「あー、うん、良かったよ!」しかフィードバックが貰えないときの対策

クリエイターなら感想が欲しい、多くの人間がそう感じて人に作品を見せる。

『良かったよ!』

そう言われるのも確かに嬉しい。嬉しいのだが……。
自分の作品をより良くしたい……そのためには、読者からの正直なコメントがもらいたい。

自分の描いているソレが狙いどおりに与えられているのか。気になる。おそるおそる読んでもらう。

『面白かったよ!』『良かったよ!』『いいんじゃない?』

「違うんだよ!!!」
「そういうのが聞きたいんじゃないんだ!!」

そんな心の叫びをあげたことが、クリエイターならあるのではないだろうか。

今日は、そんな解決策をまとめていく。

なぜ、フィードバックを求めた時にこうした漠然としたフィードバックしかもらえないのだろうか。

答えは簡単である。

「質問の粒度が粗い」からだ。

まず、大前提としてあなた達がフィードバックを貰おうとしている相手は「感想のプロ」ではない。

感想のプロフェッショナルに大金払って依頼して「いいんじゃないすか?」とか言われたらクレームでもつけるべきだろうが

あなたが依頼しているのは善意の読者。であれば、悪いのは読者ではなくあなたの質問の仕方である。

裏を返せば「あなたの質問の仕方」を変えるだけで、有益なフィードバックが手に入るというわけだ。

今回は、「有益なフィードバックを得る」方法をお話していく。


1.粒度が粗い質問、細かい質問

一つ、面白い実例をお話しよう。

あるゲームを創っているAさんという方から「自由度が高いゲームを創りたいんです」という相談を受けた。
私は(これ絶対このまま製作に入ると迷走するな)と確信したため、試しにいろんな人に「自由度が高いゲームってなんだと思いますか?」と聞いて回った。

結果は次の通り

「ビルドの幅が広いゲーム」
「プレイヤーの行動コマンドが多いゲーム」
「プレイヤーの行動が制限されないゲーム」
「プレイヤーのアバターや装備が自由なゲーム」
「NPCとの交流(親交深めるから殺人まで)自由なゲーム」
etc...etc...

人によっては、スキルなどのビルド組が自由だったら世界への干渉度合いなんてどうでも良かったりするわけで。

仮にAさんがテストプレイのフィードバックを貰おうとユーザーに「このゲーム、自由度は高かったですか?」と聞こうものならば

Bさんからは「凄い自由度高かった!」
Cさんからは「全然自由度高くなかった」

と全く真逆の答えが返ってくることになる。そして皆が思う「自由度」を高めるためにバラバラなアドバイスを貰い迷走してしまう。

この「自由度は高かったですか?」といった質問、これこそが「粒度が粗い質問」である。

たとえばAさんが「このゲームのキャラクターを作る際、ビルドの幅は自分のイメージ通りに作れるぐらいデータは充実していましたか?」という質問をしていれば、迷走するような結果にはならなかっただろう。

この質問は先程の「自由度は高かったですか?」より「粒度が細かい」質問と言えるだろう。

なお、Aさんが求めていた自由度は「スキルビルドの組み合わせ」が多いことであった。これは自身がどんなゲームを創りたいか、という企画段階で言語化できていなかったため、テストプレイのみならず同じ製作メンバー同士でもすれ違いの種となっていたことだろう。

フィードバックのみならず、「目指すべきモノ」の粒度が粗いままだと迷走する可能性は高い。ぜひ、この技術はいろんなものに役立てて欲しい。

では、実際に粒度を細かくする方法をお伝えしよう。

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