『このコとあなたの奇跡のエピソード』1
こんにちは。編集部Kです。
本書『犬と私の交換日記』では、著者の阿部美奈子さんが出会ったたくさんのご家族のエピソードをご紹介しております。
これからこちらのnoteでは、『このコとあなたの奇跡のエピソード』をテーマとした、様々な愛犬家エピソードを著者からのお便りとして随時ご紹介していきたいと思います。本書ではご紹介していないエピソードとなりますので、ぜひお楽しみにしてくださいませ。
まずは、著者自身の出会いのエピソードをご紹介したいと思います。
~『このコとあなたの奇跡のエピソード』1~
私、阿部美奈子が専業主婦だったころのお話です。
お友だちと出かけた近場の日帰り温泉。ゆっくりと走るバイクを通り過ぎたとき、一瞬なにか小さい影が見えたような気がしました。駐車してクルマを降りると、そのバイクが走り去るのが見えたので、なんとなくその周辺の植え込みに行ってみた私たち。
目にしたのは柵に沿ってひたすら歩くチワワでした。思わず抱き上げてみると、そのコの目は真っ白、お腹に頭と同じくらい大きい塊がぶら下がっているではないですか。
かなり高齢と思われたそのコは推定16歳くらい。私は家に思わずそのコを自宅に連れて帰りました。
盲目、自壊している大きな乳腺腫瘍、そして心臓にも問題が‥‥‥。
安楽死か、手術か、難しい決断を迫られた私。でも私と違い、娘たちに迷いはなく「このコはママに出会ってくれたのだから、一緒に暮らしてみたい」と言いました。「わかった、こんな大きな腫瘍があっては寝ることも歩くことも苦痛だから手術をしよう、もし手術を乗り越えて身軽になれたら、一緒に暮らそうか」と私は決意しました。
娘たちがそのコに「福」と名づけたとおり、幸運に守られ手術は無事成功。そして2年あまり生き抜いてくれた福。
この福との出会いが、娘たちに言葉ではなく、どんなに苦境でもまっすぐ生きるたくましさを教えてくれたと思うのです。
福、ありがとう。犬との出会いは、必然の奇跡だと私は信じています。