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ウェザーニューズ が挑む脱炭素の未来ーエネルギー編ー

気象予測技術を活用し脱炭素化を支援する株式会社ウェザーニューズ
前編の「ウェザーニューズ が挑む脱炭素ー海運編ー」では海運における取り組みについて伺いました。

後編では、エネルギー分野での気象予測活用の取り組みについて前編に引きつづき岩佐秀徳氏と新たに、環境気象事業部エネルギー担当の武田恭明氏にその挑戦についてお話を伺います。

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電力の需要と供給予測から予備電力削減へ

ー海運ではまずはCO2の見える化から初めてステップアップするコンセプトでしたが、エネルギーではどのようなコンセプトになるのでしょうかー

武田:「電気代の明細に化石燃料係数をかければCO2排出量の計算ができてしまうので船とは少し違った観点でのビジネスとなります。
具体的には、再エネを最大限に活用するためのサービスとなります。
電力需要に対して、供給を適切に行い、尚且つCO2削減のためには再エネを沢山使いたい訳です。そうすると、まずどれくらいの需要があるのかを予測してから、どれくらい供給すれば良いのかを考えますよね。
そのために、需要を推測するには天候条件が大きな要素のひとつです。
寒くなれば暖房使用量が増えますし、暖かくなれば冷房活用があがります。こうした気象予測を活用した需要予測のもと、どれくらいの供給をすればよいか考えるのですが、再エネの発電量は天候に左右されます。」

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武田:「晴天だと思っていても、やはり曇ってしまうということはあります。なので、曇れば発電がされないのでその時は火力発電に頼らざるを得ません。
そのため、予め火力のほうで使わないかもしれないが、念の為使うことも考慮して炊いておく必要があります。
これを「予備力」といいます。この火力発電による予備力はあくまで、予備なので少ない方がCO2削減につながります。
そこで弊社では、供給源である再エネをロスさせず最大限にとりこむために、需要が増えるのか減るのか、また再エネが増えるのか減るのかを気象を使って予測するサービスを提供しています。
つまり、需要と供給の予測から導かれるエネルギーの活用量に基づいて、火力発電の発電量をどう調整すれば、予備力のロスを減らしCO2削減に貢献するかという考え方です。」

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気温情報もダイレクト予報から確率予報へ


岩佐:「火力発電では発電量100%に8-10%を予備供給とする108%-110%の発電を用意しておくことを全ての電力会社で行っています。気象予測があたらなかったり、需要が外れたり、なんらかのトラブルで発電量が少なかった場合に備えるわけですよね。

でもこの需要と供給の予測の信憑性が高ければ今8-10%の予備力のところを5%に抑えても良いはずです。
これを実現するために、これまでのダイレクト予報に加えて確率予報を提供しています。ダイレクト予報では最高気温が25度なら、25度というだけの情報でした。しかしこれだと、属人的な意思決定をしてしまうんですよね。25度だけど予測が外れることを恐れて、30度と読む人もいるかもしれない。
でも、25度という情報が、25度になる確率が85%ですという予測であれば自信をもって適切な量で予備供給をすることができます。情報精度を明示すること、または予報確度を明示することが大事だと思っています。」

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体感温度予測でスーパーの廃棄ロスを救う

武田:「もうひとつ省エネ化というところでの取り組みとして、体感温度による電力運用の最適化があります。ショッピングモールでは大規模に電力を消費する施設のひとつですが、エアコンを調整している方は、中で運転操作しているので外の様子ってわからないですよね。
なので、実際に外での体感温度を一つの指標とした最適な運転というのを提案させていただいています。


これは食品ロスにもつながっていて、スーパーでロスを失くすには、究極は売れる分だけの商品を並べたいですがそれは難しいので、売り上げのチャンスロスを防ぐために一定のロスは必ず生まれてしまいます。
でも、購入商品と天候の相関関係について分析した結果を活用すると、気象予測から生産量や発注数を調整することができるわけですよね。」

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岩佐:「例えば、地下にあるお店って雨の情報が大事なんですね。雨が降るとみんな地下に下りますから。でも地下にいると、雨が今降っているかはわからない。だから気象予測を活用して、いつ雨が降りそうだから準備のかかるパンをいつ焼いておこうとか。こうして気象をうまく活用することで店舗運営の最適化をすることができます。」

ー最後に気象予測技術を活用した今後の展望を教えてくださいー

武田:「昔に比べて、気象データを使うハードルが下がってきていると思います。気象データを活用できる環境が整ってきているからなのですが、こうした現状はすごく良いことなので、今後より一層いかにお役に立てる情報でサポートできるか、が重要だと思っています。
カーボンニュートラルという世界的な目標に対して、リスクだとは言われていますが、様々なところでどう回避するのかが考えられていて、それ故に新しいビジネスも見えてきていると思います。そうした中で、ピンチだけでなくチャンスでもあるこの今、2050年にどういう環境を構築できるかについて考えていきたいと思っています。」

岩佐:「創業当初の1984年くらいに、ある機関が企業経営と気象との相関について調査したところ60%相関があるとしていましたが、今ではその数が90%を超えて何からの相関があるという回答結果が出ています。

 今、世界は気候変動が大きな課題となっています。この気候変動に対応するためには、「適応と緩和」が大事になるのですが、「適応」という突発的な異常気象にどのように自分たちの経営を適応していけばよいのかは、やはり気象予測から読み解いていくことができると思います。
企業経営と気象の相関がわかれば、気候変動への対応策も講じれるので企業の成長にも連鎖していくと思っています。
そして「緩和」という点では、CO2削減をしながら如何に売り上げを拡大しいくかというところでウェザーニューズ の気象予測が役立つと思います。
 こうした時代に向けて、是非多くの企業様に弊社のサービスを使って気象と経営の相関を読み解き対応策を考えるきっかけになったらと思います。

それが企業の持続性、ひいては持続的な社会につながっていくのだと信じています。」

取材:株式会社グリッド
https://gridpredict.jp/




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