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これからの時代の都市プランナーの役割とは・・・

昨日はJSURPの年次総会シンポジウム第3部『これからのまちづくりとプランナー』に登壇しました。(オンライン時代になってからは運営側が多いので久々のパネリスト側で緊張した...!) このテーマは私もここ2年くらい悶々と考えていたところなので、ほかの登壇理事の方々のコメントにもとても共感したし、考えさせられました。なので備忘録的に印象に残った言葉などをメモ。

・まちで個々のプレーヤーが社会解決のために良い取り組みをしているが、それがまち全体の取り組みになっていないことが多い。それには共通の目標が必要ではないか。

・これまではどのまちでも人口増を目標とした過去のスタンダートにのっとった目標値がつくられてきた。人口減など、これから必ず起こると思われる現実から目を背けず、それを課題として常に口に出して共有しつつ、その上で前向きに何ができるかを考えていくべきではないか。

・異なる主体同士がコレクティブインパクトを起こすための翻訳者的な役割が必要。

・都市プランナーは、行政・地域住民(団体)・企業の3者共の目線に触れることができる特殊な立ち位置でもある。その間をつなぎ、ビジョンを描き、協働の実行プロセスまで伴走できるのではないか。

・まちづくりの現場と、SDGsなど包括的なサステナビリティの実現はまだまだ遠い感じがする。自治体でもSDGsの達成が総合計画に取り入れられたり、個別の取り組みを都市像として共有し、どういうプロセスで実現するかというところを支援できる存在なのでは。

・空間にそれらを落とし込むという観点で言うと、例えばウォーカブルなども、賑わいやイノベーションなど曖昧なことだけではなく、CO2の削減やダイバーシティの実現など、様々な要素を盛り込んでいくなど俯瞰した目線で提案していくことが必要。

・価値観の転換期にあるいま、個々人の行動や社会の変化を空間として見せられるといい。社会実験もそうで、生活者にわかりやすく実体験してもらったりとよりわかりやすく伝えて変化に繋げていくことが重要。

・都市プランナーはクラシック音楽のコンダクター(指揮者)ではないよね、という議論。むしろJazzではないかと。

1時間ではやはり時間が全く足りず、今後もいろいろな人とこれからの可能性をもっと話してみたいと思った。

プランナーの仕事をJazz演奏に例えると、自分も最初のJazz演者の1人となってプレイしながら、練習のあいだに、チームメンバーといろいろ話して「メンバーのこんなところいいよね、でもここの部分はおたがい改善しよう」「この人とちょっと合わせ練したらさらによくなるんじゃない?」「ちょっとサポートメンバー呼んできた」みたいなかんじでぐるぐる動き回りつつ、全体の方向性をまとめていく、っていう感じじゃないかな、と妄想した。そういうふうにそれぞれのプレイヤーの可能性を引き出し触発する環境をつくる。現場で汗もながしながら、戦略も考える。そういうゼネラリストであることが価値なんじゃないかと思う。

ーーーここから先は、その他ぼやっと考えていたことをメモ。

■多様化するプランナー(的人材)像
都市計画/まちづくりの分野は、そのなかでも専門性が細分化しているが、同時に、今は多様な立ち位置で活躍しているプランナーが増えているように思う。
ちょっと頭のなかで分類してみただけでもこんなに多様。
※複数の立ち位置を持っている人もいるので、あくまで類型として。名称も正確に定義されているものではない。
①地域プランナー:ローカルに根付いて様々な動きをするプランナー。コンサルだけでなく自分で事業も動かす。
②専門性(テーマ)特化型プランナー:エリマネ、防災、再開発...etc. 得意分野のテーマをもちながらいろいろな地域でコンサルをしていることが多い
③コーディネーター系プランナー:人を結び、プロジェクトを仕掛けるプロジェクトデザイナー。
④行政内プランナー(シティプランナー):行政の内部人材として動く。民間登用の副業人材も含む。

■実践知の重要性
現代は、地球単位の持続可能性の危機や、人口減、価値観の多様化など前例のないことにばかり挑まなければいけない時代。理論よりも、実践知が重視される傾向があるようにも思う。共通解もあるが、個別解でしか解けないことの方が多いので、プランナーもプランニング(計画作り)だけでなく、より実践・実装・事業をやっていくことが重要ではと感じる。

そういう意味では、①の地域プランナーがとても重要な気がしていて、地域に根付いたプランナーが各地にいることが理想なんじゃないかとも感じている。海外にように自治体内プランナーがいる+民間プランナーもいるのが理想だけれど、自治体内にスペシャリストが育成されない体質の日本では難しいとするならば、昨今のDX人材と同じように、民間登用の副業人材としてプロのプランナーを導入するのもいいんじゃないかと思う。本来の都市プランナーはそれくらいの価値を発揮できるはずだと思うし、その重要性を言語化して発信していくことがもっと必要なんだろうとも思う。そもそも、建築家の知名度と違い、都市プランナー(対比で言えば都市計画家)という職業が一般に知られていないことも課題だと思うので、我々は前に出て主張しないところが良いところでもあるかもしれないけど、奥ゆかしいだけではダメだということを自覚せねばと改めて思ったのでした。


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