれた人の話」となってしまうことがあるように感じます。

その背景には環境による不平等があるからです。出身研究室、研究分野、ポジションの空き具合。将来の出世を見据えてこれらを意図的に選択できればいいのかもしれませんが、多くの場合「目の前の研究への興味」が研究者のモチベーションになるため、良い研究をして業績を積んでもポジションが空かなければ研究が続けられないというアンフェアな状況が発生しがちなのです。

私(リンさん)の研究環境はいつかバレてしまうかもしれませんが、少なくとも現在は安定したポジションでないことはお伝えしておきます。

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